中央省庁による障害者雇用水増し問題に関する意見書

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織である。
 このたび発覚した中央省庁や自治体等における障害者雇用水増し問題は、政府が2018年3月に閣議で決定した「第4次障害者基本計画」の「国の機関においては民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、法定雇用率の完全達成に向けて取り組むなど、積極的に障害者の雇用を進める」とする明文規定に背き、実に40年にもわたって法律違反を重ねてきた由々しき問題である。障害者雇用の水増し数は、2017年度だけでも3400人を下回らないとされている。同時に私たち障害者は、実に40年にわたって雇用の機会を奪われてきたわけであり、言葉にできないほどの大きな衝撃をうけている。
 また、40年余にわたって不正を正せなかった障害者雇用の所轄庁である厚生労働省の責任は重大と考える。個々の省庁の責任は言うに及ばず、内閣を中心に政府の中枢および閣議としての責任が問われるものと考える。
 以上の観点から次のとおり、意見を述べる。

一、各省庁の水増し数の正式な数、障害別、性別、42年間の累計数など、精緻な数値を詳らかにすべきである。この問題の本質には、障害者を雇いたくないという差別的な本音が見え隠れしているわけだが、42年間、関係者が口を閉ざし明るみにされなかった理由についても検証し、明らかにされるべきである。

二、上記事項に加えで実質的で本格的な検証体制を確立する上では、政府自らの不正の検証を恣意的な人選でおこなうべきではない。障害種別等に配慮した障害当事者団体の代表を含む、透明度の高い検証体制が不可欠である。

三、行政自らに不正があれば指導力が鈍るのは必至である。民間企業の障害者雇用に悪影響が及ぶことがないよう直ちに襟をただして法定雇用率を達成し、再発防止に向けた厳正な措置を講じるべきである。

    2018年8月27日
                      全国「精神病」者集団