安楽死・尊厳死の問題点と介助者確保について

日 時: 11月28日 10時半受付開始、11時〜13時半
場 所: 憲政記念会館
     要約筆記あり
講演Ⅰ: 安藤泰至氏(鳥取大学医学部保健学科准教授)
講演Ⅱ: 竹田主子氏(医師、ALS患者)
問題提起 ACPによる治療停止と呼吸器外し

 一部の報道では、8月末から与党の一部で尊厳死法制化の案を練り直し、早ければ来年の通常国会への法案
提出を目指す動きがあるとされています。また、従来の案はリビングウィル(事前指示書)の法制化を目指す内容
でしたが、今回はAdvance Care Planning(ACP)を中心に議論されているとも報じられています。
 ACPとは、患者、家族、多職種による継続的な対話を通じた合意形成のことです。さまざまな意見を聞きながら
、患者が意思決定を行い、しかも患者の意思の変化にも対応できるということで、ACPは肯定的に捉えられること
が多いようです。
 たとえば、ALS患者が人工呼吸器を装着するか否かも、意思決定プロセスが重視されてきました。しかし、介護
保障に関する情報が十分に提供されないまま、対話が積み上げられていくことは、非常に危険です。療養体制が
整えられないがために、気管切開と呼吸器装着という患者本人の希望は「不可能」ということで合意が形成され
てしまう、みんなで積み上げた合意を患者本人が覆すことが困難である、など多くの問題が指摘されています。
 これまで尊厳死法制化の波は何度か押し寄せ、そのたびに私たちは声を挙げてきました。しかし、検討の内容
がリビングウィルからACPへと一歩進んだことで、一定の評価はできるものの、患者の自己決定権がどう扱われる
のかがはっきりせず、危機感を抱いています。
 そこで、今回は、有識者をお招きしてご講演いただくとともに、会場の参加者とも意見を交換しながら、この問題
について考えていきたいと思います。