医療基本法要綱案に対する意見書

患者の権利法をつくる会
事務局長 小林洋二 様

医療基本法要綱案に対する意見書

残夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
貴会の患者の権利法制の実現に向けた粘り強く着実な運動に対しては、心より敬意を表しております。
さて、全国「精神病」者集団は、患者の権利法をつくる会医療基本法要綱案を全面的に支持する立場です。まったく方向性は同じですが、医療基本法制定を直前に控えた時期にあって精神障害者の問題が取りこぼされることがないよう、詳細な政策実務に係る補足事項について、下記の通り意見を出すことにしました。
ご査収いただけますと嬉しく思います。

一、患者の権利法をつくる会医療基本法要綱案に基づく患者の政策決定過程への参画の項について政策の推進体制に係る具体的な提言を補足する。詳細は、以下に列挙する。

○基本方針(仮称)の明文化
・法律明文に患者の権利を推進する医療の基本方針を書き込むこと。
・基本方針は、共同骨子7箇条を踏まえたものとし、列挙的に書きこむこと。
・基本方針は、精神障害者を特別な医療の枠組みに押し込めず、一般医療と同じ枠組みにしていく方針を明文にすること。

○基本計画(仮称)の明文化
・患者の権利を推進する医療の基本計画を定めること。
・基本計画には、行革等を含む患者の権利を推進するためのグランドデザインを定めるものにすること。
・基本計画には、いつまでにどの法令を制定・改正するのかなどのスケジュールを定めるものとすること。(例えば、「精神障害者の医療の提供のあり方関する検討については、令和4年9月を目途に結論を出す。」など政策の全体像が明らかになるように書き込む。)

○会議(仮称)の明文化
・患者の権利を推進する医療の基本政策を決めるために厚生労働大臣を中心にした会議を厚生労働省に設置すること。(医学部教育について検討するためには文部科学大臣、医療観察法や医療刑務所について検討するためには、法務大臣、裁判所などの参加が不可欠になってくるため、成員については閣僚を前提とする。)
・所掌事務は厚生労働大臣とすること。

○委員会(仮称)の明文化
・患者の権利を推進する医療の基本政策を検討する委員会を設置すること。
・患者団体を過半数とすること。
・委員会の位置づけは、厚生労働省設置法上の委員会とし、委員は国家公務員に準ずるものとすること。
・委員会の機能は、①基本計画(仮称)の作成にあたって意見をいうこと、②基本計画(仮称)の見直しの検討にあたって意見をいうこと、③基本計画の実施状況について評価をおこなうこと、会議(仮称)の決定にあたって意見をいうこととすること。

○地方公共団体の講ずる措置
・地方公共団体においても同様の機能を確保すること。

○附則に入れるべき事項
・見直し規定を設けて政策の実施状況の評価を踏まえながら見直しをできるようにすること。(見直し規定に実効性を持たせるため議連を継続すること。)
・厚生労働省設置法において患者の権利の推進を厚生労働省の所掌事務に加えること。