私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
2022年12月6日におこなわれた参議院厚生労働委員会の障害者関連法案に係る質疑では、身体的拘束について定めた37条1項大臣基準(告示)について数多くの質問が出されました。私たち当事者は、告示に記された要件のうち「多動又は不穏が顕著である」が全体のほとんどを占めていることから、拘束増加問題の諸悪の根源の一つとみて削除を求めてきました。しかし、厚生労働省は、多動不穏要件を残したまま、患者の治療困難という新要件を追加するというあるまじき内容で報告書をまとめました。
さて、12月6日の質疑では、新要件に対して要件の拡大であるという点にこそフォーカスが当てられましたが、肝心の多動不穏要件が残されていることへの批判がほとんど出ませんでした。そのため、多動不穏要件の存置を前提にしながら患者の治療困難要件を入れることの良し悪しを論じている状態に陥っています。
中には、多動不穏要件は削除されないだろうから告示の見直し自体をしなくてよいとする意見もありました。しかし、本来は、検討する構成員の見直しなどをしながら、そもそも論に立ち返って、多動不穏要件を削除するための議論こそはじめなければならないはずです。
つきましては、多動不穏要件をそのままにして患者の治療困難の良し悪しのみを論じる議論ではなく、多動不穏要件の削除のための告示改正に立ち返って議論をしていただきますようお願い申し上げます。