精神保健福祉法改正案審議に関する緊急要望書

 日頃より、障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
 厚生労働省が作成した法案の概要説明文書には、改正の趣旨として「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通りに実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないように」と書かれています。しかし、厚生労働省は、4月13日の参議院厚生労働委員会での審議の最中に突然、この一文が削除する提案がなされました。
 内閣総理大臣は、施政方針演説で「昨年七月、障害者施設での何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と述べており、これとの関係も含めて法改正の趣旨が事実上かわったとしか言いようがありません。そのため、審議は中止し、一から検討し直すべきではないかと考えます。
 少なくとも、内閣総理大臣は厚生労働委員会で、施政方針演説の際に述べたことについて説明する責任があると思います。その説明すら得られていない現状は、法案の審議が不可能なのではないかと思います。
 また、精神保健指定医制度の見直し等は、精神障害者の処遇改善を進めていくうえでも大変重要な法改正であることを鑑みて、本法案とは別の枠組みで障害当事者の参画の下、改めて提案されることを望みます。
2017年4月17日