We blocked passage of the reform bill of MHA

Japanese Diet decided to carry the reform bill of Mental Health Act to the next session, at the plenary session of House of Representatives on 16 June 2017. So, we completely blocked passage of the reform bill in this session of Diet. It is historical victory for us to block the passage of the reform bill, which is the administrative policy of the prime minister.

We, Japan National Group of Mentally Disabled People, have made a solidarity with organizations of persons with disabilities throughout Japan and achieved popularizing a problem which is intensifing forced admissions in mental hospital to prevent crimes, as an issue related to persons with disabilities by always making this topic for discussion at meetings about a murder in an institution for persons with disabilities in Sagamihara, Kanagawa prefecture on 26 July 2016.

We have intensively lobbied since before introduced the reform bill of MHA in the Diet. At first the reform bill was considered to have a few points to discuss and was prior consideration at the House of Councilors, but it was discussed approximately 36 hours, which is twice as that of the bill of criminal conspiracy act, and became one of the most important bills along with the problem of Moritomo and Kake schools and the bill of criminal conspiracy act.

In addition, we achieved participations of persons with disabilities in the legislative body, for example a person with psychosocial disabilities became an expert witness before Diet. We guided to an abolition of the MHA which is our real goal, by pointing out that a forced hospitalization is a violation of the UN Convention on the Rights of Persons with Disabilities.

However, we failed to make the reform bill scrapped in this session of Diet. If we block passage of the reform bill of MHA in the next session, we will get another chance to make it scrapped.
The reform bill of MHA must be scrapped. Never give up and let’s fight until achieve our real goal.

Best wishes,

精神障害者自身の手によって精神保健福祉法改正法案の成立を阻止しました!

本日6月18日、第193回通常国会の会期が終了しました。精神保健福祉法改正法案は、16日の衆議院本会議で継続審議になり、これによって今会期中の精神保健福祉法改正法案の成立は、完全に阻止されました。
政権の施政方針である法案を成立できないところにまで追いつめたことは、我々にとって歴史的な勝利となりました。
私たち全国「精神病」者集団は、昨年7月26日に発生した相模原市の障害者施設における殺傷事件の際にいち早く行動し、再発防止策として措置入院強化が挙げられていることの問題を全障害者の問題と位置付けられるように働きかけました。そして、相模原事件の追悼行事等では、必ず「再発防止策として精神保健福祉法改正をすべきではない」旨が確認されるようになり障害者問題としての大衆化に成功しました。
他方で私たちは、兵庫県で実際に措置入院後継続支援の対象になった人ともつながり、仲間同士の輪を広げながら精神障害者の生活から問題を確認していきました。このように生活の視点から法案の問題を指摘できたことは、病者の運動らしくあったと思います。
また、私たちは法案上程前から国会において法案の集中ロビーイングをおこないました。当初は争点の少ない参議院先議の法案という位置付けでしたが、私たちの活動によって共謀罪の2倍にのぼる約36時間の審議時間を獲得し、森友、加計、共謀罪に並ぶ最重要法案として関心を高めることに成功しました。
審議段階では、参考人質疑など立法府における障害当事者参画を実現し、国会質問において障害者権利条約違反を確認するなど真の目的である撤廃の方向付けをおこなうことにも成功しました。
他方で、今会期中に廃案にできなかったことは残念ですが、次の国会で審議未了にできれば、再び廃案のチャンスが訪れます。このような法案は、絶対に廃案にしなければなりません。最後の最後まで諦めずに闘い抜きましょう。
   2017年6月18日

精神保健福祉法改正法案の廃案を求める要望書

衆議院議員の皆さま

日頃より、障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
精神保健福祉法は、精神障害者の強制を含む入退院手続きを定めた法律であり、私たち精神障害者の生活に大きく関わるものとして強い関心をもってまいりました。精神保健福祉法の手続きに基づき入院したり、退院したりする問題の当事者は、精神障害者です。
つきましては、以下のとおりの理由から精神保健福祉法改正法案を継続審議の手続きをとらずに廃案とし、厚生労働省は障害当事者の意見を聴いて法案を出し直すべきであることを要望します。

一、 精神保健福祉法改正法案の衆議院の審議時間は、衆議院の院の性格を踏まえて参議院の審議時間(34時間)よりも1.3倍ほど長くとる必要があると考えます。仮に継続審議にするのであれば、多くの障害者団体と共に40時間以上かけた慎重審議を求めることになります。今国会では、継続審議の手続きをとらずに廃案にしてください。
二、 法案審議中に法案概要資料の、それも趣旨の部分が削除されたことは前代未聞のことです。また、法案をもとに作成された法案概要資料の主旨の部分に変更が生じたということは、法案自体の趣旨に変更が生じたものと思われます。こうした趣旨に疑義が生じた法案は、厚生労働省によって法案を出し直すべきです。継続審議の手続きをとらず、廃案にしてください。

三、精神保健福祉法改正法案は、精神障害者の生活を警察等による監視の目にさらすため、精神障害当事者の個人及び団体の大多数が反対しています。こうした法案は、継続審議の手続きをとらず、廃案にしてください。
2017年6月8日

精神保健福祉法改正案審議に関する緊急要望書(二)

 日頃より、障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
4月13日、参議院厚生労働委員会の席上で石橋通宏委員から警察関係者の関与に関わる立法事実を証明する資料の請求があり、4月25日の厚生労働委員会で非公開の部分を除いた状態で資料が開示されました。
当該資料のどの部分が立法事実に該当するのか不明であることや検討すべきことが検討されたのか不明であることから、あらためて非公開部分の資料の請求がなされました。
 この一連の質疑をうけて私たち全国「精神病」者集団は、次のとおり緊急で要望を出します。

一、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム非公開部分の記録等(個人情報の部分を黒塗りにするなどの工夫を含む)を開示し、立法事実を確認した上で国民の納得を得られるように審議されることを求めます。
二、法案審議において最も重要である立法事実を裏付ける記録等が開示されないままに採決されるようなことはあってはならないと考えます。
以 上 
2017年5月8日

精神保健福祉法改正案審議に関する緊急声明

 日頃より、障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
 厚生労働省が作成した法案の概要説明文書には、改正の趣旨として「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通りに実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないように」と書かれています。しかし、厚生労働省は、4月13日の参議院厚生労働委員会での審議の最中に突然、この一文を削除する提案をしました。
 内閣総理大臣は、施政方針演説で「昨年七月、障害者施設での何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と述べており、これとの関係も含めて法改正の趣旨が事実上かわったとしか言いようがありません。そのため、審議は中止し、一から検討し直すべきではないかと考えます。
 少なくとも、内閣総理大臣は厚生労働委員会で、施政方針演説の際に述べたことについて説明する責任があると思います。その説明すら得られていない現状は、法案の審議が不可能なのではないかと思います。
 また、精神保健指定医制度の見直し等は、精神障害者の処遇改善を進めていくうえでも大変重要な法改正であることを鑑みて、本法案とは別の枠組みで障害当事者の参画の下、改めて提案されることを望みます。
2017年4月17日

精神保健福祉法改正案審議に関する緊急要望書

 日頃より、障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
 厚生労働省が作成した法案の概要説明文書には、改正の趣旨として「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通りに実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないように」と書かれています。しかし、厚生労働省は、4月13日の参議院厚生労働委員会での審議の最中に突然、この一文が削除する提案がなされました。
 内閣総理大臣は、施政方針演説で「昨年七月、障害者施設での何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と述べており、これとの関係も含めて法改正の趣旨が事実上かわったとしか言いようがありません。そのため、審議は中止し、一から検討し直すべきではないかと考えます。
 少なくとも、内閣総理大臣は厚生労働委員会で、施政方針演説の際に述べたことについて説明する責任があると思います。その説明すら得られていない現状は、法案の審議が不可能なのではないかと思います。
 また、精神保健指定医制度の見直し等は、精神障害者の処遇改善を進めていくうえでも大変重要な法改正であることを鑑みて、本法案とは別の枠組みで障害当事者の参画の下、改めて提案されることを望みます。
2017年4月17日

精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(案)について民進党厚生労働部門会議ヒアリング意見書

精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(案)について
民進党厚生労働部門会議ヒアリング意見書
2017年3月9日

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。精神保健福祉法は、精神障害者の強制的なものを含む入退院手続きを定めた法律であり、私たち精神障害者の生活に大きく関わるものとして強い感心をもってまいりました。精神障害者の中には、強制的に入院させられ数十年にわたって精神科病院に入院している仲間が全国各地にたくさんいます。法律は、人の人生に大きな被害をもたらすことがあります。そのため、私たちは結成当初から精神保健福祉法それ自体の廃止を求めて運動をしてきました。
 精神保健福祉法の入退院の当事者は、精神障害者です。当事者とは特定の問題の効果の帰属主体のことであり、精神保健福祉法の手続きに基づき入院したり、退院したりする当事者は精神障害者だけです。そのため、精神保健福祉法の改正にあたっては、精神障害当事者の声を聴き、尊重してほしいと思っています。

1. 法改正の趣旨に明示的に犯罪防止が採用されたこと
 この法案は、「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案の概要」において相模原市の障害者支援施設の事件の再発防止が改正の趣旨であるとされ、明示的に犯罪防止が採用された点で従来の改正とは一線を画します。そのため、従前の改正と比べても十分な審議時間が必要と考えます。

2. 障害者権利条約及び付帯決議を踏襲できていない点
 2013年法改正に際しては、「精神障害のある人の保健・医療・福祉施策は、他の者との平等を基礎とする障害者の権利に関する条約の理念に基づき、これを具現化する方向で講ぜられること」とする附帯決議が可決されました。しかし、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」(以下、あり方検討会)では、障害者権利条約の趣旨や整合性を確認するための検討が一切されませんでした。障害者権利条約第14条は、障害を理由とした人身の自由の剥奪を禁止しており、精神障害者であることを要件とした非自発的入院制度は障害者権利条約に違反すると指摘されています。立法府を軽視し国際社会に逆行する法改正です。
 また、第1条の目的条項に「障害者基本法と相まって」とする一文がなく、ゆえに精神障害者の社会的障壁(障害者基本法2条2項)の除去について十分な理解が浸透していないように感じます。

3. 障害当事者の参画を推進すること
 障害者権利条約では、障害当事者の政策の決定過程からの参画を求めており、加盟国である日本は政府、立法府ともに障害当事者の参画が求められています。しかし、あり方検討会では、精神科医に対して精神障害当事者が2名と少なく、かつ精神障害当事者の声がほとんど反映されませんでした。せめて、立法府では、障害当事者の参考人を招致するなどして、障害当事者の参画を推進してほしいです。

4 措置入院者の退院後支援――相模原事件を口実とした地域における監視
 本改正では、相模原事件の再発防止策として措置入院者の「退院後支援」が規定されました。措置入院者に対して原則として入院中から警察関係者(主に代表者会議)を構成員とした精神障害者支援地域協議会の関与の下、退院後支援計画を作成し、精神科病院管理者が選任する退院後生活環境相談員の介入を受ける制度が新設されます。計画の期間中の措置入院者が転居した場合には、転居先の自治体が退院後支援計画を引き継ぐことになります。これでは、支援と名付けられているとはいえ、やろうとしていることが明らかに治安目的の監視です。
①立法事実の不存在――相模原事件の発生は精神障害者の問題ではない
 措置入院者の退院後支援の立法事実は、相模原事件の発生とされています。しかし、現時点で容疑者の行為と疾病の因果関係は裁判で明らかにされておらず、鑑定留置の結果では責任能力ありとされました。また、この事件は警察が初動で施設側に犯行手順が書かれた容疑者の手紙を見せなかったために施設側の警備意識が高められずに引き起こされた事件であり、それが容疑者に措置入院歴があったことが報道されたことで精神障害者の問題にすり替えられたものです。このように立法事実の存在しない立法を強行することは、法治国家原則に反します。よって措置入院者の退院後支援には反対の意思を示します。
 また、精神障害者の問題にすり替えられた原因は、措置入院という制度の構造に内在した問題に由来します。未来予測は科学を持ってしてもなお不可能な領域とされていますが、措置入院は精神保健指定医が「おそれ」を見立てられると仮定して成り立っています。それでも完全に他害等を防ぐことができないのですが、 他害等が起きたときには未来予測が可能であるという建前に立脚した責任が発生するため、なぜ防げなかったか、という論点が生起してきます。そして、治安的機能を引き入れる形で再発防止策が繰り返し行われていくことになります。この連鎖を断ち切るためにも、非自発的入院の抜本的な見直しが不可欠です。
②退院後支援計画の作成及び精神障害者支援地域協議会における本人参加の位置づけについて
 退院後支援計画は、「調整会議には可能な限り患者本人や家族の参加を促す」として本人が参加して作成することが望ましいとされながらも本人不在で作成できてしまう点で問題があると考えます。
③退院後支援計画の期間が不明であること
「計画の期間」については、国がガイドラインを作成して目安時間を示し、患者の状態に応じて延長等がおこなえるようにすることとされていますが、延長が長期間や無期限に行われることや、計画の更新が続くような事務が発生した場合には、 一度でも措置入院になると一生涯、警察を含んだ監視網から抜け出すことができない事態が生じうるのではないかと憂慮します。
④退院後支援計画が退院の障壁になり地域移行が進まなくなる可能性
 退院後支援計画の事務遅滞のために退院が不当に引き延ばされる可能性があります。退院後支援計画は原則入院中の策定であり、退院後の策定は例外的に認められているにとどまります。医療上の理由が消滅したのに退院できない者を作り出す可能性があり、そうした者を出さないための仕掛けが法律の中にないことは措置入院に限らず非常に問題であると考えます。
⑤退院後支援計画の位置づけの不明瞭さ
 退院後支援計画において提供が予定された個別のサービスは、当該精神障害者によって拒否された場合、サービスを強要することはできないこととされているが、その場合の退院後支援計画の存在意義がどのようなものであるかがわかりません。

4. 医療保護入院における市区町村長同意の復活
 本改正では、2013年改正時に廃止されたはずの市区町村長同意が再び規定されました。2013年改正は、障害者権利条約の国内法整備の一環という位置付けで保護者制度を含む医療保護入院等の見直しがおこなわれ、保護者の同意が家族等の同意に改められ市区町村同意は廃止されました。市区町村同意の廃止後は、医療保護入院の届け出件数が4万件減少したのですが、復活に伴い医療保護入院がさらに増加するのではないかと憂慮します。加えて、市区町村の所轄は、どのような方法を用いて「全員がその意思を表示することができない」「同意、不同意の意思表示を行わない場合」を確認し事務を進めるのかがわかりません。このままだと精神障害者を入院させようとする精神科病院管理者が「同意、不同意の意思表示を行わない」と判断した場合には、それを根拠に市区町村が自動的に同意事務をするような事態が生じうると思います。

5. 医療保護入院の見直しが保留されたこと
 2013年改正時に「保護者の同意」が「家族等の同意」に改められ、事実上、同意権者の範囲が拡大されました。それが国会の場で問題としてあがり、あり方検討会では、医療保護入院のことが引き続き検討されました。しかし、検討会報告書では、「措置入院、任意入院以外の入院制度として医療保護入院を維持することとした」とされ、またしても抜本的な見直しが先送りにされました。家族の同意についても十分な検討を経ずに時間切れとなり、再び残されました。引き続き医療保護入院における手続きや家族同意、処遇について検討することを附則に入れることを求めます。

6. 入院中心が改められていないこと
 2013年改正時の附帯決議では、非自発的入院の減少が志向されていたにもかかわらず、措置入院の強化や市区町村長同意の復活による同意権者の範囲拡大など、明らかに非自発的入院の減少を帰結しない法改正になっています。精神科病院では、年間約2万人以上の人が死亡退院しており、この10年間で入院人口が大きく変化していないということは、新たに入院して退院できなくなっている人があらわれ続けているからだと思います。
 また、国及び地方公共団体の義務に「精神障害者の人権を尊重するほか、精神障害者の退院による地域における生活への移行」が追加されましたが、あり方検討会の最終報告書には「重度かつ慢性」の基準化について書かれており、6、7割の重度かつ慢性者(治療抵抗性)は、退院させることができない存在と見立て、基準病床の算定、地域移行目標値の算定をすることとされました。しかし、「重度かつ慢性」の人こそ地域で生活できるように法整備をおこなうこと――例えば、重度訪問介護の支給対象者を拡充し、重度訪問介護従業者に対する面会制限等を禁止するなど――に向けて障害福祉サービスの利用についてさらなる検討を加える必要があります。

7. 精神保健指定医の適正化について
 精神保健指定医の診察は、逮捕監禁罪及び誘拐罪の違法性阻却要件であり、精神保健指定医以外が同様の行為をおこなうことは基本的に禁じられています。しかし、このたび不正な取得が発覚し指定を取り消された医師の非自発的入院の判断は、遡って違法であったことにはならず合法であったことにされています。これまでの精神保健指定医の判断と法的な点検が求められます。

民法(債権関連)の一部を改正する法律(案)における法務委員会質疑に関する陳情書

民法(債権関連)の一部を改正する法律(案)における法務委員会質疑に関する陳情書
2017年4月12日

 日頃より障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
 さて、今国会には民法(債権関係)改正法案が上程されました。本法案には、意思無能力法理の明文化を含む精神上の障害等に関わる諸条文が新設されたため、精神障害者の団体として強い関心をもってきました。意思無能力法理は、障害者権利条約の趣旨への違反すが指摘されている成年後見制度の立法事実に相当し、この法理を明示的に採用することが、ひいては安易な成年後見制度の拡大に拍車をかけるのではないかと憂慮します。
立法府は、精神障害者に係る法改正があった場合には精神障害当事者の声を尊重してほしいと思っています。
 つきましては、障害者権利条約の趣旨と障害者の地域生活実現の観点から以下のとおりの趣旨で委員会での質問をしていただきたく、お願い申し上げます。

質問
○意思無能力法理の成文化が不可欠とされた立法事実をお答えください。
○「意思能力」と「事理及び弁識の能力」は、どのような違いがありますか。
○成年後見制度の立法事実において意思無能力法理はどのように関係していますか。
○障害者権利条約第12条第2項では、障害を理由とした法的能力の不平等の禁止が規定されており、同条約の趣旨に成年後見制度が違反するとの指摘があることをご存知ですか。
○国連障害者権利委員会による「一般的意見第1号」では、障害を理由とした行為能力の制限が同条約に違反するものとされていますが、そのことは認識していますか。
○障害者基本法における社会的障壁の「制度」に成年後見制度が含まれると考えられますか。
○本改正は、成年後見制度の兼ね合いがあるため、少なからず障害者に係る政策変更という側面がありますが、それにもかかわらず内閣府障害者政策委員会に諮らなかった理由をお答えください。
以 上 

障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン案へのパブリックコメント

障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン案へのパブリックコメント

1. 成年後見制度との共存
 意思決定支援は、障害者権利条約の国内履行の文脈において不可欠であり、その意味で障害者権利条約の趣旨を踏まえたものでなければならない。ガイドラインでは、成年後見制度の活用が示されているが、意思決定支援と成年後見制度との共存は、障害者権利委員会一般的意見第1号パラグラフ24において否定されている。よって意思決定支援のガイドラインからは、成年後見制度に関する一切の文言を削除するべきである。

2. 最善の利益に基づく介入
 意思決定支援は、障害者権利条約の国内履行の文脈において不可欠であり、その意味で障害者権利条約の趣旨を踏まえたものでなければならない。ガイドラインでは、最善の利益(best interest)に基づく介入――すなわち判断能力がないとされる人に対して第三者が「あなたにはこれが必要」と決めつけて行なう介入の仕方――を規定しているが、最善の利益に基づく介入は、障害者権利委員会一般的意見第1号パラグラフ18で否定されている。よって意思決定支援のガイドラインからは、最善の利益に関する一切の文言を削除するべきである。

3. 相談支援事業者による保護的な側面いついて
 ガイドラインでは、相談支援事業者が計画相談等において本人の意思及び選好を把握し、個別支援の場において本人意思の尊重を実現していく枠組みとなっている。この枠組みでは、相談支援事業者と本人の位置がその他の関係者と比べて接近し過ぎているため、相談支援事業者の発言力が大きくなりすぎる点に留意すべきである。そのため、相談支援事業者の調整を前提としたガイドラインの限界を明示的に示し、3年後に見直す旨の文言の追加をすべきである。

  2017年3月6日

成年後見制度利用促進基本計画の案に盛り込むべき事項に関するパブリックコメント

成年後見制度利用促進基本計画の案に盛り込むべき事項に関するパブリックコメント

成年後見制度利用促進基本計画の位置付け
1. 障害者権利条約との整合性
 2016年4月の参議院内閣委員会では、大臣は本法が障害者権利条約に抵触しないという立場を示したが、中間報告書には障害者権利条約との整合性に関する内容が示されていない。少なくとも、国連障害者権利委員会に提出した政府報告書では、成年後見制度への言及があり、それを踏まえるならば、障害者権利条約との整合性について言及があってしかるべきである。

国、地方公共団体、関係団体等の役割
2. 障害者団体からの意見聴取
 成年後見制度利用促進基本計画の実施にあたっては、障害者基本法の理念に基づき障害者団体からの意見聴取を行なうべきである。よって、関係団体の部分で障害者団体を明示し、かつ都道府県及び市町村への計画策定にあたっての責務の部分に障害者団体からの意見聴取を明示的に示すことが不可欠である。

成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
3. 合法性の根拠が示されていない
中間報告では、成年後見人に医療同意を与えることの合法性に関わる議論の経過や根拠が示されておらず、成年被後見人等の医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援の在り方として想定される場面が羅列されているにとどまっている。こうした場面の羅列は、法改正という結論に向かって敷かれたレールの上に都合のよい情報を載せて、あたかも立法事実があるかのように装っているだけで、具体的な場面において発生するあらゆる問題を想定した議論とはとうてい言えないものである。

成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
4. 安楽死・尊厳死問題
中間報告では、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」について言及されている。このことは、成年後見人による安楽死(または尊厳死)を帰結し得る可能性があり、もっとも慎重に審議されなければならない点である。わが国の立法府において尊厳死をめぐって長年交わされてきた議論の蓄積を踏まえるならば、早計に結論を出すべきではない重大な問題であると考える。なお、私たち障害者団体としては、「こんな障害をもった状態で生きていたくない」という考え方が優生思想に直結するものであり、あの去年の7月26日に起きた相模原障害者施設での事件で容疑者が発した動機と等しいものであると考える。

成年被後見人等の医療、介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
5. 市民後見人の活用との関係
 なんの専門性も有さない市民後見人に対して医療同意等の権限を与えることは、非常に危険であると考える。また、専門性を有さない以上は、専門家の決定に従うほかないわけで、そもそも医療同意に権限を拡大することの意義自体があまりないのではないかと考える。