成年後見制度の医療同意への業務拡大について慎重審議を求めます
現在、内閣府の成年後見制度利用促進会議・成年後見制度利用促進委員会では、成年後見人等による医療同意の業務拡大についての検討が進められています。現行法において成年後見人等の決定は、本人の決定と法的に同じ効力を有することになります。よって、成年後見人等の活動は、何か問題が起きた場合に本人からの訴えを退ける要素を多分にもっており、ブラックボックス化しやすいといった問題があります。成年後見人等による財産の使い込み事件が多発した背景には、こうした法律の構造に起因する部分が大きいです。この問題は、今以上に監視機能を追加したところで解消されるものではありません。医療は、患者の生命を左右するものであり、ときに取り返しのつかない状況を帰結します。そのため、成年後見制度の改正による医療同意の業務拡大には慎重を要するものと考えます。よって拙速な結論は避けられなければなりません。
2016年12月15日