民法(債権関連)の一部を改正する法律(案)における法務委員会質疑に関する陳情書

民法(債権関連)の一部を改正する法律(案)における法務委員会質疑に関する陳情書
2017年4月12日

 日頃より障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
 さて、今国会には民法(債権関係)改正法案が上程されました。本法案には、意思無能力法理の明文化を含む精神上の障害等に関わる諸条文が新設されたため、精神障害者の団体として強い関心をもってきました。意思無能力法理は、障害者権利条約の趣旨への違反すが指摘されている成年後見制度の立法事実に相当し、この法理を明示的に採用することが、ひいては安易な成年後見制度の拡大に拍車をかけるのではないかと憂慮します。
立法府は、精神障害者に係る法改正があった場合には精神障害当事者の声を尊重してほしいと思っています。
 つきましては、障害者権利条約の趣旨と障害者の地域生活実現の観点から以下のとおりの趣旨で委員会での質問をしていただきたく、お願い申し上げます。

質問
○意思無能力法理の成文化が不可欠とされた立法事実をお答えください。
○「意思能力」と「事理及び弁識の能力」は、どのような違いがありますか。
○成年後見制度の立法事実において意思無能力法理はどのように関係していますか。
○障害者権利条約第12条第2項では、障害を理由とした法的能力の不平等の禁止が規定されており、同条約の趣旨に成年後見制度が違反するとの指摘があることをご存知ですか。
○国連障害者権利委員会による「一般的意見第1号」では、障害を理由とした行為能力の制限が同条約に違反するものとされていますが、そのことは認識していますか。
○障害者基本法における社会的障壁の「制度」に成年後見制度が含まれると考えられますか。
○本改正は、成年後見制度の兼ね合いがあるため、少なからず障害者に係る政策変更という側面がありますが、それにもかかわらず内閣府障害者政策委員会に諮らなかった理由をお答えください。
以 上