報酬改定に関する意見書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 御中
報酬改定に関する意見書

1.精神障害当事者の団体の意見を聞くこと
 障害者権利条約前文(o)には、「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し」とあります。
しかし、障害福祉サービス等報酬改定検討チームには精神障害者の団体の代表者が委員会のメンバーに入っておりません。これは、日本政府が障害者権利条約に背く態度を示したものであり、直ちに改善されなければならないものと考えます。つきましては、次回からは、委員に精神障害者の団体の代表者を入れることを約束してください。
 また、委員参画の必要性とは別に、最低でも精神障害者の団体に対するヒアリングが行なわれていなければならないと考えます。こうした精神障害者を無視した政策決定プロセスの在り方は、障害者権利条約批准後の政府の態度としてあまりにも問題があり、直ちに改善されなければなりません。つきましては、委員としての参画が難しいような場合でも、必ず、精神障害者の団体に対するヒアリングを行なうことを約束してください。

2.身体介護・家事援助の単価
 家事援助の単価は、例えば、家事日中2.0・介助者1人(コード:6123)の場合、344単価と極めて安価です。このような家事援助の単価の安さは、事業所のモチベーションを下げサービスの量と質を下げるものに他なりません。とくに、行動障害の伴わない重度の精神障害者が居宅で利用できる貴重なサービスが家事援助です。少なくとも、身体介護の8割強程度である570単価(身体日中2.0・介助者1人(コード:1123)670単位の8割)までは引き上げてください。

3.地域移行・地域定着の単価
地域相談支援(地域移行支援)は、地域移行支援サービス費:2313単位、特別地域加算、集中支援加算:500単位、退院・退所月加算:2700単位、障害福祉サービス事業の体験利用支援加算:300単位、体験宿泊加算(Ⅰ):300単位、体験宿泊加算(Ⅱ):700単位、地域相談支援(地域定着支援)は、体制確保費:301単位、緊急時支援:703単位、特別地域加算とあります。地域相談支援は、本気で取り組むとなると非常に労力を要し、片手間でできるようなものではありません。少なくとも、専従をおいて実施しなければ、長期入院患者の退院・地域移行を支援するという意味での地域相談支援はできません。現在の単価では、あまりに安価であり、指定一般相談支援事業所のみの指定を受けて事業を展開することができません。地域相談支援は、長期入院患者の退院を実現するための実質的な事業であり、その役割は非常に大きいと言えます。少なくとも、地域移行支援サービス費の単価を4500単位まで大幅に引き上げ、ピアサポーターによる病棟訪問に際しては新たに特別な加算を設けるなどして、精神障害者の登用が促進されるような報酬単価に改訂してください。

2014年9月8日