私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者個人・団体の全国組織です。精神科に通院・入院した経験のある人だけで構成し運営しています。
去る11月19日、『読売新聞』において茨城県教育委員の長谷川智恵子氏(71)が「妊娠初期に(障害の有無が)もっとわかるようにできないでしょうか。4か月以降になるとおろせないですから」などと発言したことが報道されました。
長谷川氏の発言は、障害のある人の存在を誰かにとって負担であると位置づけ、障害のある人が生まれてこない方が良いとする差別的なものです。もし、親をはじめとする誰かに負担が集中しているという事実があるならば、社会が障害のある人をサポートすることで親が負担を負おうとしなくてもよい社会がつくれるはずです。
しかし、長谷川氏の発言は、原因を社会に求めようとせず、個人に求めようとしています。障害のある個人が生きていることが負担の原因と見なしているのです。誰かに対して生まれてこない方が良いなどというべきではありません。なにより、具体的に誰かが生まれてこないための方策を口走るなどあってはならないことです。
私たち精神障害者は、長谷川氏のような考え方により生存を否定されてきた立場です。その立場から長谷川氏の発言は、私たち自身に向けられたものと考え、強く抗議するとともに、長谷川氏のような考え方を断固として糾弾します。