2012年4月19日「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」 ヒアリングに向けて

前提として

そもそも社会的でない入院は他の科も含め存在しない。病院という存在が生み出されそれにより入院患者が生まれたのは医療史の語るところである。もちろん技術集約や先進医療のための「病院でしかできない治療のための入院」そしてそのための「病床」は今後もあり続けるであろうが、一般科であっても高齢化による慢性的な疾患の増大という疾病構造の変化によって、「病院の世紀20世紀の終焉」が来ようとしている。

「精神科病院」は、「精神病院」から名称変更し、「入院でしかできない治療」に純化し一般病床と同じ位置づけを求めるという方向を示しているのであろうが、果たして精神科において社会的入院でない病院でしかできない治療のための入院というは存在しうるであろうか? 「精神科病院でしかできない高度な医療」の中身はいったいなにか、そうした議論がまずなされなければならない。

急性期であろうと精神病院ではなく、自宅で治療を行う実践はすでに各国で行われている、また家庭的な小規模の施設によって、薬を使わないで急性期を乗り越えるソテリアのような治療共同体は対照群の一般的な精神科救急より高い成果を上げたという調査も行われた。

現在でもスイスのソテリアベルンにおいてこうした「治療」が実践されており、精神病院をなくしたイタリアにおいても抗精神病薬を初発においてつかわずに対応するソテリアのモデルが注目されているところである。

また日本でも地域で精神障害者支援を行っている人々の間では入院がむしろマイナス要因が大きいことは共通認識とされている。(たとえば、南相馬市ひまわりの家スタッフ 発言、精神科医と私たちで入院の基準が違う、入院してよくなってきた人はたった一人、あとは薬漬けになって回復に数か月かかる)

もちろん人権上も身近で地域で医療を受ける権利保障は重要である。

そういう意味で、本当に精神病院入院は必要なのか、それがまず問われなければならない

今ある病棟機能分化

① 「病棟機能分化」なるものは何か?

今行われているものは「病棟の機能分化」ではなくて「診療報酬と有資格者の病床別傾斜配分」であり、「病棟の機能分化」と称するのは詐欺である。

② 病棟機能分化なるものが生み出した実態

森山公夫研究班が精神病院の機能分化を主張した時、様々な批判がなされた。そこにある有資格者の傾斜配分の問題点指摘であり、いわゆる療養病床あるいは慢性期とされた患者さんのいる病棟には看護は手薄くていいのか?という批判であった。

看護や医師が少なくて、本当に医療が保障できるのか、むしろこうした病床が終末施設化しないかという批判であった。

これらの批判は妥当であった。実際療養病床には5年以上の入院患者34751名が在院しているが、この方たちに対して個別の看護や医療が保障されているのかどうか疑問がある(平成20年630調査より抜粋)。

「院内寛解」であるとか「慢性期」といったラベリングそのものが問題であると考える。いったんそうしたラベリングを貼られると、治療もおこなわれず放置され退院に向けた努力も放棄してしまうのが医療従事者の悲しい実態である。また長期間保護室に隔離され放置されている患者も一定数存在する。こうした態度こそが問われなければならず、そしてそうした態度を生み出すラベリングおよびいわゆる「機能分化」こそが、問われなければならない。

いわゆる急性期病棟およびスーパー救急の実態についても問題がある。下記資料にあるように、新規措置入院患者のばらつきはそのままいわゆる精神科救急体制の整備と並行していると読み取れる。措置入院の実態そのものも地域格差があることは心神喪失者等医療観察法の国会審議のさなかにも明らかにされ、その後も改善されたという報告は寡聞にして知らない。(なお最近措置指定を受けた東京のある精神病院ではあっという間にスーパー救急を満たす措置入院患者をうけいれスーパー救急病棟を新設した。労働者の印象ではこうした病態が措置?という疑問があるとのこと スーパー救急病棟のために措置が濫用されている実態はないのか? 疑問あり)。またこうした機能分化ゆえに、自ら入院を希望しているのに、医療保護入院の手続きを強いられるという事例すら出てきている

広範囲の医療圏から集められた患者さんに対応するために医療従事者はおびえ予防的に行動制限をすることになり、身体拘束や隔離が手順としてマニュアル化している実態がある。電気ショックですらマニュアル化されている。

電気ショックは非可逆的に逆向性の健忘をもたらすこともあり(アメリカでは皮肉にも精神科看護の専門家が電気ショックを受けて技能も知識も失ってしまったという民事訴訟で賠償を勝ち取っている)もちろん命にかかわることもあるが急性期にあたって同意なしに濫用されている実態がある。

少なくともWHOも求めているように同意のない電気ショックは禁止されなければならない。

身体拘束はそもそもあってはならない行動制限であり、イギリスのようにすでに全廃している国もある。エコノミークラス症候群やその他による死亡の恐れすらあり、また心理的な屈辱感によるトラウマも深刻である。

こうした体験ゆえに心疾患によって救急車に乗せられたにもかかわらず、救急車の中で身体拘束ゆえに拒否し、その後心疾患で急死した仲間も存在する。

命に係わる身体拘束は即時廃止されなければならない。

精神科救急の徹底した見直しがなされなければならない。そして急性期病棟の在り方についてはさらに医療圏の縮小がその他の見直しが急務である

たとえばすでに立証されている急性期に代わるオールタナティブとしてのソテリアの実践。また今現在も継続中のソテリアベルン。あるいはオランダで実践されているオールタナティブ(危機に際する介入を医療主導ではなく行う実践であり、毎年10%ずつ強制入院を減らしていく計画の一端としてのオルタナティブ開発)などなど各国の取り組みの検証と試行プロジェクトが求められている。

③ あるべき精神医療のありかた

精神病院を解体し病床0に向けて年次計画を立てること。一般医療に精神医療を組み込むこと。当然精神疾患のみに向けて法体系は廃止の方向に行くことが障害者権利条約の要請であり、そのためには精神医療は医政局のもとに統合され、障害福祉部に精神に特化した部局をなくすべきである。(ただし現在の自立支援法は健康な身体障害者をモデルとした介助体制が引かれているので、精神障害者のニーズに合った介助体制の確立は必要)

地域の医療保険福祉の体制は総合的なものであるべきで、精神障害者に特化したものはあってはならない。

なお今後生物的精神医学と薬のみに集中している精神医療の根源的見直しも必要である。心理社会的アプローチの研究が求められている。

初発急性期において薬を使わない、ソテリアの試行プロジェクトも必要であろうし、当事者運営の危機センターの試行プロジェクトも必要である。初発急性期において抗精神病薬の使用により慢性患者を作り出している実態は根底的に見直されなければならない。各国の精神病院に代わるオールタナティブ開発に学ぶべきである。現在精神病院への強制入院は最初にして唯一の選択肢となっている実態は即急に改められなければならない。

基本的に一市民として地域で生きるものとして必要な場合に医療を使うという基本線が大前提となされなければならない。

現状では本来障害者福祉で行われるべきことが医療保険を使って行われており、とりわけデイケアナイトケアは医療保険で行われるべきではなく医療機関で行われるべきではない。

精神医療の復権としてACTが喧伝されているが、本来は自立支援法による支援を使い一市民として地域生活が保障され、医療は必要な部分だけで機能するべきであり、医療主導の多職種チームあるいは専門職主導の多職種チームなるものではなく、精神障害者自身の運営によるセルフヘルプグループ活動に予算がかけられるべきであるが、今はそこに通う交通費すらままならない現実がある(AAや断酒会については生活保護受給者に対して交通費が出されている)。医療対福祉保健の予算が97対3という現実を変え、さらに専門職に予算をつぎ込むのではなく精神障害者団体の実践に予算が分配されるべきである。

長期高齢の入院患者さんたちに必要なものは何か? 実際に30年40年と入院していた方たちからの意見を吸い上げる必要がある。昨年度の科研費による地域移行への研究を全国化し、精神障害者団体により行うための予算が求められる。

実践例に学ぶ必要があるが、グループホームやケアホームはあくまで施設であり、選択肢の一つといわれながらそれしか選択肢のない実態が続いていることが問題である。まかないつき共同住居は高齢の方や、独り暮らしはさびしい、あるいは精神病院で作られたコミュニティの継続という意味では必要かもしれないが、できればサテライト型グループホームで、居住権を持った家と呼ぶに値する住宅保障が必要である。退院支援について個別給付化されたが、そうした申請書とわかりやすいパンフレットがすべての精神病院入院患者に配布されるよう、国費で保障すべき

なお相談支援事業所が精神病院に自由に出入りし事業の説明会や相談を受けられる体制づくりも必要。また自立生活体験室をたくさんつくり、そこで実際に介助を使ってクラス体験を重ねるためにも、そうした費用を本人に保障するかあるいは公費で賄う必要がある。入院中であろうと外出やこうした自立生活体験室においては自立支援法の介助が使えることと自己負担0であることが必要。さらにこうした体験に向けての交通費保障も必要。

なお当面精神病院も精神保健福祉法も継続し強制入院を0にはできないであろうし、閉鎖処遇もなくならないであろうから、それらが0になるまでは最低限刑事施設並みの外部視察委員会の設置が全精神病院に必要。(院内に外部視察委員会しか開けられない投書箱の設置は刑事施設並みに必要)。また個別の人権侵害からの救済のためにはすべての精神保健福祉法下の患者に対して公費で弁護士をつけることが求められる。

最後に再度訴えます。精神病院入院でしか治療できない状態とは何か明確にしていただきたい

こころの健康推進議連ヒアリングに向けて

こころの健康推進議連ヒアリングに向けて 20120209
全国「精神病」者集団意見書

結論
私たちはこころの健康推進基本法を求めません。

理由
1 立法事実がない さらに憲法違反、自由権規約拷問等禁止条約違反、そして障害者権利条約に抵触するおそれがある
 精神疾患(心の健康)の問題が重大な問題であるという認識を示しているが、その背景にある、性差別他差別問題、人権侵害、労働環境の問題、経済施策などを個人病理として解決しようとすることは重大な誤りであり、むしろ問題の所在を不明確にし、政策の失敗を糊塗することになる。
 構造的な社会問題を心の健康の問題として、精神医学化するのは、厳に慎まなければならない。
 例えば自殺問題一つとっても一部の都道府県自死遺族会の調査では自殺者の少なくとも半数が精神科利用中あるいは利用歴があり、精神医療は自殺防止に役立っていない。むしろ精神医学化が、差別的ラベリングをし、それによる自殺の疑いすら多く指摘されている(参照 添付資料1 うつ病患者の増大と抗鬱剤の販売数増加が自殺を防止していない事実添付グラフ参照 別紙添付資料2また富士市による自殺防止キャンペーンが自殺を減らしていない事実)
 また月に100時間以上残業している欝の患者さんに残業をやめなければお薬をいくら飲んでもよくなりません、会社と話し合いましょうと主治医が提案し勤務先を聞いたら、なんと労働基準監督署だったという実話すらある。
 自殺防止や虐待防止に対しては、子育て後、病気休職後の復職者が安心して働ける職場作り、総労働時間の削減、労働者派遣の禁止と正規職員化などの労働条件の解決、さらに貧困問題の解決こそが優先されるべきであり、心の健康基本法制定の立法事実はない。(添付資料3参照)
 またすでに精神保健福祉法はその第3条国民の義務において「 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに」とされ、さらに健康増進法第2条(国民の責務)において「国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」としている。
 これらはすでに健康を国民の義務とし、疾病を持つものや障害者をいわば非国民として位置づけ優生思想を強化するものであり、憲法25条の生存権という権利を国民の個別の義務に転化したものでありそもそも問題であるが、これに屋上屋をかけて心の健康を推進しようとすることは重大な疑義がある。
 そもそも心という目にも見えない形もないものが病んだり健康になったりするはずはなく、「心の健康」の法律による制定は、憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」に抵触するおそれすらあり、個人の精神的身体的統一性完全性不可侵性(インテグリティ)の侵害を禁止している拷問等禁止条約および自由権規約、そして政府が署名し今批准に向けた障害者権利条約17条にも抵触する
 こうした立法事実がない法律を作るならば、精神保健福祉医療専門職の利権を拡大し、さらに市民の内心へまで踏み込んだ権利侵害を拡大するだけであり、自殺防止になるどころか虐待や差別人権侵害を強化しかねない

2 今私たちが求めるもの

1 まず精神障害者への差別立法を廃止すること、差別的政策を廃止変更すること
 精神障害者差別をあおり人権侵害を重ね、分かっただけで17名の自殺者を出している心神喪失者等医療観察法の廃止(資料4 別紙東京新聞記事参照)
 何の法的根拠もなく個人に強制介入するアウトリーチ事業を廃止すること(これは本人の同意が取れないからこそ医療保険が使えないと厚生労働省は説明している。全てを拒否している方についてはヨーロッパでも高く評価されている例えばスエーデンスコーネ県のパーソナルオンブートのような試みが試行事業化されるべきである 資料5参照)

2 総合福祉法骨格提言を完全に反映した障害者総合福祉法を制定し、精神障害者にも使いやすい介助体制や支援を準備することで、精神障害者の地域生活を保障していくこと。
 本人の権利擁護者を準備し、施設病院、刑事施設に出張御用聞きをする権限と義務を定め、また相談支援はケアマネージメントではなく権利擁護でもあるべきことを明記すべき。政府の現行の自立支援法における相談支援はケアマネージメントとして位置づけられ、かつ「中立公平」「家族あっての自立」という位置づけであり、人権擁護ではなく裁く機能を持たせられており、これはソーシャルワークの倫理規定「非審判」にも抵触する。
 とりわけ骨格提言の地域移行の法定化を速やかに定め、長期高齢患者20年以上の入院患者が4万人以上いる実態を早期に解決すること(厚生労働省は来年度予算で精神病院に長期高齢患者の地域移行の担当者を各精神病院に一人配置するとしているが、精神病院に雇われた人間に退院促進は不可能、利益相反となる)
 また地域移行は家族が介助している精神障害者についても自立生活に向けた障害者本人への介助支援体制を法定化することであり、この点も重要である

3 精神医療の一般医療への統合を進め、ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会の求める医療基本法制定およびそれに伴う患者の権利法制の確立が必要である。この提言は医師会および日本精神病院協会など医療提供側も含めて賛同したものであり、精神医療の底上げも重要であるが一般医療自体が崩壊している実態(地方は当然、例えば東京ですら小児科の救急は危機に瀕しているし、精神障害者の合併症治療も保障されておらず死亡者が出ている 資料6参照)を考えると、医療の基盤整備こそが今緊急に求められており、医療基本法の制定が何より優先課題である
 在宅医療の強化も必要であり、総合医による精神疾患への対応は今後さらに重要となる

4 強制入院制度については、数値目標を定めた削減方針を定めるべきであり、最終的に精神保健福祉法を廃止し医療基本法に統合すべき
 障害者権利条約は12条、14条、15条、17条、25条で強制入院および強制医療を禁止している
 オランダでは専門職団体が一致して年間10%ずつ強制入院を減らしていく計画が立てられ、そのためのオールタナティブの開発にも予算が付けられている。ノルウェーでは、少女への強制入院強制治療についてヨーロッパ拷問禁止条約の調査が入ったこともあり精神保健法の廃止への議論が始まっている
 OHCHR(国連高等弁務官事務所)のモニタリングガイドおよび資料ではいかなる強制入院も障害者権利条約の下ではあってはならないとしている(添付資料7参照)
 また拷問等禁止条約前特別報告官は強制医療や強制入院は拷問等禁止条約が禁止している拷問あるいは残虐で非人道的品位を汚す処遇に当たりうるとしている(添付資料8参照)
 当面残る強制入院や閉鎖処遇については速やかに拷問等禁止条約選択議定書を批准し、国内防止機関を作り精神病院に対して継続的抜き打ち査察を行うこと(別紙添付資料9参照)
 こころの健康推進議連におかれましては上記意見および添付資料ご参照の上、基本法成立ありきではなく、幅広い議論検討を継続なさることを訴えます

尊厳死立法に反対します 今こそ尊厳ある生を

 私たち全国「精神病」者集団は1974年に創立された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私たちは精神障害者として、今作られようとしている尊厳死立法に反対します。
 伝えられるところによると法案では、尊厳死という形で殺される人は明記されておらず、複数の医師による判断により「終末期」と判断されると、水分や栄養補給も含め一切の医療行為が差し控えられたり、あるいは中止されたりする、そしてそうした医療差し控えや中止をしても医療機関も医師も刑事民事とも責任を問われず免責されるという中身です。
 また家族の同意も必要という説もありますが、家族のいない場合は医師の判断だけで治療が停止され殺されることになります。
 しかし「終末期」とはなんでしょうか? なんら定義されていません。
 こうしたスカスカの法律がいったん作られれば、脳死・臓器移植法改悪のように、本人の意思表示がなくとも家族の意志だけで、さらには家族がいない孤立した人は医師の判断だけで殺されていくことになることは明確です。
そしてその対象も「終末期」というあいまいな要件はどんどん拡大されて、遷延性意識障害者、重度障害者、精神障害者や知的障害者など「人格がない」とされてきたものへと広がっていくことは避け得ないと考えます。
 医療はまず命に向けられた営みであり、死へ向けた営みであってはなりません。
 私たちは尊厳死ではなく、まず尊厳ある生が障害のあるなし、年齢性別にかかわらず保障される社会を求めます。法律による殺人をこれ以上認めるわけにはいきません。

2012年1月27日
全国「精神病」者集団

2012年度予算によるアウトリーチ事業を弾劾する

 厚生労働省は2012年度予算において精神保健体制によるアウトリーチ試行事業を予算化した。
 これは本人の同意がない場合、医療報酬としては請求できないという理由で、医療保険以外で多職種チームによる強制的介入を行おうというものである。望んでいないのに自宅に侵入され介入されるという重大な人権侵害が税金を使って行われようとしている。いかなる根拠でこのような人権侵害が許されるのか? 憲法および国際人権法違反と断ずる。しかも恐るべきことにこのチームにはピアサポーターも位置づけられており、いわば精神障害者自身を専門職による人権侵害の手先として利用する、恐るべき精神障害者の分断である。私たち精神障害者はこうした犯罪行為に加担するいわば岡引になることを拒否する。
 この試行事業は世界的に精神障害者の反対の中で強行され、しかも効果も疑わしく、死亡例も有意に多いとされている、地域での強制医療法への一里塚である。
 本来すべての福祉や医療を拒否して孤立して、苦痛や困難に直面している人たちに対しては(ホームレスを含む)スエーデンスコーネで行われているような(注参照)パーソナルオンブート制度こそが求められている。これについてはすでに全国「精神病」者集団が何度も厚生労働省および関係団体にも紹介している。
 スコーネのパーソナルオンブートは行政からも精神保健体制からも独立した障害者および家族団体によって運営されており、1対1のつながりを作っていく事で信頼関係を作り上げ、語り合うものであり、守秘義務があり、記録も付けないものである。もちろん精神保健体制にも行政にも個別の人について報告義務はない。こうした先進事例こそが試行事業化されるべきである。
 私たち全国「精神病」者集団はこのアウトリーチ事業についてすべての都道府県が拒否すること、そしてすべての関係諸団体が拒否することを強く要請する。

注 アウトリーチ試行事業については障害福祉保健関係主管課長会議 20011年2月22日資料以下11ページより
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20110630-01-05.pdf”

2011年8月25日
全国「精神病」者集団

東京都における他県から受け入れた精神病院入院患者、及び施設入所障害者についてその実態と継続的な支援策に関する要望書

2011年5月26日
東京都知事 石原慎太郎 様

人権白書東京実行委員会
実行委員長 八柳卓史

日夜の人権社会確立に向けた取り組みに敬意を表します。

3月11日発生の東日本大震災の避難民受入にあたって、東京都は精神病院入院患者を東京都内の病院へ転院させる措置をとられていると聞いています。また施設入所の障害者については、都内の各施設に対し、何人受入れが可能かを打診し、一部の施設で受入れていると聞いています。

さて、実数人口比ともに世界一の精神病院入院患者を抱えている日本の実態は国際的にも人権上重大な問題とされています。このたびの精神病院入院患者の受入に当たって、今後の地域生活再建に向け問題がないか危惧しているところであります。

都内病院に転院された精神病患者には、本人たちの意向も踏まえた継続的な支援策が必要とされます。

このような観点から受入実態とその後の継続的な支援策の実態について下記のとおり要望しますので、趣旨をご理解の上、ご回答いただけますようお願い申し上げます。

1 東日本大震災により他県から都内の精神病院へ入院してきた方の数と、施設へ入所してきた障害者の数を、精神病院別、施設種別または入院・入所形態別に明らかにされたい。

2 松沢病院は50名以上の福島からの転院者を受け付けたとのことですが、この病床を空けるために玉突きで松沢の入院患者が他の精神病院に強引に転院させられた事実はないか調査され結果を明らかにされたい。
3 都内の精神病院に受け入れた方について、地域生活への再建にむけた継続的な支援策とともに、その実数を精神病院別、入院形態別、また時系列的に明らかにされたい。
4 都内の避難所から強制的あるいは自発的に精神病院に入院した患者の数を精神病院別の数を明らかにされたい。また患者のその後の時系列的な実態について明らかにされたい。

(人権白書東京実行委員会 団体名)

障害者基本法案に関する陳情書

国会議員の皆様へ
日ごろからの障害者の人権保障に関するご活動に敬意を表します。
私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者、団体、個人のネットワークであり、また国連社会経済委員会の認定NGOである世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)のメンバーとして障害者権利条約作成に2002年より積極的に参加しており、WNUSPの理事としても会員の山本眞理が参加しております
4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律(案)が閣議決定され国会に上程されました。この法案は、評価できる点もありますが、憲法上の人権を著しく制約する文言がいくつかあります。
私どもは、障害者基本法の改正が、障害者権利条約批准に向けた国内法整備の核であり、憲法に定められた基本的人権、さらに国際的な人権諸条約の保障する基本的人権が障害者にも平等に実質的かつ有効に適用されるための法改正であることが十分認識された上で、国会において十分な、かつ総合的な審議がなされることを求めます。
その意味で同封の陳情書の通り、修正・加筆・付帯決議をしていただきたく思っております。
是非、私ども当事者の意見に耳を傾けていただけること何よりお願いいたします。もし、お時間をいただけるならご説明に参りますので、ご連絡いただければ幸いです

障害者基本法の一部改正に関する法律(案)の審議に当たっての陳情書

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。

しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、法)には、いくつかの重大な問題があり、当該部分について下記に列挙したので、国会審議の過程で修正・加筆・決議していただきたく陳情します。

1.地域生活
法第三条の二(地域社会における共生等)には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法二十二条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、制約されることになる。
「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の二十二条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」かに、修正していただきたい。

2.相談業務
法第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機会を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」に修正をしていただきたい。
また、法第三条に「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とあるが、成年後見制度は、法的能力(この場合は行為能力)の制限を定めているため、障害者権利条約第十二条第二項の法的能力の平等に違反し、廃止されるべきである。仮に経過措置として残すとしても、当該条文に列挙する必要はない。成年後見制度の文言を削除するか、「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と修正していただきたい。

3.処遇
法第二十七条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されてた政府部内調整中の法案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。のみならず、病院等の民事施設における拘禁についても、いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、全ての拘禁下の処遇の文言を入れていただきたい。

4.附則の加筆
障害者基本法が、全ての障害者施策の核として機能するよう、
附則1 障害者に関わる全ての法律をこの法律(障害者基本法)の目的に沿って定期的に見直す事。
附則2 障害者権利条約の批准後5年以内にこの法律(障害者基本法)の見直しを行う事。
上記の附則の加筆をしていただきたい。

5.付帯決議のお願い
障がい者制度改革推進会議の議論と障害者権利条約そのものを踏まえて、医療における障害者の他のものと平等な自由な説明と同意の確保、障害者の人権保障の担保、社会的入院の解消に向けた精神科病床削減の義務化、の3点につき、適切な付帯決議を求めます。
以 上

2011年5月17日
全国「精神病」者集団

震災特別立法に向け民主党障害PTへの申し入れ

2011年3月29日
民主党障害者PTヒアリング
全国「精神病」者集団

〒164-0011 東京都中野区中央2-39-3

1.二次的避難所に、プライバシーが守られた休息できる空間を設置し、希望する精神障害者に優先的に利用させること。

2.新たな社会的入院を作らないため、他病院に転送されている入院患者等の退院準備・生活再建の措置を取ること。とくに、避難を理由にした、精神病院収容や精神障害者の意思に反した安易な精神病院入院措置をとらないこと。復興しても、精神障害者が地域ではなく精神病院に取り残されるようなことがないよう、地域生活支援についても重点を置くべきである。

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課発の「東北地方太平洋沖地震における精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する入院手続の実施について」(平成23年3月14日事務連絡)は、非自発的入院の簡略化を認めているため、問題がある。精神障害者が精神病院に入院する場合は、当該精神障害者が入院の申出をしている場合とするべきである。

3. 自立支援医療の運用について、

被災地、および避難先、あるいは旅行中で被災のため帰郷できなくなった障害者について、医療機関や薬局が自立支援医療指定機関でなくともあるいは受給者証にある医療機関薬局でなくとも、自立支援医療が使えるようにすることまた受給者証を持参していなくとも使えるようにすることこれらを全医療機関薬局に周知するとともに、障害者にも周知徹底するため、広報すること

4.クスリの確保すること。また、クスリの入手に係る情報提供をすべての精神障害者に届くよう工夫すること。(町内放送、避難所への貼り紙その他。)

5.精神科病院の復興については、社会的入院の解消及び病床削減政策とあいまって検討すること。

① 単科精神病院病床数の縮小を目指し、単科精神病院の復興につき貸付や助成を行わないこと。

② 心神喪失者等医療観察法施設の新設を決して行わないこと

③ 復興に当たっては総合病院に精神病床を必ず設置すること これらについては空床保障を行い災害その他に備えることも必要

④ 市町村ごとに上限5床ほどの有床診療所を作り、採算がとれるような診療報酬体系構築および空床保障につなげること。

添付として以下東京新聞記事つけました

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/02/dl/0215-1b03_01.pdf

「障害者自立支援法一部改正案*」および精神保健福祉法改正案」「精神保健福祉士法改正案」に反対します。

全国「精神病」者集団は「障害者自立支援法一部改正案*」および精神保健福祉法改正案」「精神保健福祉士法改正案」に反対します。
*正式名称「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」)
私たちは参議院において審議されようとしている「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案」、いわゆる「障害者自立支援法・一部改正案」および精神保健福祉法「改正」に反対します。
私たちは各党が実施された障害者団体に対するヒアリングに参加し、大いなる期待をもちました。
しかし、そのヒアリング結果がまったく反映されず、6月に廃案になった上記の法案がそのまま再提出されたことに大変な失望感と怒りを禁じ得ません。
新法が出来るまでの間の対策としては、「障がい者制度改革推進会議」が提出した「4つの当面の課題」をベースにすべきです。
私たち全国「精神病」者集団は、障害当事者の声をきちんと聞くことなく作成された同法案のおよび精神保健福祉法「改正案」・精神保健福祉士法「改正案」に反対します。
精神保健福祉法に精神科救急を法定化することさらに精神保健福祉士の業務拡大をすることは、私たち精神障害者の強制入院の拡大や、専門職の地域での権限強化、私たちの自己決定自律と尊厳を否定するものです。
以下強く要請いたします

一、 障害者自立支援法「改正」法案、および精神保健福祉法「改正」法案、精神保健福祉士法「改正」法案は、参議院厚生労働委員会における徹底した審議を行い、廃案にしてください。
二、 新法施行までに自立支援法のもとでも解決すべき問題点は、障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会の「4つの当面の課題(注)」であり、これを政省令や予算措置等によって実現してください

(注) 1)利用者負担の見直し、2)法の対象となる障害範囲の見直し、3)地域での自立した暮らしのための支援の充実、4)新法作成の準備のための予算措置

緊急抗議声明 (医療観察法施行5年後国会報告関連)

 11月26日、政府は、法務省・厚生労働省より提出された心神喪失等医療観察法の5年間の施行状況に関する国会報告を了承する閣議決定を行いました。この5年間、医療観察法は、指定医療機関の設置が計画通り進まない、対象者17人を自殺に追い込むなど、さまざまな問題を明らかにしてきました。
 少なくとも、国会報告は、このような実態を解消するための原因究明を行うべきです。しかし、今回の国会報告と称する閣議決定には、こうしたことの検証はおろか、基本的実数と、条文だけで構成されたものです。これでは、事態を放任し、自殺者を次々と出す結果を招くことに他なりません。
 我々は、菅民主党政権の医療観察法に向き合わない姿勢を批判するとともに、国会報告と称する閣議決定に対して、強く抗議します。

 2010年11月30日
 全国「精神病」者集団

国会報告は政府から衆参両院議長に出され、衆参両院議長が各国会議員に配布するという手続きでした。
以下に国会報告掲載中です。

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000wvym.html

法務省
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji10_00003.html

死刑判決抗議声明

 2010年11月16日、横浜地方裁判所で池田容之被告(横浜港男性2人殺害遺体遺棄事件)の裁判員裁判の判決公判が開かれ、朝山芳史裁判長は「残虐、非人間的行為で酌量の余地はない」として、検察の求刑通り死刑を言い渡しました。死刑判決は、2009年8月から始まった裁判員裁判で初めてのことです。
 朝山裁判長は、死刑の主文を言い渡した後「判決は重大な結論となった。裁判所としては被告に控訴することを勧めたい」と、池田被告に呼びかけをしています。これは、裁判員が、控訴があることをよりどころに、死刑の判断を言いやすくするためのパフォーマンスであったように思えます。また、今回の判決は、裁判員制度に則り、二審以降も一審を尊重して判決を出さなければならないため、たとえ控訴をしたとしても、実質的な確定審のように取り扱われることになります。
 死刑は、国家による殺人です。ましてや、一般人に対して国家による殺人に関与させることは、いわば国家による殺人への加担強制であり、現代の徴兵制、国家による殺人命令にほかなりません。
 我々は、今回の死刑判決に対し、つよく抗議します。

2010年11月18日
全国「精神病」者集団