京都ALS嘱託殺人事件の報道のあり方に関する緊急声明

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 私たちは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性から頼まれ薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人の疑いで医師2名が逮捕された事件をめぐる報道について2020年7月27日付けで報道機関各位宛ての意見書を出しました。しかし、未だに障害者への配慮を欠く報道が散見されます。
 第一に本事件は、嘱託殺人事件であって安楽死ではありません。刑法に嘱託殺人罪という罪刑が存在するのは、同意があれば人を殺してよいことになどならないからです。この事件を安楽死と表現するあらゆる記事に抗議します。
 第二に父親が介護をしていなかったなどとする報道がありますが、自立生活運動は障害者が家族に頼ることなく、ヘルパーを使って施設ではなく地域で暮らす運動です。林さんは、ヘルパーを利用しながら7年も自立生活してきた人です。家族が障害者の世話をすることを前提とした報道は、障害者運動の思想を知らない中立性を欠いた差別的報道であり抗議します。
 以上、改めて報道関連機関には障害者に配慮のある報道をすることを求めます。