元農水事務次官長男殺害事件の報道に関する緊急要望書

 日頃、貴社におかれましては迅速で正確な報道のためご尽力されていることを心より敬意を表します。私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
さて、2019年12月12日、元農水事務次官長男殺害事件初公判において被告人は起訴事実を認め、12月16日の判決では懲役6年の実刑が言い渡されました。現在、被告人側は判決には事実誤認があるとして控訴しています。
この事件について、一部報道では、「長男には精神障害がある」「家族はたいへんなのでやむを得ないのではないか」などと精神障害者に限っては迷惑だから殺されてもしかたないかのようなものがありました。
これらは精神障害者の命を軽んじ、偏見・予断を助長させるため、たいへん深刻に憂慮しています。
すでに家族への同情と引き換えに精神障害者が殺されることを軽く見る偏見に基づいた声が散見されます。このように報道は、一般国民に対して多大なる影響力をもっています。貴職については、自らの影響力を考慮し、精神障害者を排除するような社会的偏見がひろがらないよう、報道機関には地域で生活している精神障害者の立場や気持ちも含めて、配慮のある報道を望みます。
以 上