持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究
研究代表者 竹島 正 様
精神科入院患者の重症度に応じた医療体制の確保に関する研究
研究分担者 福田正人 様
紅葉の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記に精神科入院患者の重症度にもとづく医療・看護必要度の評価の手引き(案)への意見をまとめました。ご検討くださいますようお願い申し上げます。
記
(1)精神科生物学的医療ニーズ
保険原理的には、入院医療でなくてもできる治療は入院医療によるべきではないこととされている。“どんなに病気が重くても入院せずに地域生活できる”という理解のもと報酬等の政策を設計していく必要がある。重症度、医療看護必要度については、生物学的な意味での疾病が重症であるとしても、そのことがただちに入院医療が必要であることを帰結しないという点を確認しておく必要がある。入院医療は、治療メニューのひとつであり、入院ニーズに基づいて施される処遇である。“病気が重いから入院している”という図式は、回避されなければならない。また、入院医療の必要性を高い蓋然性をもって担保するものが必要である。
(2)重症者の数について
重症者の数は、最初に母数を決めて、母数を超えないような判定基準を設ける手順が妥当であると考える。判定の結果、重症者が続出するようであれば、入院医療の量的な必要性を政策的に裏付けることにもつながりうるため、入院医療の必要性を絞り込むような形で設計していく必要がある。他方で人員を動員する根拠としての重症度、医療看護必要度という側面もあるため、人員の必要性から逆算したかたちで母数を設定していくことも考えられなければならない。
(3)精神科心理社会支援ニーズ
精神科心理社会支援ニーズは、退院後の居住地がないために入院している状態など、現実の問題としては人員を動員して解消すべき問題ではあるものの、本来は健康保険を使って入院医療に報酬を発生させるべきものとは認めがたいものでもあった。
(4)その他
このたびの手引き(案)は、B項目にかかわる手引きのみであり、A項目とC項目にかかわる手引きが示されていなかった。そのため、全体像が見えにくく、非常にコメントが難しかった。引き続き、必要に応じて意見を出していきたいと考えている。
以 上