厚生労働省交渉報告
2016年2月18日、10時30分から厚生労働省の前川企画法令係長と交渉しました。
関口明彦と桐原尚之、支援者1名で参加しました。
・検討会において障害者権利条約の要請を列記的に確認する作業をどこかに入れることについては、検討中とのことで具体的な方針は示されませんでした。
・障害者基本法を目的条項に入れさせる件に関しては、政府として理念条項を提案することが難しいとのことでした。
・医療保護入院届出件数の4万人減は、政策の影響であってニーズ変動とは考えていないとのことではあったが、その内訳についてはデータがないため詳細不明とのことでした。おそらくは、4万人の市町村同意が4万人程度ではないかと思われるが、市町村同意の件数がわからない、とのことで、そのため、今後は市町村から件数の照会を求めて、推計を出すなどしようと考えているとのことでした。
・行動制限については、実態を見ないで一律に制限することを想定していないとのことでした。たとえば、家族以外一律面会禁止としている場合は、病院のルールということではなく、精神保健福祉法上の行動制限に該当するため、診療録への記載義務も生じるとのことでした。病者集団側は、指導をしていくことになるが指導にあたって実情が浮かび上がってこないという課題があることと、繰り返し改善されない病院や都道府県がある事を指摘しました。厚生労働省は、指導を無視して現状が改善されないということはあってはならないことなので、より強い指導をしていくつもりだ、と回答しました。
・携帯電話の持ち込み禁止は、一律禁止ということを想定していないので、行動制限にあたるとのことでした。すなわち、カルテに制限の理由を記載する義務が生じるとのことでした。
・沼津中央病院のモデル事業については、委託したもので現在担当が産休中で確認できないためわからなかったのだが、このようなことがあるというように思っていないのだがどこからの情報か、と逆に質問がきたため、出典を明示し事実関係について具体的に伝えました。
前回の交渉で約束した障害者権利条約と精神保健福祉法に関する論点を提出しました。
障害者権利条約と精神保健法規の関係について(論点整理)
――医療保護入院を中心に――
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、精神保健福祉法)の医療保護入院は、精神障害者であることを要件として医療行為を受ける本人の同意に基づかない非自発的入院を規定しており、障害者権利条約第12条の趣旨に反する。
○医療保護入院は、精神障害者であることを要件として本人の同意に基づかない非自発的入院により、人身の自由を奪うため、障害者権利条約第14条の趣旨に反する。
○医療保護入院は、精神障害者であることを要件として本人の同意に基づかない医学的侵襲をするため、障害者権利条約第15条の趣旨に反する。
○医療保護入院は、精神障害者であることを要件として説明と同意に基づかない非自発的入院をするため、障害者権利条約第25条の趣旨に反する。