日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児 様
冠 省
私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成した全国の「精神病」者団体・個人の連合体です。私どもは、1974年から刑法改悪=保安処分新設を、閉じ込められる側の「精神病」者の立場から反対してまいりました。2001年以降は、いわゆる触法精神障害者に特化した法律に、心神喪失者等医療観察法に反対してまいりました。法施行後も廃止を求めて活動を継続しています。
さて、3月18日・19日の日本弁護士連合会理事会で決議された、「精神医療の改善と医療観察法の見直しに関する意見書」を読みました。理事会及び意見書は、日弁連の会長選挙・会長就任を目前に控えて、急遽、進められたものと聞いております。また、理事会でも反対派の声が多数上がっていたにも関わらず、議論よりも結論を急いだ決議であったと、漏れ聞いております。
意見書は、明らかに医療観察法の改正を旨とするものでした。これは、医療観察法のひとまずの存続を肯定するものであり、医療観察法反対というこれまでの日弁連の姿勢を大きく覆したものです。
われわれは、弁護士がときとして国家権力や資本を相手取って戦うことや日弁連が国家から独立した弁護士組織であることから、国益や私益のために弱者を切り捨てるようなことをしないものと信じていました。
医療観察法は、日弁連も認めてきたとおり、われわれ「精神病」者に対する国家からの保安処分攻撃の一形態です。非科学的な再犯可能性を根拠に、他の者と異なる手続きによって精神障害者を不定期予防拘禁し、あるいは地域で監視管理するといった、強制医療を命ずるのです。そして、「精神病」者はその犠牲となります。そのため、日弁連から医療観察法の存続を肯定するような意見書が出されたことに、大変、憤慨しております。
われわれは、日弁連が出した「精神医療の改善と医療観察法の見直しに関する意見書」を、断じて許すことはできません。よって、ここに、強く抗議するとともに、以下の箇条書きを要請します。
1.精神医療の改善と医療観察法の見直しに関する意見書の白紙撤回
2.障害者施策に係る議題については、わたしたち障害者団体との公開討論を経て、決議できるような新たな仕組みを導入すること。
以 上