立憲民主党政務調査会長 泉ケンタ 様
日ごろより病者・障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
さて、2021年1月22日、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。同法案は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正と感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部改正を一括したものです。新型インフルエンザ等対策特別措置法改正では、営業時間短縮や施設の使用制限の命令に応じない場合の処罰規定が盛り込まれており、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部改正では、新型コロナウイルス感染症の患者・感染者が入院措置に反したり、積極的疫学調査・検査を拒否する場合の処罰規定が設けられています。
しかし、本来なら現行の感染症法第19条は、「患者の同意」を限定的に抑制するパターナリズムに基づく手続きを定めた規定であり、従わなければ処罰するというかたちで同意自体に保護法益を認めようとするものではありません。かつ、このような処罰規定は、感染しているというだけで罰則を伴う入院勧告・措置の対象になるため、それを忌避するために検査を受けないという行動を誘発する可能性まであり逆効果です。そしてなによりも感染症であることを理由とした刑罰を容認することは、患者の差別、偏見を助長するものであり、きわめて問題があります。このままの内容ならば同法案には反対せざるを得ません。
つきましては、下記の通り要望を申し上げます。
記
入院措置に応じない場合又は入院先から逃げた場合に罰則を科すること及び感染症の患者等が積極的疫学調査に係る質問に対して正当な理由がなく答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は正当な理由がなく調査を拒み、妨げ若しくは忌避した場合に罰則を科することについては、過料を含む処罰規定を削除する法案修正をしてください。また、営業時間短縮や施設の使用制限の命令に応じない場合の処罰規定についても削除する法案修正をしてください。
以 上