精従懇アピール文――身体拘束10年で2倍増加問題をうけて

 精従懇参加者の皆さん!
 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成する全国組織です。
 厚生労働省(精神保健福祉資料)によると身体拘束の件数は、10年で2倍にまで増加し、調査方法が変わった昨年度以降においても身体拘束が増え続けているとする推計が出されました。厚生労働省は、身体拘束の増加要因を明らかにするため身体拘束大規模調査実施を決めましたが、様々な要因により頓挫状態となっています。
 私たち全国「精神病」者集団は、身体拘束の要/不要以前の問題として、精神保健福祉法に根拠を置き、精神障害者であることを要件としておこなわれる拘束等の人身の自由剥奪は、障害者権利条約第14条の趣旨に違反するものと考えています。
 さて、精従懇加盟団体の間では、少なくとも身体拘束を減らしたいという思いは一致していると思います。しかし、具体的にどのように減少させるべきかについては、病棟の機能分化や代替方法としての個室の使用など提案が五月雨式に出され意見がなかなかまとまらないです。
 しかし、私たちとしては、実際に身体拘束を減少させるためには、技術レベルの向上だけでは大きな変化は期待できないと思っています。すなわち、国が減らすという方針を明確に打ち立てた上で減らすための取り組みをしなければ、現状はなかなか変わらないと思います。実際に身体拘束を減らすことに成功したほとんどの国では、国が身体拘束を減らすための指針を設けています。
 そのため、実際に病棟で思い思いの関わりをしている方々には、その世界から見える課題があるのは当たり前だと思いますが、国が指針を定めなければなかなか現状は変わらないわけなので、そのような考えのもと身体拘束の問題に取り組まれることを強くよびかけます。
 2019年3月16日