第6期障害福祉計画に関する要望書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長 殿
 同 障害福祉課長 殿

 日ごろより障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 これら障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり意見およびご要望を申し上げます。

1.地域移行の実効性
第6期障害福祉計画(案)は、第4期、第5期障害福祉計画の焼き直し感が否めません。施設から地域への移行者数については、令和元年年度末の入所者数の6%を移行するという低水準となっており、4期計画12%、5期計画9%と比較しても下がる一方となっていることは非常に残念でなりません。社会保障審議会障害者部会事務局の説明によれば、第5期計画の実態が目標値を下回った大きな要因として、入所者の重度化・高齢化が進んだことを挙げられていましたが、3年前に第4期計画の実態が目標値を下回っていたとの説明をされた際にも同様の理由を挙げられていました。このことから以前から課題が明らかになっていたにもかかわらず、必要な施策を打ち出せてこなかったということに他なりません。具体的に実行できる計画を示してください。

2.国立病院機構筋ジス病棟の地域移行実態
独立行政法人国立病院機構の機能には、厚生労働大臣の求めによる、いわゆるセーフティーネット領域の医療があり、26の病院で筋ジストロフィー患者の入院の受け入れを行っています。その中には、長期の療養が必要なために入院しているのではなく、地域の資源が不足しているために在宅療養への移行ができずにいる社会的入院患者がいることが、2019年6月から11月にかけて、全国35の自立生活センター及び研究者等で構成される「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」が療養病床に入院中の筋ジストロフィーの患者本人に対して行った調査によって明らかになりました。厚生労働大臣の求めでできた病床のなかに社会的入院患者がいることは由々しきことです。政府としても、独立行政法人国立病院機構の26の病院における筋ジストロフィーの社会的入院患者の有無や人数、病院が有する地域移行連携体制、不足している地域の資源、在宅療養への移行を阻む要因などの実態を、あきらかにしてください。

3.国立病院機構筋ジス病棟の地域移行目標値
独立行政法人国立病院機構26の病院における筋ジストロフィー患者の入院を受け入れる療養病床は、第七期医療計画において基準病床の算定に基盤整備量の定めがなく、第五期障害福祉計画に基づく国の基本指針においても地域移行の数値目標の対象とはされていません。独立行政法人国立病院機構を構成する26の病院筋ジストロフィー患者の入院を受け入れる療養病床は、医療計画及び障害福祉計画において病床削減や地域移行の目標値を掲げて取り組んでください。
以 上  

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