東京都の人権政策推進にむけた要求書

東京都知事 猪瀬直樹  様

人権ネットワーク・東京
代表 八柳 卓史

東京都の人権政策推進にむけた要求書

1. 基本要求
(1)新大久保での民族排外デモなど人権教育や啓発のみでは解決が困難な差別扇動(ヘイトスピーチ)が増加している。「差別禁止条例」の制定など「人種差別撤廃条約」など国際人権条約にそって法的な整備をはかられたい。
(2)人権政策の推進において被差別の当事者の意見等を踏まえることや政策推進への参画が重要であり、専門家や被差別当事者団体と人権政策の推進について定期的に協議がおこなえる常設機関(「人権政策審議会等」)を設置されたい。
(3)人権政策の推進に当たって、現状を把握することは極めて重要であり、「人権意識調査」「被差別者の生活実態調査」「差別事件や人権侵害の調査」を実施されたい。

2.在日本韓国人・朝鮮人差別の撤廃に向けた要求
(1)朝鮮学校への「私立外国人学校教育運営費補助金」を復活されたい。また全ての外国人学校への教育助成を拡充されたい。
政治的、外交的問題をもちだして朝鮮学校への補助金を停止することは国際人権規約(社会権、自由権)や子どもの権利条約などにも抵触する重大な人権侵害です。
即刻、補助金を復活すべきです。
また、他府県と比べても著しく低い水準にある外国人学校への教育助成を拡充することを求めます。
(2)ヘイトスピーチを防ぐための措置を講じられたい。
新大久保などで繰り返し行われている「朝鮮人首吊レ毒飲メ飛ビ降リロ」「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」等のプラカードを掲げ、同様のシュプレヒコールを叫びながら練り歩く排外主義者らのヘイトスピーチを防止するため、人種差別禁止条例を制定する等の措置を講じることを求めます。
(3)制度的無年金状態に放置されたままの障害者・高齢者への救済措置をとられたい。
1959年の国民年金制度発足時より1981年まで存在した「国籍条項」と、その後、経過措置が日本政府によって取られないがために無年金状態となっている、障害者・高齢者への救済措置として神奈川県などが行っているのと同様の福祉給付金を東京都としても支給することを求めます。
(4)神奈川県の外国人居住支援制度や川崎市などで行っている外国人の住まい探しの保証人制度のような外国籍住民の住まい探しへの支援措置を設けられたい。

3.部落差別撤廃に向けた要求
戸籍謄本等不正取得事件、土地差別調査事件、悪質な差別落書(貼紙)事件の再発防止に向け以下の対策を講じられたい。
(1)自己情報のコントロール権の観点からも、戸籍謄本等を第3者が取得した場合に、取得された本人にその旨を通知する「本人通知制度」を確立するよう都内全区市町村に要請していただきたい。
(2)土地差別調査など差別身元調査を規制する「身元調査規制条例」の制定など法制度的な対策を確立されたい。
(3)東京都個人情報保護条例における「社会的差別の原因となる個人情報」に「被差別部落の所在地名」が含まれることを明確にされたい。
(4)差別落書きは社会に対する悪質な差別扇動であることを踏まえ、再発防止に向けた抜本的な対策を講じられたい。

4.婚外子差別撤廃に向けた要求
(1)「婚外子差別をなくすこと」を東京都の人権啓発活動強調事項の一つとし、人権週間などを通じて啓発活動を行ってください。
(2)婚外子に係る戸籍及び住民票事務の以下の項目について各自治体に周知してください。
① 婚外子の出生届に当たっては、「父母との続き柄」欄に「嫡出子又は嫡出でない子の別」の記載がされていなくても届書の「その他」欄に、「出生子は、母の氏を称する。」等と記載すれば受理できること。また、胎児認知の届出がされているとき、又は出生届と同時に認知の届出がされた場合は、「その他」欄に「父は、同居者である。」等の記載をすれば、父を届出人として受理できること。(2010年3月24日付け法務省民一第729号民事局第一課長通知)
② 2004年11月より前に生まれた婚外子の戸籍の続き柄を「女」「男」から「長女」「長男」方式に変更したい場合、更正の申し出だけでは「女」「男」の記載が残ってしまうので、再製の申し出も同時に行う必要があること。それを申し出人に必ず説明すること。
③ 2010年3月24日付け民一第730号民事第一課長通知により、更正申出等の記載のある従前の戸籍(除籍・改製原戸籍)については再製の申出ができると、取り扱いが改められていること。
④ 出生届が受理されず戸籍に記載のない子についても住民票は適法に作成できること(2009年4月17日 最高裁判決)。
(3)以下の7項目について、東京都から国に要請してください。
① 戸籍法49条の出生届に「嫡出」か否かの記載を義務付ける規定をなくすこと
② 婚外子の父に出生届の届出人資格を与えること。
③ 戸籍法13条4項後段の実父母との続柄は不要であり、なくすこと。
④ 戸籍法13条5項後段の養親との続柄は不要であり、なくすこと。
⑤ 戸籍法施行規則における戸籍の父母との続き柄は「女」「男」方式に改正した上で、本人申し出ではなく職権で全て変更すること。
⑥ 税法の寡婦控除制度を改正し、婚姻歴のない母(父)子家庭の母にも「寡婦控除」を適用すること。

5.女性差別撤廃に向けた要求
東京都は2000年に、「東京都男女平等参画基本条例」を制定しました。それに先がけ、国は1999年に、「男女共同参画社会基本法」を成立させました。しかし、日本の女性の地位は、OECD諸国のなかで、昨年は135カ国中101位と、先進国では例のないほど低く、かつ年々後退しています。
残念ながら東京都においても、この男女の格差や不平等は改善されておりません。以下、現在私たちが女性の立場から特に問題としているテーマに沿って、現状と問題点を申し上げ、都の政策の中に考慮していただくよう、要請する次第です。
(1)東京の保育問題
安倍総理は、「育児休業を3年まで延ばし、待機児童をなくすため保育園の整備を加速する、5年間で待機児童をゼロにする」と発表し、大きな議論を呼びました。東京都でも、猪瀬都知事が新聞等で、保育政策について積極的に発言しておられます。
東京都議会では、今年度中に50ヵ所の認可保育園を増設すると決定され、歓迎すべきことと評価しております。しかし、今年の4月時点で2万人の待機児童がいることを考えると、全く不十分であります。知事は小規模保育所などで対応すると意欲を示されていますが、危惧されるのは、「基準緩和」の問題です。
現在東京都で行われている「認証保育制度」は、認可保育所よりは基準が緩和され、保育の質の低下がもたらされると同時に事故も増えています。また、国の援助がないため、保護者の負担も国基準より大きくなっています。小規模保育所においても、認可保育所と同じ基準になるよう、十分なご配慮をお願いいたします。
(2)東京の教育問題
・学級定数の改善について
2011・12年度と小学校1・2年生の学級定数が40名から35名に改善されました。いじめ問題の解決のためにも、学級定数の改善は不可欠です。しかし政権交代により、2013年度の小学校3年生の35人学級は実現しませんでした。現在学級定数は、都道府県独自に少なくできるようになっています。東京都として、小学校3年生以上及び中学校1年生以上の学級定数の改善を行われるようにお願いします。
・教科書と「道徳」教育について
来年は中学校教科書採択の年です。東京都が中高一貫校の中学校と、特別支援学校の一部に採択している『歴史』と『公民』の教科書は、男女平等の観点から見ると問題が大きいと思います。人権の立場からぜひ見直していただきたいと思います。
また国は、『道徳』を教科として位置づけようとしています。すでに現在の指導要領では、全教科において道徳を教えることになっています。しかし、多様な価値観こそが男女平等にとって重要であるという国際的な認識の流れの中で、道徳教育の一元化、家族や国家を絶対的価値とする教育は、東京にはふさわしくないと考えます。都としても慎重な態度をとっていただきたいと思います。
(3)デートDV・セクシュアル・ハラスメント防止のとりくみについて
東京都生活文化局は平成25(2013)年2月に「若年層における交際相手からの暴力に関する調査」を発表しました。大変時宜を得た調査であると考えます。この調査で、交際相手からの暴力(デートDV)を受けたと答えているのは37.4%にも上ります。また、デートDVについて学習機会があった人は、無かった人に比べ「暴力をふるうことは何があっても許されない」と答える割合が10%近く高くなっており、学習効果があることが読み取れます。都内の中学校・高校でデートDV防止の授業が広く行われるように、都としての啓発や、外部講師を呼ぶための補助をお願いします。
また、平成24(2012)年3月に発表された「男女平等参画のための東京都行動計画」には、「セクシュアル・ハラスメントの防止」として、「教育現場においても、~対応が求められています」と記述されています。学校でのセクシュアル・ハラスメント防止のために、教職員研修の啓発や、外部講師を呼ぶための補助をお願いします。
(4)朝鮮学校への補助金の支給について
民主党政権は高校授業料を無償化しましたが、「あらゆる学校に実施」をたてまえとしていながら、朝鮮学校だけに支給しませんでした。安倍政権ではさらに「朝鮮学校排除」を文部科学省の省令で決めてしまいました。私たちはこれを、すべての子どもたちの学ぶ権利を保障した、日本も批准している「子どもの権利条約」の違反であると考えます。
この無償化の問題に連動し、東京都では、朝鮮学校に15年間支給されてきた約2400万円の補助金を、2010年度には予算に計上されていたのにもかかわらず支給せず、その後現在まで3年間支給していません。他の外国人学校には支給されており、これは、あきらかに人権侵害であり、民族差別です。植民地政策によって、在日朝鮮人として生きざるを得なかった人たちの子どもたちの心を、国や東京都が差別によるイジメをして傷つけてはならないと思います。ひとしく納税の義務を果たしている保護者の負担をこれ以上重くしてはならないと思います。すべての子どもたちに学ぶ権利を保障してください。そのためにも補助金の復活を強く要請します。

6.障害者差別撤廃に向けた要求
今年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が成立しました。
これは、障害者権利条約を国内において具現化させる重要な法律で、2年間にわたって内閣府の障害者政策委員会・差別禁止部会で議論されたものを具体化させたものでした。
しかしその「部会意見」では、差別の定義化がなされるとともに、当事者団体や法律関係者を交えた紛争解決の仕組みの重要性が提起されていました。しかし残念ながら今回の法律ではそれが盛り込まれなく、3年後の施行までの議論、ないしは6年後の見直しに委ねられることになってしまいました。
一方でこの法律は、自治体のいわゆる「上乗せ・横出し条例」を否定しないと、しています。法律の今後の見直しにあたっては、裁判規範性に耐えうる、より強制力と実効性のある法律が求められます。そういう意味からも、自治体において実効性のある障害に基づく差別を禁止する条例づくりが求められています。
(1)障害に基づく差別を禁止する東京都独自の条例を早急に制定すること
(2)条例制定にあたっては、国の差別禁止部会で提言された、「不均等待遇」と「合理的配慮」の不提供を“差別”とする定義化を図ること
(3)差別を受けた場合、気軽に相談できる、紛争解決の仕組みや相談機関を、障害当事者団体や法律関係者など幅広い立場の人々によって構成するものをつくること
(4)法律では、合理的配慮について民間事業者の場合、努力義務としたが、合理的配慮の概念自身が「過度な負担を超えない範囲のもの」という性質上、民間事業者についても、東京都の条例では義務化とすること
(5)法律の中に「障害者差別解消支援地域協議会を設置できる」とあるが、都の全ての区市町村においてそれが設置されるように促していくこと
(6)条例制定においては、都の様々な立場の障害当事者団体と協議をしていくこと

7.精神障害者差別撤廃に向けた要求
(1)他障害と精神障害者に対する支援の不均衡を差別として捉え是正すること
①障害者医療証を他障害同様精神障害者にも適用する
②交通費割引を他障害同様に精神障害者にも適用すること
タクシー運賃の割引を精神障害者にも適用する
とりわけ介助者の交通費無料化を精神障害者にも適用すること
(2)精神障害者の入院および処遇について
今年5月31日に国連拷問等禁止条約委員会は初めて日本の精神医療を全面的に批判し厳しい勧告を突きつけている。主な勧告の中身は以下通りです。
1.強制入院に法的コントロールを、有効な不服申立てメカニズムを
2.地域サービスの充実で入院患者を減らすこと
3.身体拘束や保護室への隔離を減らすこと、期間も最小とすること
4.身体拘束や保護室隔離などの行動制限による被害者に対して救済と賠償を
5.独立した監視機関による精神病院の定期的監視を
こうした勧告も踏まえ、精神病院への長期入院及び強制入院そして身体拘束や保護室隔離は人権問題であるという認識のもとにいかを徹底すること
① 東京都では新規措置入院が最小の県の17倍もある実態について、そしてもたらされた被害について当事者から聞き取りもふくめ個別ケースの徹底再審査を行うこと 全国平均で措置入院と医療保護入院があわせて在院患者の4割強である実態は国連拷問等禁止条約委員会でも問題にされているが、東京においても4割が強制入院である。こうした強制入院の運用について再審査する必要がある
② とりわけ長期入院患者の存在については、それぞれ個別事例にたいし退院に向けた集中的な支援が必要である。東京には5年以上の長期の在院患者が6253人存在し、そのうちなんと措置入院は6名(うち20年以上2名)医療保護入院は1446人。強制入院が長期化している実態は、強制入院の不当性を立証している。徹底した再審査と退院に向けた集中的な支援が必要である
③ また身体拘束や保護室隔離についても、東京では身体拘束されているもの952名保護室隔離されているものが524名である。この実態についてとりわけその期間についても個別の調査と解決が求められる
④ こうした精神病院への精神障害者の隔離拘禁の実態解決のためには精神病院収容者はホームレスであるという認識のもと速やかな住宅保障が求められている
(これらは全て2010年の患者調査および衛生行政報告による)

8.路上生活者に対する差別の撤廃及び貧困問題の解決にむけた要求
(路上生活者襲撃事件に関して)
今年7月3日に江戸川区内で路上生活をしている男性のテントに花火が撃ち込まれ、中高生5人が逮捕されました。中高生による同様の襲撃事件は毎年のように発生しています。
襲撃事件の背景には、路上生活者への根強い差別・偏見があり、その解消が喫緊の課題になっています。
(1)路上生活者に対する襲撃を生命尊重にかかわる重大な事件として受け止め、都内の学校現場で路上生活者の人権に関する授業実践に取り組むこと。また、教職員対象の研修会も実施すること。
(2)路上生活者の人権に関して都民への啓発活動を積極的に実施すること。
(「脱法ハウス」問題など、住まいの貧困に関して)
多人数の居住実態がありながら建築基準法や消防法、東京都建築安全条例などに違反している「脱法ハウス」(違法貸しルーム)が都内に広がっています。現在、国土交通省が実態調査に乗り出していますが、違法物件の大半が都内に集中していることが明らかになっています。こうした安全性の欠如した物件が広がる背景には、民間賃貸借市場における入居差別や保証人問題、高い初期費用などの問題があることが指摘されています。
(1).国土交通省による「脱法ハウス」(違法貸しルーム)の実態調査に都としても全面的に協力すると同時に、「脱法ハウス」入居者が安全な居住環境に移れるための施策の充実を図ること。
(2)入居差別や保証人問題など、被差別者や低所得者の住まいの確保にあたっての課題を総合的に検討する部局横断的な検討委員会を設置し、被差別当事者や居住支援NPOのメンバーも委員に加えること。
以 上
   2013年12月10日

東京国体警備についての申し入れ

 私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者個人団体の連合体です。私たちは「精神病」者の人権侵害や強制入院に抗して闘ってきました。
 さて2013年9月28日、都内では東京国体(第68回国民体育大会)の開会と、天皇・皇后の出席が予定されています。また、2013年11月16日~17日にかけては、埼玉県内で第37回全国植樹祭にも天皇皇后の出席が予定されています。いずれに際しても、厳重な警備が行われるものと予想されます。
 過去、このような場面では、「精神病」者に対する警察による不当なつきまといや、強制入院・開放病床の閉鎖化などの人権侵害が行われてきました。また、野宿者の追い立ても行われてきています。
 全国「精神病」者集団は、東京国体や全国植樹祭に際し、このような人権侵害を一切行わないよう、東京都および警視庁に申し入れます。
   2013年8月2日

精神障害者の人権を否定し 差別を固定化する精神保健福祉法改悪を許すな

 私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私たちは結成時より、一切の強制入院強制医療の廃止、精神衛生法(当時)撤廃をかかげ、私たちを犯罪予備軍としてとらえ差別的に予防拘禁し強制的に人格矯正しようとする保安処分を許さない闘いを継続してきた。
 また2002年より、国連の障害者権利条約作成への動きに対して、世界精神医療ユーザーサバイバーネットワークWNUSP 全国「精神病」者集団もメンバー)とともに積極的に取り組み、また国内でも日本障害フォーラムに参加して日本政府や国連特別委員会への働きかけを継続してきた。
 2006年12月国連総会はついに障害者権利条約を採択し、日本政府も2008年9月に署名し、批准への意思を明らかにしている。
 そもそも障害者権利条約は強制入院および強制医療を否定しており、すでに締約国政府報告書審査で再三、その旨が委員会より述べられている。強制入院強制医療は、障害者権利条約12条、14条、15条、17条、19条、25条d、26条bおよび3条の非(b) 非差別〔無差別〕という一般原則の侵害であり、廃止されなければならない。
 また拷問等禁止条約特別報告官はこの2月の報告書および3月の国連人権理事会へのスピーチで、以下述べている。
 「障害者に対するすべての強制的で同意のない医学的介入に対して絶対的禁止を課すこと。こうした強制的医学的介入には、同意なしに行われる、精神外科手術、電気ショック、抗精神病薬のような精神を変容させる投薬、その期間の長短にかかわらず身体拘束と隔離拘禁の使用、が含まれる。障害のみを理由とした強制的精神医療の介入を終わらせる義務は即座に適用することであり、財政的資源の不足は義務の履行の延期を正当化し得ない(A/HRC/22/53,パラグラフ 89(b))」

「いかなる例外もなく平等を基礎として自由なインフォームドコンセントのセーフガード、法的枠組みと司法的行政的メカニズムそれは虐待からの保護を実践するための政策と実践を通すことも含む。これと矛盾するいかなる法律の条項、精神保健分野における拘禁あるいは強制的医療を許容するような条項は後見人制度そして他の代理決定を使うものも含め改正されなければならない。自律、自己決定そして人の尊厳を擁護する政策と手続きがとられること。保健についての情報が完全に提供でき受け入れでき、アクセシブルでそして良質なものとして確保されること。こうした情報は地域に基盤を置くサービスと支援が広範囲に行われるように、支援と保護の方策によって、提供され理解されなければならない(A/64/272, パラグラフ. 93)インフォームドコンセントなしの医療の例があれば、それは捜査され、そうした治療の被害者に対してそうしたことがやめられ、償わればならないA/HRC/22/53, パラグラフ 85(e)」

「精神保健を根拠とした拘禁あるいは精神保健施設への監禁、そして当事者の自由なインフォームドコンセントなしの精神保健分野におけるいかなる強制的介入あるいは治療を許容する法律条項の改正。自由なインフォームドコンセントなしの障害を理由とした障害者の施設収容を正当化している法制は廃止されなければならないA/HRC/22/53, 89(d).」

2013年3月4日の人権理事会においての彼の演説で、これについてさらに以下詳しく述べている。「精神疾患を根拠とした自由の剥奪は正当化できない。中略 わたしは精神医療疾患の重篤さが拘禁を正当化しえずまた、自らあるいは他者の安全を守るという動機によってもそれは正当化し得ないと信じる」

したがって障害者権利条約批准に向けては最低限、強制入院の要件を見直し、強制入院を減らし、最終的に廃止する方向性を取る必要がある。ところが今回の法案はとりわけ以下の点でこれに逆行している。

1 強制入院の安易簡便化による強制入院の現状維持と増加
 法案は措置入院には一切手を付けず、保護者制度撤廃と引き換えに、医療保護入院を医師一人の判断でしかも3親等までの家族ならだれでも同意できるという形にし、強制入院をより安易簡便にしようとしている。我々は障害者権利条約批准にあたって、厚顔にも強制入院強制医療を拡大強化する、精神保健福祉法改悪案を決して許すことはできない。
 厚生労働省は「障害者政策委員会第2回 第4小委員会(2012年11月12日開催)」において、病床削減の数値目標は立てないし病床削減という方針はないと明言している。
 厚生労働省は精神病院入院患者については長期化を避け短期間の入院とするという方針を出しており実際入院の短期化の傾向はある。しかしその上で病床削減をしないということ、さらに医療保護入院の要件緩和ということは、現状に倍する精神障害者が精神病院入院を強いられていく結果を招きかねない。

2 精神病院における人員配置基準の差別強化、精神障害者差別の強化
 また法案では新設条項として、厚生労働省大臣が精神医療福祉に向けた指針を作ることになっており、その中には精神科病床のあり方も含まれている。
 厚生労働省「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会2012年6月29日」報告書において、今現在長期に入院している方の病棟については、差別的な特例(精神病院においては他科に比べ医師の配置が少なくていいとするもの)以下の水準でよしとされている。医師は特例以下、看護についても看護師以下の介護士、精神保健福祉士、作業療法士、などをあわせて看護基準を満たせばいい、すなわち看護についても基準の配置でいいとするものである。これでは夜間は看護も医師も当直なしという病棟となるであろう。これを果たして「病棟」と呼んでいいのだろうか?
 精神病院病棟が病院というより生活の場・施設と化してしまっている実態の公認である。しかもこの病棟については「開放的な」とはされているが、開放病棟とするとはされておらず、行動制限をしてはならないとはされていない。また強制入院患者を入れてはならないもされていない。さらにこの病棟を、年限を切って0にするという方針も出されていない。医療と保護のために本人が拒否しても入院が必要という病態の方がなぜ医療保障もないこんな病棟に入れられるのか?  医療と保護のためにやむを得ずするという行動制限を受けるほどの病態の方がなぜこんな病棟に入れられるのか?
 しかも精神保健福祉法によれば、強制入院の医療費であっても本人自己負担が原則である。そして本人が負担できないときは連帯保証人から取り立てられることになっている。こんな基準以下の病棟に強制的に放り込まれ、その上医療費まで取り立てられる。これこそ精神障害者差別以外のなにものでもない。

3 医療観察法対象者およびその家族に対する差別の強化
 さらに医療観察法においては現行の精神保健福祉法における保護者制度の規定がそっくりそのまま移行して新規条文とされる改悪案も一緒に出されている。
 精神障害者にのみ保護者が付けられるというのが差別であるから保護者制度を廃止するというなら、医療観察法対象者は差別されていいということか?
 家族の負担軽減のために保護者制度をなくすというなら医療観察法対象者家族は負担を増して当然ということか?
 もともと精神障害者差別立法である医療観察法はさらに精神障害者一般からも差別されその差別の強化が図られようとしている
 精神病院中心の精神医療からの変換、隔離収容から地域で医療を受ける権利確立、そして何より精神障害者差別と隔離拘禁の廃絶は私たちの積年の要求である。再度私たちはすべての仲間に訴える。障害者権利条約の意味ある批准を そして完全履行を、強制入院強制医療の廃絶、精神保健福祉法の廃止、医療観察法の廃止を
   2013年5月6日

精神保健福祉法・心神喪失者等医療観察法改悪阻止闘争へ

 全国の「精神病」者仲間の皆様、および私たちに心寄せてくださっておられる皆様 すでにご存じと思いますが、政府は4月19日に精神保健福祉法改悪案を閣議 決定しました。
 改悪の中身は保護者制度を廃止するのとひきかえに、医療保護入院を今後も維持し、精神科医一人の判断で三親等の誰でも一人の同意が取れれば、医療保護入 院として本人が拒否しても強制入院するというものです。現行の順位はなくなり、家裁の選任もなくなります。
 これでは家族間に争いがあった場合、いかようにも気に入らない人間を精神科医と語らって強制入院できることになってしまいます。今現在も兄弟間の争いが 親御さんの強制入院をもたらしている例もありますし、何十年もあったことのな い叔父叔母、甥姪であろうと入院に同意できることになります。
 また家族の負担軽減といっても、結局入院には家族の同意が必要であり、経済 的にも入院に際して連帯保証人となることを求められますから、何の負担軽減に もなりません。精神障害者差別そのものである強制入院制度に手を付けていない のですから、精神障害者差別を弱めるどころか、より安易に強制入院できること になりますから、差別強化の法制となります。
 また家族の負担軽減のためや保護者制度は差別であるとして保護者制度を精神 保健福祉法から削除するならば、どうして現行の保護者規定をそのまま心神喪失 者等医療観察法に書き込み、心神喪失者等医療観察法では保護者制度を維持する のでしょうか?  心神喪失者等医療観察法対象者は差別されて、保護者を必要とするのが当然と いうことでしょうか? 心神喪失者等医療観察法対象者の家族は負担を負って当 然ということでしょうか?
 障害者権利条約は一歳の強制医療強制入院制度の廃止を求めています。条約批 准に向け強制入院をより厳しく制限し、強制入院を減らしていくどころか、今回 の法改悪は強制入院をより安易簡便な手続きにし、現状を維持あるいは強制入院 の増加をもたらすものです。そして心神喪失者等医療観察法対象者およびその家 族への負担と差別の強化です
 私たちは国会議員に向け、連休明けから想定されている法改悪議論を阻止し、 法改悪を許さない取り組みを開始したいと考えています。  国会議員へのオルグ、国会前座り込み等もろもろの行動を考えております。 様々な方のご協力が必要です。ご協力いただける方はご連絡を、「精神病」者に かぎらずぜひご協力を。地方の方もパソコンその他でご協力いただけます
 また5月4日(土)夕方4時からの相談会にご出席を 相談会は出られないけれどご協力いただける方は
   2013年4月28日

精神保健福祉法改悪に抗議する

 12日の新聞報道によると、厚生労働省は精神保健福祉法改悪法案を今国会に上程するとしている。
 内容は保護者制度の廃止、これについては当然としてもなんと医療保護入院制度を存続しさらに手続きを安易簡便にするとしている。
 報道によると、一人の精神保健指定医および特定医師の医療保護入院が必要という判断に加え、扶養義務者(3親等)のうち誰か一人の同意があれば本人が拒否していても医療保護入院として強制入院できるという方向としている。また現在の保護者の優先順位も廃止し、家裁による選任も廃止すると漏れ聞いている。
 これでは10年以上会ったこともない兄弟あるいは叔父叔母、甥姪、であろうと本人が嫌と言っていても強制入院に同意できることになる。
 家族の負担軽減といっても入院に際しては医療費の連帯保証人となることを求められるし、精神保健福祉法上医療費は本人か扶養義務者の負担となっている。
 強制入院に際し家族が同意することで本人と家族間で軋轢が生じるという問題はこれにおいては全く解決しない。
 保護者制度を廃止しても、これらは全く解決せず相変わらず家族に強制入院の負担を負わせている本質に何の変化も生じない。
 また医療保護入院は安易かつ恣意的に使われており、新規の医療保護入院は1999年(約11万人)より増加の一方であり、2010年には1年間に19万人以上もが医療保護入院となっている。各県における新規医療保護入院の人口比のばらつきも最小と最大で4倍も異なっている。
 私達は未だ法案を知らない、このまま閣議決定するなら、もっとも影響を受ける精神障害者当事者を無視したままで政府は法案を決定することになる。
 私達はこうした手続および中身に断固抗議する
   2013年4月13日

ガイド71の改訂に伴う意見書

AD体系的技術標準化委員会委員長 殿
TC173/SC7/WG2(アクセシブルミーティング・ガイド71検討委員会)委員長 殿

Guidelines for standards developers to address the needs of older person with disability(ISO/IEC Guide 71:71)の改訂に伴う意見書

このたびの「高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針(JIS Z 8071:2003)(ISO/IEC Guide 71:71)」の改訂に伴い、全国「精神病」者集団として次の意見を申し上げます。

1.このたびの「高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針(JIS Z 8071:2003)(ISO/IEC Guide 71:71)」の改訂に伴い、精神障害者(person with psycho social disability)への配慮を追加してください。

2.精神障害者(person with psycho social disability)への配慮については、ヒアリングなどの調査を実施し、国際比較をした上で妥当なものを入れてください。

3.尚、全国「精神病」者集団としては、これまでの議論の蓄積上、現時点で可能な範囲の提言として、
①休息にかかる時間の設計の配慮、②休息にかかる空間の設計の配慮、③飲料水・水分補給にかかる配慮、④精神障害を有資格化せずとも配慮にアクセスできるための配慮(例えば、精神障害者保健福祉手帳には「障害者手帳」とのみ記載されていること)
をあげます。
また、全国「精神病」者集団の会員である山本真理が、
「精神障害者にとっての「合理的配慮」として」というメモを書いており、
次のウェブサイトに掲載しております。 http://nagano.dee.cc/041207con.htm
参考までにご活用ください。

4.TC173/SC7/WG2(アクセシブルミーティング・ガイド71検討委員会)の委員に精神障害のある委員を追加してください。

  2013年3月22日

全国「精神病」者集団

総合福祉法(仮称)に盛り込むべき事項について――民主党PTに向けて

はじめに

総合福祉法(仮称)については、総合福祉部会の骨格提言すべてが完全に盛り込まれるべきである。
障害当事者、障害者家族、福祉医療提供者、法律家、有識者、自治体関係者などあらゆる立場のもの55名が一致して提言した中身は重く受け止められ、骨格提言を完全に盛り込んだ法律を作るべきである。

骨格提言のうち全国「精神病」者集団として強調する点

1 前文の必要性
総合福祉法(仮称)の制定経緯そして理念を明確にするために前文は必要
たとえ議員立法でなくとも、前文を付けてはならないという縛りはないはず

2 法と理念の重要性
 憲法の定める基本的人権が障害者にも平等に実質的保障されることは何より重要なことであり、目的条項に明確にされるべき。また法の理念条項も必須、目的を達成するために、国、都道府県、市町村、国民の義務条項は必須、基盤整備義務も必須

3 支援(サービス)体系
 ショートステイは精神障害者の新たな社会的入院防止のためにはとりわけ重要なものであり、充実化が求められる(参考資料1参照)。精神障害者にとっては環境を変え三食昼寝つきで休息できる安全保障感のある場所が必要であるが、特別の施設でなくとも旅館やホテルなどのクーポン券支給で足りる場合が多い。こうしたクーポン券支給をショートステイの中に位置づけるべき
 グループホームについてはソフトとしてのグループホームとして、分散したアパートのそれぞれの部屋をグループホームとして使い、交流の場と事務所を作るサテライト型グループホームの推進が重要。グループホームとしてのサービスが不要になった場合はそのままそのアパートの一室を住居として使えるため、転居の必要もなく、精神障害者の負担軽減となる。また新たな施設を新設する必要もない
 居宅介護についてはキャンセル時の報酬保障(利用者負担をなくすため)あるいは臨機応変に対応できる24時間365日事務所に待機して対応できる介助類型と報酬確保が必要である。

4 地域移行
 地域移行の法定化は何より重要であり、障害の程度や状況、支援の量などにかかわらず、すべての障害者が地域移行の対象となることは重要。現在の精神病院推薦による退院促進事業の発想を大幅に変える必要がある。とりわけ高齢超長期の入院患者の地域移行は緊急に解決されるべき人権問題(放置すれば死亡退院になってしまう 参考資料2参照)
 なお精神病院隣接のグループホームや敷地内施設あるいは病棟改築の居住施設への「退院」は地域移行ではなく、既存のものは廃止し、今後決して認められてはならない
 家事援助(閉鎖病棟で精神病院売店の割高な買い物をしないですむようにあるいは売店で買えないものなど買い物代行など)外出の促進のための移動支援など地域の福祉サービスを精神病院入院中から使えることは重要
 現在精神病院入院中に保険外の支出がほぼ生活保護の日用品費と同じ例も多く地域移行に向けた活動への資金援助はことのほか重要。外出しようにもアパート探しするにもその交通費すらないのが現状

5 基盤整備
 精神障害者への地域での福祉が圧倒的に貧しいがために、精神障害者は精神医療に囲い込まれ、デイケアや訪問看護(押し付けられる場合多い)に膨大な医療費が使われているが、これを地域でのサービスに転換するためにも基盤整備は精神障害者にとって重要 現在訪問系サービスあるいはショートステイの支給決定を受けても提供事業所がないため使えない精神障害者が多い

6 相談支援と権利擁護
 相談支援については、「中立・公平」な、裁く人であるケアマネージャーではなくて、あくまで本人の利益に奉仕する立場をとるべきであり、かつ決して強制されないことを法的に担保すべきである
 相談支援・権利擁護については、施設や精神病院あるいは刑事施設に積極的に出張相談窓口設置ができることを法的に保障すべき
 現状では精神障害者に対して「うつ病は対象外」「3級は対象外」などという自立支援法申請窓口および相談支援事業所による水際作戦が行われており、申請すらできない状況がある。申請権・受給権の確保、あるいは相談支援を強制されないため、施設入所やグループホーム入居(とりわけ刑事施設からの出獄者に対してや精神病院からの地域移行の過程において)を強制されないため権利擁護はとりわけ重要である。
 また逮捕された障害者に対して、救援の立場から権利擁護や相談支援がかかわることへの報酬保障と法的保障が必要

7 人権を侵害する制度の廃止とそれに費やされている予算を地域移行や地域基盤充実に向けること
心神喪失者等医療観察法の廃止やアウトリーチ事業の廃止(参考資料3、4 参照)

障害者基本法に基づく政策委員会に関口就任

関口明彦は、この度、障害者政策委員に選ばれました。初心を忘れずに頑張ります。

政策委員会メンバー一覧
(早稲田大学教授) 浅倉 むつ子
(社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会理事) 阿部 一彦
(静岡県立大学国際関係学部教授) 石川 准
(財団法人 全日本ろうあ連盟理事長) 石野 富志三郎
(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会代表理事) 伊藤 建雄
(社会福祉法人ロザリオの聖母会海上寮療養所常勤医) 上野 秀樹
(一般社団法人 日本発達障害ネットワーク副理事長) 氏田 照子
(日本経済団体連合会労働政策本部主幹) 遠藤 和夫
(弁護士) 大谷 恭子
(社団法人全国脊髄損傷者連合会副理事長) 大濱 眞
(特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議事務局長) 尾上 浩二
(全国知事会(滋賀県知事)) 嘉田 由紀子
(国立社会保障・人口問題研究所情報調査分析部長) 勝又 幸子
(社会福祉法人全国盲ろう者協会評議員) 門川 紳一郎
(公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事長) 川﨑 洋子
(特定非営利活動法人おおさか地域生活支援ネットワーク理事長) 北野 誠一
(全国市長会(三鷹市長)) 清原 慶子
(日本福祉大学客員教授) 後藤 芳一
(日本社会事業大学教授) 佐藤 久夫
(社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会常務理事) 新谷 友良
(全国「精神病」者集団運営委員) 関口 明彦
(社会福祉法人 日本盲人会連合会長) 竹下 義樹
(社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会常務理事) 田中 正博
(ピープルファースト北海道会長) 土本 秋夫
(日本労働組合総連合会総合政策局長) 花井 圭子
(アジア・ディスアビリティ ・インスティテート代表) 中西 由起子
(財団法人 日本知的障害者福祉協会会長) 中原 強
(日本障害フォーラム幹事会議長) 藤井 克徳
(社会福祉法人全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長) 三浦 貴子
(大阪大学大学院高等司法研究科教授) 棟居 快行

障害者政策委員会委員に任命する (各通)
(平成24年5月21日付)

本件問合せ先
内閣府政策統括官 (共生社会政策担当) 付
電話 3581-0278 (直)
内閣府大臣官房人事課任用第2係
電話 3581-2702 (直)

2012年4月27日 厚生労働省 「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」 ヒアリングに向けて

前提

閣議決定2010年6月29日「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」においては、医療分野において以下記述されている。

○ 精神障害者に対する強制入院、強制医療介入等について、いわゆる「保護者制度」の見直し等も含め、その在り方を検討し、平成24 年内を目途にその結論を得る。

なお付け加えれば全国「精神病」者集団の関口は、「○関口委員 どうもありがとうございます。関口です。資料3の別紙3-2の修正についてという厚生労働省が出したものですけれども、留意点についてということで、まず42ページの『保護入院等』の『等』は当然医療観察法でございます。はっきりさせておきたいと思います。」(障がい者制度改革推進会議(第28回) 議事録)と確認している。

しかしながら、厚生労働省検討会内部の議論は医療保護入院および保護者制度の問題に集中しており、措置入院や応急入院、あるいは医療観察法の鑑定入院や入院について議論されていない。このことにまず抗議する。

そもそも障害者制度改革は障害者権利条約批准に向けた国内法整備を目的としたものであり、「障がい者制度改革推進本部の設置について」(2010年12月8日 閣議決定)においても「1 障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行い、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保しつつ、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、内閣に障がい者制度改革推進本部(以下「本部」という。)を設置する。」とされている。

障害者権利条約は、5条(平等及び無差別)、12条(法律の前に等しく認められる権利)、14条(身体の自由及び安全)、15条(拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰からの自由)、17条(個人をそのままの状態で保護すること)、19条(自立した生活及び地域社会への包容)、25条(健康)(d)他のものと平等なインフォームドコンセントの権利、などにより精神障害者のみに対する強制入院強制医療さらに強制的介入、隔離収容を禁止している。さらに4条(一般的義務)(b)において締約国の義務として障害者差別となる既存の法律、規則、慣習および慣行を修正し、または廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)を取ること、とされている以上、批准に向けて医療観察法の廃止、精神保健福祉法の廃止が求められている。なお添付のようにペルーの政府報告書に対する条約委員会の見解では後見人制度や精神保健法の廃止が求められ抗精神病薬の強制投与や10年以上の精神病院への拘禁が15条に触れるとされている(添付資料 1参照)

残念ながらこの検討会ではこうした障害者権利条約の条文を巡る議論が全くなされていないが、これはいったいどういうことなのか、このこと自体が障害者権利条約を署名した国としてはあってはならないことである。2012年中の検証として新たに条約に基づいて議論する場が求められている。

詳細は国連高等弁務官事務所の文書及び、前拷問等禁止条約特別報告官の文書参照(添付資料2参照)

新たな地域精神保健医療体制の構築?

すでに19日に山本が述べたように(添付資料3参照)単科精神病院は終焉の時代を迎えていることを自覚すべきであり(『病院の世紀の理論』猪飼周平 有斐閣 参照)、求められているのは精神病院に代わる一般病院での精神病床(人口10万人当たり10床というのがモッシャーほか著の「コミュニティメンタルヘルス」中央法規出版 1992年)さらに、病院に代わる治療共同体や精神障害者自身による危機センター、ショートステイ、セルフヘルプグループなどであるが、さらに必要な方に対してパーソナルアシスタント制度が重要である。

家族をあてにした体制保護者制度は当然にも廃止されなければならない。

自立支援法は精神障害者にとっては何とも使いにくい制度であり、とりわけ地域移行に際しては精神病院入院中から自立生活体験室で介助者を訓練し、パーソナルアシスタントを獲得していくことが必要である。自立生活訓練は精神障害者が訓練されるのではなく介助者の訓練の機会ととらえられるべきである(これはすでに知的障害者の支援においては先進的に取り組まれている『良い支援?』生活書院 参照)資格さえあれば代替可能という介助では精神障害者は使いにくい。

また居宅介護ではなく、集いの場での介助支援や待機(これについては添付資料4 桐原研究参照)という介助類型も必要である。現在の地域定着支援は生活保護受給者には使えない(長期入院退院患者の多くは生活保護受給とならざるを得ない)ことさらに単価の問題もあり、とてもパーソナルアシスタントや待機を保障するものとはなりえない。もちろんグループホームやケアホームなどという施設ではなく、居住権のある住宅と呼べる住宅保障は最優先である。

医療・保健・福祉の連携や多職種チームによる支援が喧伝されているが、これらに私たちは強い疑問がある。一市民として支援介助を受けながら自立生活する中で、医療はあくまで必要な時に使うものであり、必要な場合における支援介助こそが中心となるべきであり、それにはパーソナルアシスタントこそが中心となるべきである。今現在行われている多職種チームとは専門職による支援とは全く逆な、あくまで本人の介助支援であり、指導や訓練であってはならない。介助者支援者の個別の精神障害者に合わせた訓練こそが必要。たとえば多職種チームによるケア会議は本人吊るし上げ、の場になってしまいがちである。

そして最も必要なのはアドボケイト、本人の権利主張の応援者支援者である。これは入院中のみならずすべての場において最も重要な支援といえよう。アドボケイトのいないままでの多職種チームによるケア会議はわかっているだけで17名の自殺者を出し、さらに体験者がさらし者の場と批判しているような医療観察法の実態にこそ問題点があらわとなっている(添付資料5参照)。いかに人手を増やし、金をかけても本人との信頼関係もなくアドボケイトもいない体制は本人を追い込むだけである。また今予算がついているアウトリーチも私たちは認めない(添付資料6参照)必要なのはスェーデンスコーネで行われているようなあるいはすでに各地で試みられているような本人と信頼関係を作り上げるアウトリーチである。

「新たな地域精神保健医療体制の構築」ではなく、「新たな精神障害者の地域生活支援と権利保障体制構築」に向け、私たち精神障害者団体による研究に資金をつけ、自立支援法上の事業所のない空白地帯を埋めていく取り組みが喫緊の課題である。