医療基本法イメージ案への意見

1 健康・長寿社会の実現に向けた重点施策は「骨太方針」などによって担保される。こころの健康は、健康・長寿社会の実現に向けた重点施策に含まれる。精神医療領域の政策指標は、結果として精神科医を増やすだけの内容となっているが、我々は漫然と量だけを整備することを望んでいない。むしろ、現在の質で量だけが増えるなら有害ですらある。よって、医療基本法の前文が、このような位置づけを示すものであってほしくない。

2 医療法第1条には、「この法律は(中略)もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。」とある。イメージ案の目的条項は、医療法の目的条項を踏襲したことによって、従来からの医療者側の視点による医療基本法となっており、患者の視点や患者の権利に基づく医療基本法のかたちにはなっていない。また、議連の議論も踏まえられていない。この点は極めて問題が大きく、目的条項の全文を再検討するべきである。

3 「自ら決定する」に用語を統一し、「意思決定」という曖昧な表現は使わない方がいい。

4 医療者の責務規定のなかに患者に対する責務の規定を設けるべきである。

5 患者の政策決定過程からの参画は、努力義務ではなく推進体制を具体的に法律明文に位置付け義務化すべきである。

6 被験者保護の明文を入れるべきである。

7 本法に則した関連法令の見直しを規定すべきである。

8 疾病や障害に基づく差別の禁止、除去に係る規定を設けるべきである。