成年後見制度利用促進法案に反対する合同記者会見の報告

3月31日の14時から厚生労働記者クラブにおいて成年後見制度利用促進法案の反対緊急合同会見が行われた。
出席者は、弁護士の池原毅和氏(東京アドヴォカシー法律事務所長)と全国「精神病」者集団運営委員である関口明彦氏(元内閣府障害者政策委員)、ALSの当事者である岡部宏生氏(さくら会)、さくら会の川口有美子氏である。会見には約8名の記者が集まった。
池原氏からは、成年後見制度自体に内在する問題を指摘したうえで、障害者権利条約など国際社会に照らせば、代理人による決定を推進する法案は時代に逆行している動きだと主張した。関口氏は、精神障害の当事者の立場から、強制入院の問題をあげ、意思決定という文脈では本人の意思にかかわらず代理人によって決定されてしまう点では変わりないと指摘した。さらに、最も成年後見制度の対象とされる精神障害者と知的障害者が障害者政策委員から除外された状態で進められている現状を強く批判した。ALSの当事者である岡部氏は、コミュニケーションが介助者を通してしかできない自身の状態をさらしながら、意思を読み取られない状況に置かれている当事者が多くいること、またそのことで意思が阻害されてしまっている状況を訴えた。そして代理人による決定でもなく、過去の自分の決定でもなく、現在の自分の意思を読み取ってほしいと述べ、当事者の自己決定を保障する制度の検討を求めた。さくら会の川口氏は、本人の意思が身近な家族によって疎外されてしまう現状を述べ、その要因の一つには重度訪問介護などの介護制度の地域格差があると指摘した。そしてまず検討されるべきことは、代理人による医療同意の検討ではなく、重度訪問介護などの介護制度の充実であると主張した。
記者には、弁護士と精神障害当事者とALSの当事者が、この法案のどのような点が問題として一致するのか、それぞれの立場から主張が展開されたことによって理解してもらえたと思う。会見が終わってからも、それぞれにたいして記者が熱心に取材していたことからも、手ごたえがあった。

これによって4月1日には『朝日新聞』が記事を出し、4月2日には『東京新聞』がかなり写真付きの大きな記事を出してくれました。また、5月ごろには『社会新報』が成年後見制度についてまとまった記事を作ってくれることを約束してくれました。これらの新聞に先駆けて『京都新聞』が11月に出した記事の効果は大きかったといえます。