【声明】津久井やまゆり園事件の公判開始にあたって

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2020年1月より、私たち障害者を標的とし、戦後最大の死者を出した殺人事件・津久井やまゆり園事件の公判がはじまります。公判前からすでに、被告人に対して措置入院を解除したことの影響、地方公共団体による情報共有がなかったために被告人に対する支援が途切れたことの影響、大麻の使用について医療機関が警察に情報提供しなかったことの影響に関心が向けられています。これらの論点は、本来は犯罪行為とまったく関係がありません。これらの論点は、津久井やまゆり園事件の再発防止を措置入院に結びつけるためだけのものであり、ヘイトクライムという本質から目を背けさせている点できわめて問題があります。また、これらの論点は、医療等の支援があれば事件の発生を防ぎ得るという根拠不在の誤った前提に立ったものであり、かつ、支援に警察を入れて監視を強めようとするものにほかなりません。このような事実の係争は、刑事裁判で行うべきではありません。
 また、このような論点が迫り出してきたことと精神保健福祉法改正法案は、決して無関係のこととは思えません。第196回通常国会において精神保健福祉法改正法案の再提出が見送られ、当時の厚生労働大臣によってガイドラインの運用状況をみて出し直されることが宣言されました。2018年度は研修実施などの準備期間に当てられ、2019年度はいくつかの自治体で運用が開始されました。そして、2020年度には、ガイドラインの実施状況のモニタリングが予定されています。ちょうど、モニタリングの時期と公判判決が出される時期が同時期であり、その後に精神保健福祉法改正法案が出し直されることになると思われます。津久井やまゆり園事件の判決が精神保健福祉法改正法案の中身に影響しまいかと深刻に憂慮しています。津久井やまゆり園事件の判決と精神保健福祉法改正法案を結び付けることはあってはなりません。
2019年1月5日

【声明】死刑執行に対する抗議声明

わたしたち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
2019年12月26日、死刑囚(福岡一家4人殺害事件)に対して死刑が執行されました。死刑は、人の命を奪う刑罰であり、卑しくも国家による重大かつ深刻な人権侵害です。全国「精神病」者集団は、このたびの死刑執行に対して強く抗議します。
2019年12月26日

元農水事務次官長男殺害事件の報道に関する緊急要望書

 日頃、貴社におかれましては迅速で正確な報道のためご尽力されていることを心より敬意を表します。私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
さて、2019年12月12日、元農水事務次官長男殺害事件初公判において被告人は起訴事実を認め、12月16日の判決では懲役6年の実刑が言い渡されました。現在、被告人側は判決には事実誤認があるとして控訴しています。
この事件について、一部報道では、「長男には精神障害がある」「家族はたいへんなのでやむを得ないのではないか」などと精神障害者に限っては迷惑だから殺されてもしかたないかのようなものがありました。
これらは精神障害者の命を軽んじ、偏見・予断を助長させるため、たいへん深刻に憂慮しています。
すでに家族への同情と引き換えに精神障害者が殺されることを軽く見る偏見に基づいた声が散見されます。このように報道は、一般国民に対して多大なる影響力をもっています。貴職については、自らの影響力を考慮し、精神障害者を排除するような社会的偏見がひろがらないよう、報道機関には地域で生活している精神障害者の立場や気持ちも含めて、配慮のある報道を望みます。
以 上 

措置入院の運用に関する意見書

2019年12月15日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、厚生労働省では、措置入院の運用についての検討がおこなわれています。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり要望を申し上げます。

1.医療と司法の連携について
措置入院をめぐって医療と司法が連携しなければならないことはありません。
例えば、措置入院が不要な人に対して警察が措置入院にさせようと精神保健指定医に介入する問題については、警察庁から各都道府県警察・警察署宛に精神保健指定医の判断を尊重し、異を唱えなることのないように通知を出せば解決できます。よって医療と司法の連携によって解決すべき事案ではありません。
また、措置入院の診察にあたって精神保健指定医に短時間で判断が求められるなか、警察からの情報提供がないといった課題については、2016年に板橋警察署からの情報提供に事実と異なる内容が書かれていたため、事実と異なる背景事情に基づき措置入院の判断がなされたという問題が起きており、よいことばかりではないことがわかります。これは、措置入院の制度自体に無理があるからにほかなりません。本来は、措置入院の制度自体の破綻を認めた上で、真に必要とされる医療制度へと抜本的に改めるべきなのです。よって医療と司法の連携によって解決すべき事案ではありません。

2.援助関係者としての警察参加について
事例集の28番事例には問題があります。この事例は、地域で生活する精神障害者が警察官くらいしか身寄りがなく、事例中に保健所機能のことが書かれていないため、結局警察官を援助関係者にするしかないような内容になっています。このように援助関係者として警察官を入れることに合意を誘導していくような協議のあり方には問題があります。警察官とどのような関係であろうとも、警察の本務を拡大して適用するような論調には賛成できませんし、わたしたち精神障害者にとっては、警察が地域生活に入ってくることに大きな不安を感じています。当該事例については、各地方公共団体に設置された協議の場において実際に使われないように工夫と配慮をお願いします。

3.協議の場の成員の個人情報について
協議の場には、障害者団体からの参加が想定されており、精神障害者が構成員として入ることが考えられます。他方で協議の場には、警察の参加も想定されています。協議の場では、個人情報を扱わないことになりましたが、協議の場を通じて警察が得た構成員の個人情報の取り扱いについては、とくにルールが定められていませんでした。すなわち、協議の場の構成員の名前と精神障害がある事実にかかわる記録が警察組織内でどのように保存、処理されるのかがわからないのです。私たちは、職務質問により精神障害の事実が明らかにされた者が運転免許の臨時適性検査の対象とされ免許停止とされた事案の相談をうけています。警察内における情報の使われ方には、強い警戒心があります。協議の場には、警察内に病歴・入院歴の記録が残らないような仕組みが必要であり、その仕組みによって担保されないのならば協議の場への警察参加はするべきではありません。

4.公判について
来年、津久井やまゆり園事件の公判がはじまります。公判前からすでに、被告人に対して措置入院を解除したことの影響、地方公共団体による情報共有がなかったために被告人に対する支援が途切れたことの影響、大麻の使用について医療機関が警察に情報提供しなかったことの影響に関心が向けられています。これらの論点は、津久井やまゆり園事件の再発防止を措置入院に結びつけるためだけのものであり、ヘイトクライムという本質から目を背けさせている点で問題があります。また、これらの論点は、医療等の支援があれば事件の発生を防ぎ得るという根拠不在の誤った前提に立ったものであり、かつ、支援に警察を入れて監視を強めようとするものにほかなりません。
このような論点が迫り出してきたことは、精神保健福祉法改正法案と無関係とは思えません。第196回通常国会において精神保健福祉法改正法案の再提出が見送られ、当時の厚生労働大臣によってガイドラインの運用状況をみて出し直されることが宣言されました。2018年度は研修実施などの準備期間に当てられ、2019年度はいくつかの自治体で運用が開始されました。そして、2020年度には、ガイドラインの実施状況のモニタリングが予定されています。ちょうど、モニタリングの時期と公判判決が出される時期が同時期であり、その後に精神保健福祉法改正法案が出し直されることになると思われます。津久井やまゆり園事件の判決が精神保健福祉法改正法案の中身に影響しまいかと深刻に憂慮しています。津久井やまゆり園事件の判決と精神保健福祉法改正法案を結び付けることはあってはなりません。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
内閣府障害者制度改革担当室長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

2.障害者の権利に関する条約第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じるようにしてください。

3.精神障害の当事者参画の推進
貴庁におかれましては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者団体の推薦を得た精神障害当事者の障害者政策委員会への参画を推進してください。その際には、ピアサポーターの職能団体の代表者だけではなく、地域患者会や病棟患者自治会、自立生活センタースタッフなど幅広い層の精神障害者を構成員とした全国組織から推薦を得た精神障害当事者の参画をすすめてください。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
法務省民事局参事官室 御中

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、わが国の成年後見制度は、精神上の障害により事理を弁識する能力になんらかの問題がある者に対して行為能力を制限するための審判を規定したものです。民法明文上にも「精神上の障害」とあるように成年被後見人等の大部分が精神障害者ということになります。そのため、成年後見制度は、精神障害者の生活にかかわる制度です。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.精神障害の当事者参画の推進
貴省におかれましては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者に係る法制度の見直し等(例えば、成年後見制度の見直し)をおこなう場合に障害者団体の推薦を得た精神障害当事者の合議体及び審議会への参画、その他、ヒアリング等を推進してください。

2.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

3.障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じてください。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
最高裁判所事務総局家庭局第二課長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、わが国の成年後見制度は、精神上の障害により事理を弁識する能力になんらかの問題がある者に対して行為能力を制限するための審判を規定したものです。民法明文上にも「精神上の障害」とあるように成年被後見人等の大部分が精神障害者ということになります。そのため、成年後見制度は、精神障害者の生活にかかわる制度です。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.精神障害の当事者参画の推進
障害者に係る法制度・規則・書式等の見直し等(例えば、成年後見制度の見直し)にあたっては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者団体の推薦を得た精神障害当事者からのヒアリング実施等を推進してください。

2.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

3.障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じてください。
以 上

精神科専門医研修制度に関する要望書

2019年11月21日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、厚生労働省では、現在精神科専門医と研修についての検討がおこなわれています。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり要望を申し上げます。

精神科医のクライアントとのかかわりは、決して診察室だけに閉ざされるべきものではありません。医療者団体の成員として団体に携わりながら当事者運動・当事者団体とのパートナーシップをどのように築くかについて障害学を基礎にして考える仕組みが必要です。
また、そうしたカリキュラムの作成過程は、精神障害当事者の参画が不可欠であり、精神障害当事者講師の参画が望ましいと考えます。精神科専門医制度の検討にあたっては、こうした精神障害当事者の声を踏まえられるようお願い申し上げます。
以 上 

JDF全国フォーラム:障害者権利条約の完全実施をめざして~2020年の審査・勧告でどう変わる、私たちの暮らし~

日 時: 2019年12月5日(木)10:00~16:40
場 所: ベルサール東京日本橋(東京都中央区日本橋(日本橋駅直結))
     https://www.bellesalle.co.jp/shisetsu/tokyo/bs_nihonbashi/access/
参加費: 1,000円 (介助者等は無料。点字資料、手話通訳、要約筆記、ヒアリングループあり)
主催 日本障害フォーラム(JDF)
● キリン福祉財団、住友財団、損保ジャパン日本興亜福祉財団、ヤマト福祉財団 助成事業 ●

プログラム(順不同・敬称略・一部調整中)
10:00 主催者挨拶、来賓挨拶
10:10 基調講演
    テレジア・デゲナー 前 国連・障害者権利委員会委員長
12:00 イエローリボンのご紹介
     JDF企画委員会
13:10 JDF障害者権利条約「パラレルレポート」の作成と「建設的対話」に向けた取り組み
    佐藤 聡 JDFパラレルレポート特別委員会事務局長/DPI日本会議事務局長
13:40 国連・障害者権利委員会の最新動向(仮題)
    石川 准 障害者権利委員会副委員長/障害者政策委員会委員長
14:10 パネルディスカッション
      各分野の取り組み・試み ~私たちの暮らしを変えるために
    パネリスト:
     日本弁護士連合会、地域行政、企業、障害者団体など
16:40 閉会

申込方法
1.こちらのサイトからお申込みいただけます。
https://www.normanet.ne.jp/~jdf/seminar/20191205/

障害者の権利に関する条約の事前質問外務省仮訳への修正意見

2019年11月19日
内閣府障害者政策委員長 殿
外務省総合外交政策局人権人道課長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、に開催された内閣府障害者政策委員会において障害者の権利に関する条約の事前質問の外務省仮訳が示されました。全体的に真摯な訳であると評価しておりますが、私たち精神障害者にかかわる部分でどうしても修正が不可欠な点がございましたので、下記のとおり修正のご要望を申し上げます。

◆第12条
◇事前質問事項
11. Please provide information about the measures taken to:
(a) Repeal all laws that restrict the right of persons with disabilities to equal recognition before the law, and bring the legal framework and practices into line with the Convention, including by amending the Civil Code, end de facto guardianship and replace substituted decision-making with supported decision-making;

◇外務省訳
11以下のために講じた措置についての情報を提供願いたい。
a障害者が法律の前にひとしく認められる権利を制限するいかなる法律も撤廃すること。また,民法の改正によるものを含め本条約に従うために事実上の後見制度を廃止すること。また,代替意思決定を支援付き意思決定に変えること。

★修正案
11以下のために講じた措置についての情報を提供願いたい。
a障害者が法律の前にひとしく認められる権利を制限するいかなる法律も撤廃すること。また,法的枠組み及び実践を本条約に適合させるため、民法の改正、実質的な成年後見制度の廃止、代理意思決定を支援された意思決定に転換させること。

◇修正の趣旨
1.求められていることは、大きく、法的枠組み及び実践を条約に一致させるためであることと、障害者の権利を制限する法律の廃止である。このような文の構造を適切に反映した訳文に修正した。
2.de factoは、「実質的な」のほうが適切な訳語である。

◇事前質問事項
(c) Raise awareness about the rights of all persons with disabilities to equal recognition before the law and to receive support for decision-making, particularly targeting persons with disabilities and their families, professionals in the judiciary, policymakers and service providers working for or with persons with disabilities.

◇外務省訳
c障害者が法律の前にひとしく認められる権利及び意思決定のための支援を受ける権利について意識の向上を図ること。特に,障害者とその家族,司法の専門家,政策立案者及び障害者のためにあるいは障害者とともに働いているサービス提供者を対象とするもの。

★修正案
c特に,障害者とその家族,司法の専門家,政策立案者、障害者のためにあるいは障害者とともに働いているサービス提供者を対象として、すべての障害者の法律の前にひとしく認められる権利、及び意思決定のための支援を受ける権利について意識の向上を図ること。

◇修正の趣旨
1.文脈が伝わるように文章の構成を修正し、原文に沿って1文につなげた。
2.allが訳し落とされている。

◆第14条
◇事前質問事項
13. Please provide information on the measures taken to:
(a) Repeal laws, including the Act on Mental Health and Welfare for the Mentally Disabled, in particular articles 29, 33 and 37, and the Act on Medical Care and Treatment for Persons Who Have Caused Serious Cases under the Condition of Insanity, which restrict the liberty and security of persons with disabilities on the grounds of actual or perceived impairment, including legislation allowing for the forced institutionalization of persons with disabilities;

◇外務省訳
13以下のために講じた措置についての情報を提供願いたい。
a「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第29条,第33条及び第37条,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」を含め障害者の自由及び身体の安全を実際の障害又は障害があると認められることに基づき制限する法律を撤廃すること。これには,障害者の強制的な施設収容を認める法令を含む。

★修正案
13以下のために講じた措置についての情報を提供願いたい。
a精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、中でも特に第29条,第33条及び第37条,及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律を含めて、障害者の強制的な収容を許可する条項など、実際の障害や障害があるとみされたことに基づき障害者の身体の自由及び安全を制限する法律を撤廃すること。

◇修正の趣旨
1.精神保健福祉法全体を廃止するよう勧告されていることがわかりにくい訳である。
2.障害があると認められることではなく、見なされるなど適切な文脈を反映できる訳語を当てるべきである。

◇事前質問事項
(b) Address the increase in the number of hospitalizations of persons with intellectual or psychosocial disabilities, and end their indefinite hospitalization.

◇外務省訳
b知的又は心理社会的障害のある者の入院件数が増加していることに対応すること,及び彼らの無期限の入院を終わらせること。

★修正案
b知的又は精神障害者の入院件数の増加に対応すること,及び知的又は精神障害者を漫然と入院させることをやめること。

◇修正の趣旨
1.indefiniteは、単に期限が決まっていない(無期限)という意味よりも、なんらの手立てもなく留め置かれているという意味で「漫然と」という訳語をあてたほうが適切である。

◆第15条
◇事前質問事項
14. Please provide information on:
(a) The measures taken to abolish in law, including in the Act on Medical Care and Treatment for Persons Who Have Caused Serious Cases under the Condition of Insanity, and in practice, the use of physical and chemical restraints, including forced electroconvulsive therapy, forced medication, isolation, and other non-consensual, humiliating and degrading practices used on persons with disabilities, in particular those with intellectual or psychosocial disabilities;

◇外務省訳
14以下についての情報を提供願いたい。
a障害者,特に知的又は心理社会的障害のある者に対して用いられる,強制電気痙攣療法,強制治療,隔離,その他同意のない屈辱的で品位を傷つける実践を含む,身体的及び化学的拘束を用いることを廃止する法律(「精神障害者医療治療法(ママ)」,「医療観察法(ママ)」,「医療保護観察法(ママ)」を含む)上及び実践上の措置。

★修正案
14以下についての情報を提供願いたい。
a心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律を含む法律の廃止のためにとった措置。及び、運用面で、障害者,特に知的又は精神障害者に対して用いられる,強制電気痙攣療法,強制治療,隔離,その他同意のない屈辱的で品位を傷つける実践を含む,物理的及び化学的身体拘束の使用の廃止のためにとった措置。

◇修正の趣旨
1.現在の訳文は、全体として、医療観察法が障害者を拘束から守る法律であるように読めるため、訳文の構成を変えたほうがよい。法律面と運用面を2文に分けて訳した方が、より英文に近く、趣旨がわかりやすい。
2.physical and chemicalは、物理的な拘束と化学的(薬物による)拘束の対比なので、身体的→物理的とする訳語が適切である。

◇事前質問事項
(b) Whether there are independent monitoring systems to investigate violations of the rights of persons with intellectual or psychosocial disabilities who receive forced treatment or are long-term hospitalized under the Act on Mental Health and Welfare for the Mentally Disabled.

◇外務省訳
b「精神保健福祉法(ママ)」のもとで強制治療又は長期入院措置を受けた知的又は心理社会的障害のある者の権利の侵害について調査する独立した監視システムが存在するかどうか。

★修正案
b精神保健福祉法に基づいて強制治療されている又は長期入院している知的又は精神障害者の権利の侵害について調査するための独立した監視システムが存在するかどうか。

◇修正の趣旨
1.receive forced treatment or are long-term hospitalizedは、現在形なので「受けた」は不適切である。また、「措置」にあたる英単語はないので削除する。

◇事前質問事項
15. Please indicate the measures taken to investigate cases of forced sterilization of persons with disabilities, including those under the former Eugenic Protection Law, and provide information on whether the statutes of limitations limit access to justice for persons who were subjected to forced sterilization. Please explain the measures under the Act on the Provision of Lump-sum Compensation to Persons Who Received Eugenic Surgery, under the Former Eugenic Protection Law, to provide compensation and redress for persons with disabilities, including updated information on the payments disbursed as compensation.

◇外務省訳
15「旧優生保護法」のもとで行われた事案を含め,障害者に対する強制不妊事案を調査するためにとられた措置についてお示しいただきたい。また,出訴期限法によって強制不妊された女性が司法手続を利用することを制限されるかどうかについてもお知らせ願いたい。「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」のもと行う障害者に対する賠償補償提供の措置について,補償として支払った金額についての最新情報を含め説明願いたい。

★修正案
15旧優生保護法に基づいて行われた事案を含め,障害者に対する強制不妊事案を調査するためにとられた措置についてお示しいただきたい。また,強制不妊を受けさせられた人が出訴期限法によって司法手続の利用を制限されるかどうかについてもお知らせ願いたい。旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づいて行う障害者に対する賠償及び補償の提供のための措置について,補償として支払った金額についての最新情報を含め説明願いたい。

◇修正の趣旨
1.文脈が伝わるように適切な文構成になおした。

◆第25条
◇事前質問事項
25. Please provide information on:
(a) The measures taken to ensure that laws and regulations concerning health care and services for persons with disabilities and their implementation comply with the Convention, in particular the Act on Medical Care and Social Supports for Patients with Intractable/Rare Diseases;

◇外務省訳
25以下についての情報を提供願いたい。
a障害者に対する保健やサービスに関する法令とその履行が本条約に従っていることを確保するためにとった措置。特に,「難病の患者に対する医療等に関する法律」について。

★修正案
25以下についての情報を提供願いたい。
a障害者に対する医療や保健サービスに関する法令及び規則、及びその実施を本条約に準拠させるためにとった措置。特に難病の患者に対する医療等に関する法律について。

◇修正の趣旨
1.health care and servicesは、医療及び保健サービスという訳語を当てるべきである。
2.laws and regulationsは、法律だけでなく、条令や民間の決まり(規則とした)なども含むため、より適切な訳語を当てた。
以 上 

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