【声明】障害者福祉三法案に賛成し早期成立を求めます

声明
障害者福祉三法案に賛成し早期成立を求めます

私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。

2020年5月12日、衆議院本会議において「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案(201国会衆11)」「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(201国会衆12)」「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部を改正する法律案(201国会衆13)」が審議入りしました。

本改正案は、障害者の日常生活に欠かせない介護保障制度及び就労支援制度等について不十分な点を実体に即して改正しようとするものであり、私たちにとって必要不可欠なものです。よって、障害者福祉三法案に賛成するとともに早期成立を求めます。

2020年5月12日

全国「精神病」者集団
〒164-0011
東京都中野区中央2―39―3
Tel 080-6004-6848(担当:桐原)
E-mail jngmdp1974@gmail.com

 

精神疾患を有する新型コロナウイルス感染症への対応に関する抗議声明

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2020年4月3日に「精神科を標榜する医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」が出されました。当該事務連絡は、「精神疾患を有する方で新型コロナウイルスに感染していることが判明した方等について、精神科を標榜する医療機関(以下、「精神科医療機関」という。)において対応することが求められる場合が想定される」として留意事項を都道府県・政令市に宛てたものです。
 当該事務連絡は、新型コロナウィルスに感染した精神障害者を専ら精神科病院で対応することを求めた文書ではないのだと思います。しかし、検査が行き届かず、医療現場が混乱している状況下で当該事務連絡のようなものを出されたため、精神障害者は新型コロナウィルスに感染した場合も原則として精神科病院で対応するものという読み方がなされ、逆に一般の病院等での治療を受けられない根拠のようにされてしまっています。
 本来なら精神障害者が感染した場合に精神障害を理由として一般の病院等から受け入れが拒否されることがないように慎重な対応が求められるはずです。当該事務連絡は、こうした慎重さが足りず極めて問題があります。
 また、多くの精神科病院では感染症への対応は困難と思われます。そのため、精神科病院と感染症の病院との間で調整という名の押し付けあいが起きています。当該事務連絡によって現場が混乱を極めており、すでに取り下げざるを得ない状況にあると思います。
そして、なにより精神科病院には明らかに入院不要な患者が長期入院しており、新型コロナウィルス感染に基づく入院を入り口として、再び、長期入院の問題につながっていくことにならないかと深刻に憂慮します。
 当該事務連絡は、精神障害者は原則として精神科病院で対応するものと読めてしまうものであり、上述の問題を帰結せしめたため強く抗議します。

   2020年4月30日

厚生労働省事務連絡「精神科を標榜する医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」

第6期障害福祉計画に関する要望書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 殿
 同 障害福祉課長 殿

 日ごろより障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 これら障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり意見およびご要望を申し上げます。

1.地域移行の実効性
第6期障害福祉計画(案)は、第4期、第5期障害福祉計画の焼き直し感が否めません。施設から地域への移行者数については、令和元年年度末の入所者数の6%を移行するという低水準となっており、4期計画12%、5期計画9%と比較しても下がる一方となっていることは非常に残念でなりません。社会保障審議会障害者部会事務局の説明によれば、第5期計画の実態が目標値を下回った大きな要因として、入所者の重度化・高齢化が進んだことを挙げられていましたが、3年前に第4期計画の実態が目標値を下回っていたとの説明をされた際にも同様の理由を挙げられていました。このことから以前から課題が明らかになっていたにもかかわらず、必要な施策を打ち出せてこなかったということに他なりません。具体的に実行できる計画を示してください。

2.国立病院機構筋ジス病棟の地域移行実態
独立行政法人国立病院機構の機能には、厚生労働大臣の求めによる、いわゆるセーフティーネット領域の医療があり、26の病院で筋ジストロフィー患者の入院の受け入れを行っています。その中には、長期の療養が必要なために入院しているのではなく、地域の資源が不足しているために在宅療養への移行ができずにいる社会的入院患者がいることが、2019年6月から11月にかけて、全国35の自立生活センター及び研究者等で構成される「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」が療養病床に入院中の筋ジストロフィーの患者本人に対して行った調査によって明らかになりました。厚生労働大臣の求めでできた病床のなかに社会的入院患者がいることは由々しきことです。政府としても、独立行政法人国立病院機構の26の病院における筋ジストロフィーの社会的入院患者の有無や人数、病院が有する地域移行連携体制、不足している地域の資源、在宅療養への移行を阻む要因などの実態を、あきらかにしてください。

3.国立病院機構筋ジス病棟の地域移行目標値
独立行政法人国立病院機構26の病院における筋ジストロフィー患者の入院を受け入れる療養病床は、第七期医療計画において基準病床の算定に基盤整備量の定めがなく、第五期障害福祉計画に基づく国の基本指針においても地域移行の数値目標の対象とはされていません。独立行政法人国立病院機構を構成する26の病院筋ジストロフィー患者の入院を受け入れる療養病床は、医療計画及び障害福祉計画において病床削減や地域移行の目標値を掲げて取り組んでください。
以 上  

〒164-0011
東京都中野区中央2―39―3
Tel 080-6004-6848(担当:桐原)
E-mail jngmdp1974@gmail.com

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会への当事者参画に関する要望書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
 精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

 日ごろより障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 去る3月18日、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進に関して課題となっている事項について、各種施策への反映を念頭において議論する「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」が開催されました。
 しかし、構成員の中には、いわゆる地域患者会、病院患者自治会、自立生活センタースタッフなど幅広い層をシェアしている精神障害者全国組織の代表者等が入っておらず、当事者参画として不十分な印象を否めません。
 つきましては、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」の運用におかれては、全国「精神病」者集団にヒアリングをするなどして私たちの声をしっかりと拾い上げてくださいますよう、お願い申し上げます。
 以 上  

COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)と精神障害者

PDF [英文原文]
PDF [日本語仮訳]

Pan African Network of Persons with Psychosocial Disabilities(精神障害者アフリカネットワーク)
Redesfera Latinoamericana de la Diversidad Psicosocial(ラテンアメリカ精神障害者ネットワーク)
TCI Asia Pacific (Transforming communities for Inclusion of persons with psychosocial disabilities, Asia Pacific(精神障害者をインクルージョンする地域社会変革へのアジア太平洋横断同盟)
European Network of (Ex-) Users and Survivors of Psychiatry (ENUSP)(ヨーロッパ精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)
Center for the Human Rights of Users and Survivors of Psychiatry (CHRUSP) (精神医療ユーザー・サバイバー人権センター)
World Network of Users and Survivors of Psychiatry (WNUSP)(世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)

2020 年3月26日

私たち、世界中の地域および国際心理的社会的障害者団体は、コロナウィルス感染症の感染および死亡に対する精神障害者の脆弱性を案じています。 「精神障害を持つ人々」とは、精神医療のユーザーと元ユーザー、精神医療による暴力の被害者そしてサバイバー、狂人、声の聴く人、多様性を持つ人々を含む、歴史的に差別され疎外されたグループを指します。

精神障害を持つ人々は、以下に上げることの結果として、コロナウィルスに感染するリスクが高くなる可能性があります。

• 彼らが精神病棟や施設、社会福祉施設、浮浪者の家、法外の非公式の「シェルター」、留置所、刑務所、矯正施設に置かれ、自由を奪われている場合、自らの意志と好みに従って人混みを避けたり人と距離をとったりすることができない。
• これらの環境における感染の固有のリスクは、過密で不衛生であることで悪化し、そして虐待が発生しやすい場所であることでも悪化する
• 平易な言葉による情報の欠如やコミュニケーションサポートの欠如を含む、健康情報へのアクセスの障壁。
• 貧困、家庭内の資源への不平等なアクセス、ホームレスによる予防衛生対策の実施への障壁。
• 虐待
• 社会的支援ネットワークとインクルーシブなコミュニティの欠如。そして
• 精神障害者、特に女性、子供、高齢者、LGBTQIA +の人々、先住民族、多様な人種、肌の色、世系、カースト、国あるいは民族的出身、さまざまな宗教団体の人々、精神障害者以外の障害者、さもなければ複数の交差する差別に直面しているその他のグループ、に対する体系的な差別

精神障害を持つ人々はまた、次の原因により、より重篤な症状を発症し、死亡するリスクが高くなる可能性があります。

• 精神科病棟と精神科施設、社会福祉施設、グループホーム、刑務所の栄養、健康状態、衛生状態が悪いこと
• 子どもや精神障害を持つ高齢者を含む、栄養不足、無視、施設化、ホームレスによる免疫システムの弱体化
• 特に精神障害を持つ女性に対する、身体的、心理的、性的暴力および虐待の長期的な結果
• その保健システムでの差別、侮辱、無視、暴力、そしてトラウマの体験、のために保健システムへのアクセスに消極的であること
• しばしば人々の意思に反して、または強制的な同意の下で投与される、精神薬によって引き起こされるか悪化する糖尿病や高血圧などの基本的な健康状態、そして
• ヘルスケアへのアクセスと健康保険の適用範囲の欠如による障壁

国は、国際法の下で、他者と平等に精神障害を持つ人々の人権を尊重し、確保する責任があります。この責任は、COVID-19(新型肺炎)パンデミックなどの国家的および世界的な緊急事態の際に高まります。構造的差別、差別的立法、および地域社会と医療および社会的ケアの両方における排除と暴力の慣行の結果としてパンデミックにおいて強められた脆弱性は、緊急時とその後の両方で考慮に入れられ、是正されなければなりません。

障害者権利条約は、精神保健における非自発的入院と治療を廃止し、そのような体制下で彼らの意志に反して拘束され治療された人々を解放することを国家に要求していることを、私たちは国家に再度指摘します。 差別的な拘禁は決して正当化されず、また意志に反して精神を変容させる治療も決して正当化されないのですから、COVID-19(新型肺炎)のパンデミックの間でもこの義務は停止されません。

国や地方自治体に対し、以下の施策を実行するよう要請します。

制度上の設定

• 精神科病棟および施設の収容人数を大幅に減らし、非自発的入院停止措置をとる。感染、病気の悪化、死亡のリスクが高いばあい、だれ一人としてそうした場所に意志に反して留められないことを確保する

• 精神科病棟や施設、ソーシャルケア施設、グループホームで、感染をさけるための衛生的および予防的な対策を緊急に実施する。この対策には環境の掃除と消毒、空気の入れ替え、定期的な手洗い、そして石鹸、手指消毒剤、トイレットペーパー、ペーパータオルなどの衛生用品が無料で入手できることなどが含まれます。人々は集中配布の場まで衛生用品を入手するために行かなければならない、ということはあってはなりません。職員は衛生と予防対策の全てに従うことを要求されねばなりません。

• 隔離、拘束、同意のない薬物療法の使用禁止、および精神科病棟や施設でのトイレの使用に関する制限の禁止。こうした行為は、人々の尊厳とインテグリティに反するだけでなく、必然的に不衛生な状態を引き起こし、深刻なストレスと身体的悪化を引き起こし、その結果、免疫力が弱めます。

• 精神科病棟、施設、グループホームの人々にCOVID-19(新型肺炎)に関する最新情報へのアクセスを提供し、友人や家族と連絡を取り続けることができるようにします。感染を防ぐ方法として、部屋を出たり、外の世界と接触したりすることを禁止されてはなりません。訪問者からの感染を防ぐための予防策が必要ですが、一括して訪問者を禁止するという措置は不釣り合いであり、人々をさらなる虐待や放置にさらす可能性があります。電話やインターネットなど、連絡を取り合う別の手段を無制限に許可する必要があります。

• 拘置所、刑務所、矯正施設の人口を大幅に削減する。これには、公判前、非暴力の罪で投獄されている者、またはすぐに釈放される予定の人々(他の人と平等に精神障害のある人を含む)の釈放も含まれる。

• あらゆる場合において、自由を奪われた人々と集まった環境にいる人々は、それぞれに異なる脆弱性があることを考慮して、適切な時期に検査を受けることを確保し、またそのようなすべての環境が適切な衛生的および予防的手段の実行を確保します。施設内で集団発生が発生した場合、感染者は適切ない医療施設にうつされ、残りの人は感染環境から移動する必要があります。検疫の結果、人が独居監禁などのより制限された環境に置かれてはなりません。

無差別

• 精神障害のある人が、COVID-19(新型肺炎)に関連する検査、保健ケア、公開情報に平等にアクセスできるようにする。質の高い医療は、いかなる種類の差別もなく、健康保険の適用範囲に関係なく、感染者に提供されるべきです。精神障害のある人は、中心の病院から、COVID-19(新型肺炎)のヘルスケアの水準は低いことが多い、精神科病棟や治療施設に転院させられてはなりません。

• 公衆衛生に基づく公の制限、および法執行機関と保安官の行動は、精神障害のある人を決して差別してはなりません。 COVID-19(新型肺炎)への対応の一部として精神的強制措置を使用してはなりません。自由を奪われた人々および精神科病棟や精神科施設を含む集団的環境の人々に保護を提供する人権基準およびメカニズムは、引き続き有効とされ、緊急措置の一環として削減されてはなりません。

• 苦痛を与えたり、健康や免疫システムを危険にさらしたりする精神薬やその他の治療法を強制されてはなりません。国際法で義務付けられているように、強制的な治療命令は解除されなければならず、新しいものは導入されてはなりません。

• 教育や社会保護プログラムなど、COVID-19(新型肺炎)の発生中にサービスの継続性を確保するために政府が実施する一時的な措置にアクセスする際に、精神障害のある人が差別されないようにする。

コミュニティの支援

• COVID-19(新型肺炎)の集団感染発生時に、苦痛や通常でないな意識状態を経験した人々が、個人の意思や好みを尊重した上で、要望に応じた訪問やオンラインでの支援、ピアサポートを含めて、継続的に支援を受けられるようにする。

• 精神障害者のニーズに対応し、ピアサポートをはじめとする従来の精神保健サービスに代わるものを含め、人々の自主性、選択、尊厳、プライバシーを尊重した地域密着型のサービスを幅広く展開するための取り組みをステップアップさせましょう。

• COVID-19(新型肺炎)集団発生時には、精神障害者を含め、包括的な方法でコミュニティが互いに支援し合えるように準備し、奨励する。これは、強制的な検疫、自宅監禁、情報の過多により、苦痛の状態が高まる可能性があるため、特に重要である。

• 検疫により自宅を離れることができない、あるいは汚染の懸念が高まっているこの時期に自宅を離れることが困難な精神障害者に対して、食料や物資の入手支援などの実践的な支援を行う。

• 自宅軟禁にとりわけ困難を感じるとき、精神障害を持つ人々が、強制的な検疫中に短期間かつ安全な方法で自宅を離れることができるように柔軟なメカニズムを検討します。

• COVID-19(新型肺炎)の発生時に自己隔離する必要があるかもしれない精神障害を持つ人々、特に貧しい生活を送っている人、失業中または自営業している人々をサポートするために、追加の財務措置を採用します。

• メディアにはCOVID-19(新型肺炎)について責任を持って正確に報道するよう奨励し、またソーシャルメディアを読んだり情報を共有する際に批判的な思考と判断を奨励します

脆弱なグループ

• 家庭内暴力の情報とサービスへのアクセスを提供し、家庭で虐待や暴力を経験している子供を含む人々をサポートする。年齢を問わず、精神障害を持つ人々は、家庭での検疫や家庭での隔離中に虐待や暴力のリスクが高まるのを経験しがちです。

• 地域社会に出かけていく活動を実施して、自宅やコミュニティ内で、縛りつけられたり枷をつけられたりすることも含む、自由を奪われたり虐待を受けたりしている精神障害のある人を特定し、救助し、人権を尊重する方法で適切なサポートを提供します。

• 精神障害を持つ人々を含むホームレスの人々が、差別のない、人権を尊重された方法で、充実した清潔な衛生施設へのアクセスや検査と治療などのCOVID-19(新型肺炎)感染に対する予防策を確実に利用できるようにする。政府は、隔離期間中にホームレスである精神障害を持つ人々が当局によって虐待されないようにし、他者と平等に水、食料、シェルターを提供されるようにしなければなりません。

• COVID-19(新型肺炎)が薬物使用者に拡散するのを防ぐために、針と注射器配布プログラムやオピオイド補充療法などのハームリダクションサービスの継続的な提供を保証します。

参加

• COVID-19(新型肺炎)の発生に対する国家の対応に際しては、精神障害のある人そして彼らを代表する組織に相談し、彼らを積極的に参加さ
• 制度的状況についての独立した監視に障害者とその代表する組織を関与させる。

精神保健福祉士養成課程のカリキュラムの修正を実現しました

 全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2019年6月28日に公表された「精神保健福祉士養成課程のカリキュラム(案)」には、14現代の精神保健の課題と支援の③社会的排除と社会的障壁、2日本の精神保健福祉施策に影響を与えたできごととして、想定される教育内容の例に相模原事件(以下、「津久井やまゆり園事件」とする。)を精神保健福祉法における措置入院の見直し等と書き込まれました。2019年7月26日、私たちは「精神保健福祉士養成課程のカリキュラム(案)に対する声明」を出して修正を免れないと断じました。そして、2020年3月6日の最終とりまとめでは、措置入院の見直し等のくだりは完全に削除されました。
 さて、精神保健福祉法改正法案は、何があっても、ほとんどの内閣提出法案を成立させてきた現政権において唯一、廃案となり再提出の目処が立っていない法案となりました。精神保健福祉法の審議過程では、法案概要資料の趣旨の部分に変更が加えられるという前代未聞の珍事件が起こり、立法府の歴史においても2件しかない参議院先議法案の継続審議を帰結しました。なお、もう1件の参議院先議法案は、精神保健福祉法改正法案のように賛否の対立により継続審議になったものではないため、より重く受け止められなければなりません。そして、忘れてはならないのは、精神保健福祉法改正法案が内閣総理大臣の施政方針の法案であったのにも関わらず賛否の対立により継続審議になり、のちに廃案になったことです。このことからも精神保健福祉法改正法案が立法府の歴史上、まったく前例のない顛末をむかえたことがわかると思います。その後、精神保健福祉法改正法案が上程されましたが、私たち当事者が反対したことで廃案になり、現在に至っています。
 このたび措置入院の見直しのくだりは完全削除に至ったわけですが、精神保健福祉法改正法案廃案及び再上程遅滞の事実を重くみて二度とこのようなことが起きないように繰り返し訴えていきたいと思います。
   2020年3月26日

医療法人財団兵庫錦秀会神出病院における虐待・暴力事件に関して(声明)

                                                                                                              2020年3月18日

 

医療法人財団兵庫錦秀会神出病院における虐待・暴力事件に関して(声明)

 

全国「精神病」者集団

 

私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織である。

医療法人財団兵庫錦秀会神出病院(兵庫県神戸市西区)において、入院患者対して虐待・暴行を行ったとして、看護師ら6人が2020年3月4日に逮捕された。一連の報道によると、看護師らは、患者同士でキスやセックスを強要させその様子を動画撮影していた。当事者が経験した屈辱を知るに私たちの怒りの炎は消えることはない。患者への献身が期待されているはずの看護を担う者たちよ、恥を知れ。

本事件は、被疑者の別件での刑事事件が発端となり明るみに出てきた。これはまさに精神科医療の自浄作用の限界の露呈そのものである。昨年の11月には、神戸市は病院への実地指導をしているが、これだけの大問題を把握することはできなかった。監督者としての行政の責任も極めて重い。事件の真相究明と被害者の救済及びこのような事件を二度と生じさせいような厳格なチェック機能を整備することを強く求めたい。

神出病院は、近隣の病院群で市民グループの訪問活動を拒絶し続けてきたと聞く。地域移行が潮流とされる時代においてもなお、密室的・収容的な精神科病院は、数多い。密室の隠ぺい体質を有している病院内ではこのような事案は氷山の一角に過ぎないのかもしれない。あまつさえ、障害者虐待防止法は病院内での虐待を通報義務としていない。地域の障害者団体や人権団体等の訪問活動を拒絶するような病院は、これを機に、むしろ医療の本旨を証明し、また発揮するためにも態度を改めるべきではないか。また、エリアに関わる当事者団体をはじめ関係諸団体が一体となり、各病院内の監視と人権救済に取り組む担保が与えられることが必要である。

精神科病院では、これまでも数々の暴力・虐待・人権蹂躙が行われてきていることからもわかるように、この国のどこかで同様な事件が起きていると私たちは考えている。神出病院が母体なる錦秀会グループは、「やさしく生命を守る」を基本理念に掲げ、神出病院は方針として「社会の求める質のよい医療を提供します」を掲げていると聞く。これほどの言行不一致には、もはや薄気味悪さすら感じる。グループの創始者である籔本秀雄は、法人税法違反、業務上横領、私文書偽造、同行使、診療放射線技師及び診療エックス線技師法違反により有罪判決を受けており、また医師免許の取り消し処分を受けているが、これまで数々の医療法人に対して買収を繰り返し、時にはそれまで地元で評判のあった医療を崩壊させてきた。金権主義に血脈をあげた巨大な民間経営医療法人の末路を私たちは目撃している。錦秀会グループに良心のかけらがあるならば、病院経営を公に移譲し、その座から引き下がるがよい。

最後に、私たちは、長らく精神科病院における人権問題の多くが精神保健福祉法下の帰結の問題だと繰り返し訴えてきた。精神医療審査会が当事者からの退院請求を年間およそ98%以上認めていないこと、曲がりなりにも身体拘束の運用管理を担うとされている精神保健指定医が現場対応を追認してしまっている実態など、人権制約を監視する機能が働いていないことには枚挙にいとまがない。また、上述の通り障害者虐待防止法は病院内での虐待事案を通報義務の範囲としていない。これらの法が内在する問題は、無視され長らく放置されている。このことに立法府は猛省し、即時然るべき法の撤廃、改正の対応をすることを強く求めるものである。

以上

障害者総合支援法の見直しに関する要望書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 殿
 同 企画課長 殿
 同 障害福祉課長 殿
 同 精神障害保健課長 殿

 日ごろより障害者の地域生活の推進にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の見直しの時期が近づいてまいりました。
 同法の見直しが附帯決議及び障害者の権利に関する条約(以下、「障害者権利条約」とする。)の趣旨を鑑みたものとなるように下記の通り、要望を申し上げます。

1.検討
1)障害者団体の参画について
障害者権利条約第4条第3項では、障害者に関する問題について政策決定過程から障害者を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させることとされています。よって、同法の見直しの検討には、私たち全国「精神病」者集団を含め障害者団体の参画を保障してください。また、ヒアリングも例年通り実施してください。
2)精神障害者の参画について
障害者基本計画(第4次)では、障害者施策を審議する国の審議会等における障害者の委員については、障害種別及び性別にも配慮して選任を行うこととされています。
また、参議院附帯決議では、施行後三年の見直しの議論に当たっては、障害者の権利に関する条約の理念に基づき、障害種別を踏まえた当事者の参画を十分に確保することとされています。同法第4条第1項において精神障害者とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者(発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第2項に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。以下「精神障害者」という。)とされています。ピアサポーターの職能団体の参画は一定進んでいるものの、地域患者会や病棟患者自治会、自立生活センタースタッフなど幅広い層の精神障害者を構成員とした全国組織から推薦を得た精神障害当事者の参画が不十分です。ピアサポーターの職能団体の代表者だけではなく、地域患者会や病棟患者自治会、自立生活センタースタッフなど幅広い層の精神障害者を構成員とした全国組織から推薦を得た精神障害当事者の参画こそ優先して進めてください。
3)報酬改訂の検討における当事者参画
訪問系サービスの処遇改善加算率見直し、基本報酬の改訂について私たち全国「精神病」者集団を含め利用者である当事者の団体の検討段階からの参画を保障してください。

2.総則
同法第7条に規定された介護保険優先原則は撤廃してください。同法は、障害者の自立生活のための法律であり、介護保険とは本質的に異なるものです。よって、同法のサービスを介護保険のサービスに相当すると見なさないでください。

3.障害支援区分認定と支給決定
障害支援区分認定調査のアセスメントは障害程度区分認定調査から大幅に改善されたが、それでも精神障害者の支援区分が低く出るきらいが否めません。そのため、障害支援区分認定調査のアセスメント又はマニュアルは、さらに見直してください。
現在の支給決定方式は、二次審査のための意見書を精神科医が書くなど医学モデルに依拠しています。将来的には、現在の支給決定の方式を改め、社会モデルの観点からニーズを中心とした協議調整モデルに改めてください。
市区町村によっては、相談支援専門員のサービス等利用計画案よりも低い支給量しかでないことがあるが、もっとサービス等利用計画が尊重されるようにしてください。
障害程度区分認定調査員は、意思決定支援ガイドラインの拘束をうけないが、技能に不均等が認められます。意思決定支援や合理的配慮義務、マニュアルの遵守ほかを徹底するようにしてください。

4.居宅介護
1)育児支援
支給決定する市区町村が居宅介護の業務に含まれる育児支援の存在を知らないがゆえに育児をする親が十分に子どもの世話ができないような障害者である場合の育児支援に対して支給しないケースが散見されます。育児支援の周知が不十分であるため、あらためて地方公共団体に向けて文書で周知徹底を図ってください。また、育児をする親が十分に子どもの世話ができないような障害者であるにもかかわらず、障害者を支援する責務をもった地方公共団体が支援をせずに結果としてネグレクト状態に陥り、児童相談所が一時保護をするケースが散見されます。これについては、障害者行政と児童行政の連携に瑕疵があると言わざるを得ません。
2)通院等介助の自宅発着条件
通院等介助は、自宅発着条件を削除してください。また、勤務先から通院先までの移動にも使えるようにしてください。

5.重度訪問介護
1)障害支援区分と行動障害点数
重度訪問介護は、長期入院者等の退院後の地域生活の資源としてきわめて重要です。しかし、多くの精神障害者は、障害支援区分4以上・行動障害10点以上が出ないためニーズがあっても重度訪問介護の利用ができません。行動障害10点の撤廃と支援区分4以下への適用拡大をしてください。また、入院中の重度訪問介護の利用についても支援区分4及び5に適用拡大してください。
2)通勤、勤務中等の利用
重度訪問介護は、通勤、勤務中、通学、修学中の利用を認めるべきです。重度訪問介護の移動制限である「通年かつ長期にわたる外出」を削除すべきです。
3)重度訪問介護従業者養成研修行動障害課程
重度訪問介護従業者養成研修行動障害課程ができたことを評価しています。但し、精神中心と知的中心で運用に若干の差異を認めるため、利用が促進されるように研修の事例集積をおこなうなどしてベストプラクティスを示してください。
4)3人以上の介護
介助内容によっては、2人介護では不十分な場合があるため、3人以上の介護でも支給をできるようにしてください。

6.自立生活援助
自立生活援助の支給期間が一律3年なのは個別性を無視したものです。ニーズに応じて個別的に期限を決定できるようにしてください。

7.共同生活援助
1)運用の実態把握の必要性
共同生活援助事業者の提供するサービスにはバラツキがあります。あからさまなネグレクト運営がある一方、外出制限等の過度な干渉をする事業者など問題のある例が散見されます。共同生活援助の実態調査をしてください。
2)大規模型について
定員20人以上の大規模型共同生活援助は報酬から削除してください。

8.就労継続支援A型及び就労継続支援B型
1)合理的配慮の不徹底
就労継続支援A型事業における合理的配慮の不徹底が散見されるため必要な措置を講じてください。
2)工賃額と報酬
前回の報酬改訂では、工賃額によって報酬が変わる仕組みが採用されました。しかし、この報酬体系はインセンティブを与えるどころか、単純に居心地が悪くなっただけでした。精神障害者には、休息が必要な人が多いため、就労支援機能と居場所機能が共存してはじめて支援となる場合が多いです。工賃と報酬を連動させるべきではないし、就労支援機能と居場所機能の双方が認められるような仕組みにしてください。
3)就労目標
就労を目標とした制度には限界があります。居場所機能の価値を認めてください。

9.相談支援事業
1)相談支援事業所と相談支援専門員の不足
相談支援事業所と相談支援専門員の数が不足しています。そのため、サービス等利用計画が供給できていません。地域によっては、サービス自体が使えないような状態となっています。また、セルフプランの位置付けが弱いことも問題です。相談支援は、報酬額が低いため基本報酬の拡充と加算を充実してください。
2)利用契約と支給決定
計画相談の支給決定は、利用契約と支給決定が連動しています。しかし、契約解除をしていないのに支給決定が変更されているケースがあります。市区町村が利用者と事業者の契約関係を確認せずに支給決定を変更したためと思われますが、混乱が著しいため改めて文書で注意を促してください。
3)初任研修及び現任研修
初任研修及び現任研修の改訂は評価しています。医学モデルに基づくソーシャルワークに依拠した説明を脱し、社会モデルに基づく研修にしてください。

10.地域移行・定着
1)地域移行・地域定着の機能強化
地域移行・地域定着はあまり機能していません。機能するように見直してください。また、患者等にも知られてないため精神科病院内でも入院患者に周知をしてください。
2)精神科病院の面会制限の非適用
地域相談をおこなう相談支援専門員の面会制限を非適用にしてください。

11.地域生活支援事業
1)移動支援
移動支援の地域格差を解消してください。
2)アサポーター研修
 アサポーター研修の想定するピアサポーターは事業所に雇われた精神障害者に限定されており、自立生活センタースタッフ、病棟患者自治会、地域患者会などのピアサポーターが想定されていません。また、当事者団体がピアサポーターの範囲に含まれていません。ピアサポーターの範囲を見直してください。
3)成年後見制度利用促進事業
国連は成年後見制度を条約違反としています。成年後見制度利用促進事業は、成年後見制度との関係から見直しが求められているはずであり、このまま運用を続けることはできないです。成年後見制度利用促進事業の運用を中止してください。

12.障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン
 国連障害者の権利に関する委員会は、一般的意見第1号において最善の利益を否定しています。そのため、最善の利益を規定した障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドラインは一般的意見を参考にしながら見直してください。
以 上  

緊急事態宣言に関する緊急声明

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構される全国組織です。
 政府は、新型コロナウィルス感染拡大の予防策として新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正による緊急事態宣言の発令を検討しています。
 緊急事態宣言は、都道府県知事が「外出自粛」「施設の使用制限」「物資の売渡し」などの要請ができることになっており、著しい私権制限を伴うものになっています。
 わたしたち精神障害者の中には、国策の誤りによって長期入院となった者がおり、地域患者会が公民館等を使って開催する定例会に顔を出すことでなんとか孤立せずに再発することなく地域生活できている者がいます。緊急事態宣言の発令は、このような精神障害者の私生活を脅かし、不可能な状態においやることにならないかと深刻に憂慮します。
 2020年3月6日の衆議院内閣委員会で菅義偉官房長官は、新型コロナウイルスによる肺炎拡大に関し、現時点で緊急事態宣言を出す状況にはないと認識していると答弁しました。現時点でとくに緊急事態宣言を出す状況にはないのであれば、著しい私権制限を伴う緊急事態宣言の検討を見送るべきと考えます。