京都における障害者の嘱託殺人事件の報道について

報道各位

わたしたち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成された精神障害者個人及び団体の全国組織です。
2020年7月23日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性から頼まれ薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人の疑いで医師2名が逮捕されました。この事件で、まず報道すべきことは、容疑者の人物評価・差別意識であるはずです。しかし、中には被害者が同意していた事実にフォーカスを当てて安楽死・尊厳死法制化の議論を扇動するよものが散見されます。本事件は、あくまで嘱託殺人であって安楽死ではありません。非難されるべき行為を法律をつくって追認させようとする論調は間違っています。
障害を理由とした安楽死・尊厳死は、津久井やまゆり園事件の犯人の優生思想に通じるものです。わたしたち障害者団体は、尊厳のある死ではなく、誰もが尊厳をもって生きられる社会を求めます。本事件をめぐる報道では、短絡的に安楽死・尊厳死に結びつけるのではなく、わたしたち障害者に配慮したものにしてください。