【声明】参議院の障害者関連法案参考人質疑における精神障害当事者の不在について

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
 全国「精神病」者集団は、第210回国会の開始直後から衆参両院の厚生労働委員に向けて精神保健福祉法改正案の審査に当たっては精神障害当事者を入れるようにとお願いしてきました。しかし、衆議院の法案審査では精神障害当事者の参考人が招致されましたが、参議院の法案審査では精神障害当事者の参考人が招致されませんでした。障害者権利条約の勧告の後の議院運営のあり方として非常に問題があると思っています。
 精神保健福祉法に基づく非自発的入院や行動制限を受ける当事者は、精神障害者を除いて他にいません。どんなに詳しい有識者であったとしても、当事者とそうではない者との間には、うめようのない非対称性が横たわっています。
そのため、衆参両院のそれぞれの審査において必ず当事者を参考人に入れるべきだと考えます。また、可能な限り色々な人から意見を聞くべきとする議院の慣習は理解していますが、その結果として、いずれかの院が当事者不在になるのであれば本末転倒であると考えます。
 第193回国会に提出された精神保健福祉法改正法案は、参議院先議でありながら廃案になるという憲政史上にない前代未聞の末路を辿りました。このときの対政府質疑でも政策決定過程における当事者不在が問題となりました。このたびの参議院の法案審査は、参考人質疑も当事者不在の状態で進められ、採決されることになりますが、今後は衆参両院の立法過程における当事者参画を徹底させるよう求めていきたいと思います。