私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
日本精神科病院協会の雑誌(2018年5月号)巻頭言には、山崎學会長の名前で「精神科医にも拳銃を持たせてくれ」とする記述があり、非常に過激な表現が用いられていることに驚きを禁じ得ません。巻頭言は、インターネットを通じて多くの精神障害者にも知られていきました。そして、全国「精神病」者集団の会員からも「精神科医は内心拳銃を持たせてくれと思っているのだろうか」「通院が怖くなった」と多くの問い合わせがありました。治療機関の全国組織が精神障害者の体調悪化・治療中断をさせては本末転倒ではないかと感じ、全国「精神病」者集団として早急に対応を求めることにしました。
2018年6月8日付けで全国「精神病」者集団は、日本精神科病院協会との懇談の設定を求め、事務担当者からの示唆もあり円滑な懇談に向けての事前質問まで添えて申入れしました。しかし、日本精神科病院協会は、同年6月21日付けで事前質問に回答する書面のみを提出して、懇談はしないと応答してきました。そのときの事務長の対応は、とても横柄であり、真摯に対応してきた私たちに対して社会通念上の礼儀のない対応と感じました。
回答の内容も不適切であり、「精神科医にも拳銃を持たせてくれ」の含意は、「精神科医にも拳銃を持たせてくれという表現は、現在のアメリカの実情を踏まえた例えであり、何らかの対策を検討して欲しいという願いを言いたかったもの」との説明でした。しかし、そもそも医療技術を拳銃に喩えること自体が不適切です。これは、医療を露骨に治安・社会防衛に使おうとする山崎學会長の医の倫理にもとる考え方が反映されたゆえのものであり、繕いようのない文章であったことが明らかになったことにほかなりません。
全国「精神病」者集団は、日本精神科病院協会に削除と懇談の設定を拒否しないことを緊急要請し、本日22日、同協会のホームページ上から削除されたことを確認しました。このことは、日本精神科病院協会としても当該巻頭言が不用意かつ不適切であることを認めたことにほかなりません。今後は、増えすぎた身体拘束の削減を医療安全のみの文脈に懐柔しようとする考え方に反対し、また、そうした考え方には限界があることも認めるよう、改めて懇談の設定を要求していくことを、ここに宣言します。
2018年6月22日
全国「精神病」者集団