要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
最高裁判所事務総局家庭局第二課長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、わが国の成年後見制度は、精神上の障害により事理を弁識する能力になんらかの問題がある者に対して行為能力を制限するための審判を規定したものです。民法明文上にも「精神上の障害」とあるように成年被後見人等の大部分が精神障害者ということになります。そのため、成年後見制度は、精神障害者の生活にかかわる制度です。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.精神障害の当事者参画の推進
障害者に係る法制度・規則・書式等の見直し等(例えば、成年後見制度の見直し)にあたっては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者団体の推薦を得た精神障害当事者からのヒアリング実施等を推進してください。

2.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

3.障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じてください。
以 上