精神疾患を有する新型コロナウイルス感染症への対応に関する抗議声明

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2020年4月3日に「精神科を標榜する医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」が出されました。当該事務連絡は、「精神疾患を有する方で新型コロナウイルスに感染していることが判明した方等について、精神科を標榜する医療機関(以下、「精神科医療機関」という。)において対応することが求められる場合が想定される」として留意事項を都道府県・政令市に宛てたものです。
 当該事務連絡は、新型コロナウィルスに感染した精神障害者を専ら精神科病院で対応することを求めた文書ではないのだと思います。しかし、検査が行き届かず、医療現場が混乱している状況下で当該事務連絡のようなものを出されたため、精神障害者は新型コロナウィルスに感染した場合も原則として精神科病院で対応するものという読み方がなされ、逆に一般の病院等での治療を受けられない根拠のようにされてしまっています。
 本来なら精神障害者が感染した場合に精神障害を理由として一般の病院等から受け入れが拒否されることがないように慎重な対応が求められるはずです。当該事務連絡は、こうした慎重さが足りず極めて問題があります。
 また、多くの精神科病院では感染症への対応は困難と思われます。そのため、精神科病院と感染症の病院との間で調整という名の押し付けあいが起きています。当該事務連絡によって現場が混乱を極めており、すでに取り下げざるを得ない状況にあると思います。
そして、なにより精神科病院には明らかに入院不要な患者が長期入院しており、新型コロナウィルス感染に基づく入院を入り口として、再び、長期入院の問題につながっていくことにならないかと深刻に憂慮します。
 当該事務連絡は、精神障害者は原則として精神科病院で対応するものと読めてしまうものであり、上述の問題を帰結せしめたため強く抗議します。

   2020年4月30日

厚生労働省事務連絡「精神科を標榜する医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について」