精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第19条の8の規定に基づき厚生労働大臣の定める指定病院の基準の一部を改正する件(案)に関するパブリックコメント

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第19条の8の規定に基づき厚生労働大臣の定める指定病院の基準の一部を改正する件(案)に関するパブリックコメント

 本改正は、医師配置基準の「外来患者2.5を除した数」を「外来患者5を除した数」に変更しようとするものです。

1 基準改正の趣旨と実際
本基準改正の趣旨は、退院が進むことによって将来的に外来患者が増えるという「想定」だけであり、実際に指定病院の外来患者数が急増しているなどのデータが存在するわけではありません。そのため、具体的な問題に対応するための方策とはいえず、基準改正の必要がない可能性がある状態で変えられようとしている点で問題があるように思います。

2 指定病院の医師が不足することで生じる問題への懸念
単純計算すると指定病院の医師は、外来患者に二倍の診療時間を割くかたちになり、その分だけ通院者や入院者に手が回らず人員体制が手薄になることが考えられます。
精神科病院における処遇上の課題の多くは、人手不足に由来するものだとの指摘がされていますが、私たちは本基準の改正が処遇上の課題の解決を困難せしめるのではないかと危惧します。

3 指定病院の増加に伴う措置入院増加への不安
本基準の改正によって現時点では、指定病院でない病院も指定病院の要件を満たすことになり得ます。すると措置入院の指定病院数が増加する可能性があると思います。入退院者数・入院形態は、政策の影響を受けることが2013年の医療保護入院改正によって明らかになっています。そうなると措置入院先の増加に伴い措置入院者数も自ずと増えていくのではないかと深刻に憂慮します。このことは原則任意入院としてきた法の趣旨とも逆行するように感じます。

全国「精神病」者集団
2018年2月28日