精神保健福祉法改正案の束ね法案に対する声明

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
 2022年8月、国連障害者の権利に関する委員会の第27回期において第1回日本政府審査がおこなわれました。国連ジュネーブ本部では、約100人の日本人が建設的対話の傍聴にかけつけ、その注目の高さがうかがえました。建設的対話において石川准内閣府障害者政策委員長は、長期入院の問題や入院者全体に占める非自発入院の割合の多さなどの問題を報告し、政府として取り組めていない重大な課題があることを強調されました。委員からは、日本の精神科医療に関する質問が相次ぎ、改めて国際社会からの関心の高さがわかる結果となりました。
 私たちは、この秋の臨時国会に提出が予定されている精神保健福祉法改正法案の附則には、検討条項を設けるとともに、「障害者の権利に関する条約第三十六条及び第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、障害者を代表する団体の参画の下で、関連法制度の見直しを始めとする必要な措置について検討する」という一文を入れて、確実に障害者権利条約審査の結果を踏まえた政策の検討をできるように求めています。さらに病院訪問支援や精神科病院における虐待の通報義務については、精神保健福祉法を根拠法にしないように求めてきたのにもかかわらず、精神保健福祉法を根拠法にしようとする動きも出てきております。精神保健福祉法にさ、重大な瑕疵があり、この法律の下で運用されることを深刻に憂慮します。しかし、精神保健福祉法改正案は、障害者総合支援法などの他の法案との束ね法案が予定されております。
 精神保健福祉法改正案については、総括所見を踏まえて丁寧に審査を深める必要があります。そのため、全国「精神病」者集団は、束ね法案による審議のような形ではなく、それぞれの法律において十分な審議時間が確保できるような形での法案提出を強く望みます。