優生保護法救済法案骨子への第二次意見書

2019年3月11日
優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟
会長 尾辻秀久 様

 平素より、精神障害者の地域生活の政策・立法にご尽力いただき誠にありがとうございます。私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 さて、このたび優生保護法超党派議連の総会において優生保護法救済法案骨子がまとまりました。しかし、既に各団体から指摘されている通り、未だに優生保護法救済法案骨子の中身は著しく不十分といわざるを得ません。障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みた優生保護法救済法案骨子となるように下記のとおり意見を申し上げます。

優生保護法救済法案骨子に調査の規定が盛り込まれた。調査、検証、再発防止に関する明文規定が設けられたことは高く評価している。厚生労働省による2018年7月の調査は、病院等からの協力が十分に得られなかったことで不徹底のままにおわっている。そのため、行政の把握している被害者の数は実際の被害者の数よりもはるかに少ない数にとどまっている。医療業界は、反省と謝罪によって網羅的調査に積極的に協力する態度を固める必要があり、こうして医療業界の協力を得ながら更に被害実態を明るみにしていく必要がある。
この調査の規定は、「国は、疾病や障害を理由として生殖を不能にする手術又は放射線の照射を強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を講ずるものとすること。」というものである。ここで言われている「旧優生保護法に基づく優生手術等」とは、書きぶりから言って旧優生保護法に関連したあらゆる問題が含まれるのだと理解できる。例えば、旧優生保護法に基づく優生手術等の影響により母体保護法以降においても継続して手術(パイプカット等)の強要がおこなわれてきたことについては、ここで言われている「旧優生保護法に基づく優生手術等」のひとつになり得る。また、ここで言われている「その他の措置」の中には、法的措置が含まれ得るものと理解できる。すなわち、この調査条項は、各方面から課題とされてきた救済の対象範囲拡大などの法的措置を妨げないものなのである。
 しかし、こうした書きぶりで合意できたのであれば、①母体保護法以降の問題についても旧優生保護法に係る問題が対象範囲に含まれるという解釈を答弁や付帯決議で担保すること、②附則に法律の見直しや延長の検討について明文で担保することなど、より積極的なかたちで進めていただきたい。