障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン案へのパブリックコメント
1. 成年後見制度との共存
意思決定支援は、障害者権利条約の国内履行の文脈において不可欠であり、その意味で障害者権利条約の趣旨を踏まえたものでなければならない。ガイドラインでは、成年後見制度の活用が示されているが、意思決定支援と成年後見制度との共存は、障害者権利委員会一般的意見第1号パラグラフ24において否定されている。よって意思決定支援のガイドラインからは、成年後見制度に関する一切の文言を削除するべきである。
2. 最善の利益に基づく介入
意思決定支援は、障害者権利条約の国内履行の文脈において不可欠であり、その意味で障害者権利条約の趣旨を踏まえたものでなければならない。ガイドラインでは、最善の利益(best interest)に基づく介入――すなわち判断能力がないとされる人に対して第三者が「あなたにはこれが必要」と決めつけて行なう介入の仕方――を規定しているが、最善の利益に基づく介入は、障害者権利委員会一般的意見第1号パラグラフ18で否定されている。よって意思決定支援のガイドラインからは、最善の利益に関する一切の文言を削除するべきである。
3. 相談支援事業者による保護的な側面いついて
ガイドラインでは、相談支援事業者が計画相談等において本人の意思及び選好を把握し、個別支援の場において本人意思の尊重を実現していく枠組みとなっている。この枠組みでは、相談支援事業者と本人の位置がその他の関係者と比べて接近し過ぎているため、相談支援事業者の発言力が大きくなりすぎる点に留意すべきである。そのため、相談支援事業者の調整を前提としたガイドラインの限界を明示的に示し、3年後に見直す旨の文言の追加をすべきである。
2017年3月6日