全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
2023年3月31日、医政局通知「第8次医療計画について」が公表されました。全国「精神病」者集団は、従来の運動が病床削減を主張する一方で、都道府県が整備する病床数について定めた基準病床算定式に意見をしてこなかったことを批判的に総括し、克服するべく第8次医療計画に対して積極的に意見を出してきました。その結果、第8次医療計画の基準病床算定式は、第7次医療計画の基準病床算定式と異なり、重度かつ慢性や治療影響値といった政策効果に係る値が取り払われ、一般医療に近いシンプルなものになりました。
一方で、病床数のダウサイジングは念頭におかれはしているものの、ドラスティックな病床削減を示唆するようなものにはなっておらず、指標例にも非自発的入院の縮減など全国「精神病」者集団が要求してきたものが先送りにされました。
このような結果を招いた要因の一つとして認知症問題への取り組みが不十分だったことがあげられます。第7次医療計画と第8次医療計画は、ともに認知症をその他の精神疾患から切り分けることで成り立っており、最も大きな課題を残すかたちになりました。今日の精神科病院における諸問題は、認知症の問題という側面が強く、長期入院、病床数、身体拘束の増加、死亡退院などの問題に正面から向き合うのならば認知症の問題は避けて通れないはずです。それなのにもかかわらず、我々を含む多くの団体が認知症の仲間との連帯を十分におこなおうともせず、まるで統合失調症や双極性障害、依存症、摂食障害、発達障害といった精神疾患さえ助かればよいかの如く、ふるまってきたのではないかと思います。
これ以上、認知症を除外して成り立つ基準病床算定式をこのままにしておくことはできません。認知症も精神及び行動の障害であり、本来は同じ仲間です。私たち全国「精神病」者集団は、第8次医療計画中間評価と第9次医療計画に向けて認知症の仲間と連帯し、診断名別の分断をよしとする医学モデル的な考え方と決別すべく、取り組んでいくことをここに決意します。