障害者差別解消法の立法府対応要領ヒアリングにおける意見
本日は、立法府対応要領についてヒアリングを実施してくださりまして、心より敬意を表しております。一昔前よりは、障害当事者の参画が進んだといわれておりますが、精神障害者の団体がこうした場に参加する機会は依然として非常に少ないのが現実です。そのためか、立法府対応要領は、不当な差別的取扱いの例及び合理的配慮の例が精神障害者についてほとんど考慮されていない内容となっています。
精神障害者は別紙補足資料のとおり、医学的にも「易疲労感」などの症状が認められており、疲れやすさや身体の不調があらわれやすいなどの特性があるといわれています。そのため、私たちは長時間の会議の場合には定期的な休憩時間を入れること、休息可能なスペースを用意すること、休息それ自体を妨げないことなどを合理的配慮の例として要求してきました。
現在、国会議事堂の傍聴においては、国会職員の指示に従う旨の規則があり、この規則が守られない場合は退出させることができるとしています。2015年9月の参議院安全保障関連特別委員会は、国民的な関心が高く傍聴に行く人も非常に多かったため、傍聴席が足りなくなり、議員の配慮で全員が傍聴できるように傍聴希望者同士でローテーションを組む措置が取られることもあり、現実的な配慮はあります。しかし、時にして、精神障害者は、先の見えない、長時間に及ぶ定時まで待つことで発生する、障害ゆえに起きる体調不良の状態を解消するには、横になって休む必要があります。現状、精神障害者のための休養の場所を確保するためのスペースが担保されていません。
実際、先述の2015年の9月の折には、傍聴の待ち時間が定まらず、傍聴を希望する精神障害者は、結果として国会議事堂内のベンチで3時間近く待つことになりました。体調を崩し始めたため、当該ベンチで横になって休息していたところ、精神障害者で休息が必要なことを述べたにも関わらず、国会職員に起き上がるように指示され、それに従わない場合は、退出させるといわれました。結果として当該精神障害者は、体調を大幅に崩し、傍聴に専念することさえままならなくなりました。
こうした横になることさえ咎める行為は、合理的配慮の欠如に該当すると考えられます。にもかかわらず、それが対応要領の中で示されないようであれば、再び同様の問題を引き起こし、ひいては、合理的配慮の欠如であるにもかかわらず退出を命じられる事態が生じかねません。これらは明記しなければ障害に基づく差別であることさえ認識されず正当化されていきます。
そのため、私たちは精神障害者に対する合理的配慮の例として次の事項の追加・修正を要望します。
1.疲れやすい特性のある障害者が休息できる時間や場所を確保すること
2.休息している障害者に対して妨げる行為は合理的配慮の欠如に該当すること
3.服薬や糖質調整のための飲食を厳禁する行為は合理的配慮の欠如に該当すること
2016年2月5日
全国「精神病」者集団