障害者基本法改正に係る全国「精神病」者集団の意見

日本障害フォーラム政策委員会 御中

全国「精神病」者集団として障害者基本法改正に係る意見を次の通りまとめましたので提出します。

◆趣旨
◯精神障害条項は、医療条項の中に入れて精神医療の一般医療への編入を旨としたものに変えたらよいと思います。
◯成年後見については、成年後見制度という単語を使わずに制度の趣旨のみを書き、趣旨に照らして、成年後見制度を含む法制度のあり方を見直すという観点が含みこまれるようなかたちでの書きぶりにした方がよいと思います。

◆書きぶりに係る提案
例1;個別の条文で担保するスタイル。(※文章は現行法をベースにしています。)

(相談)
第〇条 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、権利擁護、その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。
2 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとする。
3 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に資するため、制度の見直しを含む必要な施策を講じなければならない。

(保健及び医療)
第◯条 国及び地方公共団体は、障害者が障害を理由に分け隔てられることなく適切な保健及び医療が受けられるよう必要な施策を講じなければならない。

例2;勧告への対応をまとめて列挙するスタイル。
(障害者基本計画等に基づく政策の見直し)
第〇条 政府は、障害者基本計画等やその他関連する法令等に基づき次の各号について必要な措置を講じなければならない。
 一 初回政府審査に係る総括所見に基づく法制度の見直し
 二 精神科病院への非自発的入院制度の見直し
 三 成年後見制度のあり方等の見直し
 四 などなど

例3;見直しに係る検討の条文に限り、附則で詳細を担保し、それらを障害者政策委員会が監視できるようにするスタイル。

例4;個別の条文に見直しのロードマップを含めてきていする。この方法には、消極的である。いつ改正されるかわからない基本法に廃止すべき政策の枠組みを規定したくない。しかし、この方法によることなく、具体的な見直し作業を法律成文で担保することは難しい。どうしたものか。

◆その他
身体的拘束については、当面の課題として告示改正や報酬誘導による仕組み、医療計画指標例による評価が必要である。入院者訪問支援をはじめとする入院者の権利擁護の仕組みについてもなんらかの言及が必要と考える。