基準病床算定式の見直しに関する要望書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

 日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 さて、現在、基準病床算定式の見直しに向けた準備が進められています。これまで基準病床算定式については、病床数の整備にかかわる政策という特性上、もっぱら精神科病院の意見をもとに考えられてきました。しかし、全国で約30万床もの精神病床のある社会をどう考えるのかは、精神科病院だけではなく国民的議論によるべきです。とくに実際に入院するのが精神障害者だけであることを鑑みれば、私たち精神障害者の意見をきちんと聞いて基準病床算定式に反映していただきたいと思っています。
つきましては、下記について要望を申し上げます。

①現行の算定式では、1年以上在院者を長期入院と定義している。しかし、実際に入院させられる私たち精神障害者にとっては、2ヶ月であっても非常に長期間であると感じている。そのため、算定式における長期入院の定義は、現行の1年以上在院から半年以上在院へと改めること。

②長期入院需要については、10年以上在院者も含まれることになるが、これを一般的に需要と言う言葉で表現すべきとは考えない。少なくとも2年以上長期在院者数に相当する病床数は、即座に削減するべき病床か、若しくは、不要にもかかわらず諸事情で即削減できない病床として位置付けられるような算定式にすること。

③現行の算定式には、重度かつ慢性なる概念が登場する。重度かつ慢性は、長期入院需要のうち当面必要な病床数の根拠となる概念である。重度かつ慢性は、基準が不明瞭であり、長期入院の約7割という量の多さなど多岐にわたる問題がある。そのため、重度かつ慢性を用いない算定式にすること。

④現行の算定式には治療影響値がある。これは、修正型電気痙攣療法や治療抵抗性抗精神病薬の普及によって長期入院需要が削減され、結果として病床削減に至るというものである。しかし、修正型電気痙攣療法や治療抵抗性抗精神病薬は、侵襲性が高く、普及されることへの抵抗が否めない。少なくとも、治療影響値は修正型電気痙攣療法や治療抵抗性抗精神病薬の普及によらない算定式にすること。

⑤障害福祉計画の国の指針には早期退院率1年以内92%が書き込まれた。これでは、新規入院者の約15人に1人が新たに1年以上長期入院になっていくことを意味する。長期入院は、原則としては不要である。そのため、新たな長期入院者が作り出されないような計画にすること。
以 上 

〒164-0011
東京都中野区中央2―39―3
Tel 080-6004-6848(担当:桐原)
E-mail jngmdp1974@gmail.com