医療基本法の制定に関する要望書

医療基本法の制定にむけた議員連盟
会  長  尾辻 秀久 様
事務局長  羽生田 俊 様

 厳寒の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。このたびは、医療基本法の制定に尽力をくださり、こころより敬意を表しております。
 さて、精神障害者は、精神保健福祉法の下で一般医療とは異なる特別な医療の枠組みに置かれています。そして、治療拒否の意思表示をしても検査によることなく医師の判断だけで非自発的入院や身体拘束をされています。こうした現状を基本的人権としての患者の権利の基礎として見直していく上でも医療基本法の制定は必要不可欠です。
 つきましては、医療基本法の制定にあたって下記のとおり要望します。

1.一般的な原則として医療における同意の原則、非同意の医療における適正化原則及び最小化原則を設けてください。

2.精神医療を一般医療と同じ枠組みに編入し、従来の特別な枠組みを解消していくための精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の見直しを条文で担保してください。
以 上 

母体保護法下の不妊手術・中絶被害について当事者と一緒に考える院内集会

日 時: 2020年1月30日(木) 11:30~13:00 (11:00からロビーで入館証を配ります)
場 所: 参議院議員会館B104会議室
資料代: 無料・事前申込み不要
主 催: 母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と共にたたかう会
後援(予定含む):優生手術に対する謝罪を求める会 優生保護法被害弁護団 日本障害フォーラム 立命館大学生存学研究所 障害学会 精神障害者権利主張センター絆 認定NPO法人DPI日本会議 DPI女性障害者ネットワーク 全国「精神病」者集団  
問い合わせ先(担当:長谷川唯)
電話:090-5253-7902

チラシ

 母体保護法のもとでも、精神障害者などに対する強制不妊手術が行われている事実が、被害者本人からの声によって明らかになりました。
現在もなお行われている強制的不妊手術や中絶などの障害者への差別に対して無関心であり続けることは、被害者の苦しみをさらに抉り出し、被害者を救済される者とそうでない者とに分離するだけでなく、より一層被害者を生きにくくさせていきます。
 こうした状況では、強制的不妊手術や中絶などの障害者への差別の実態が明らかにされないまま、形式的な「救済」で終わってしまう恐れがあります。
 旧優生保護法によって蔓延した優生思想は、障害を理由とした強制不妊手術や強制手術を認める条項を削除しただけでは取り除けるはずもありません。
 今もなお差別が漫然と行われている現実に目を向けて、私たちは何をするべきか、何ができるのかを、被害を受けた当事者と一緒に考えるための院内集会を開催します。
 当日は、被害者の声を伝えるとともに、この問題を社会に知らせていくために「母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と共にたたかう会(通称:ダーク不妊手術ともたた会)」の立ち上げと、活動についても報告を行います・
 ぜひ議員のみなさまのご意見もいただきたいと思います。

プログラム
1 活動報告
2 被害者から伝えたいこと
3 賛同団体からのアピール

多くのみなさまのご参加をお待ちしております。

【声明】津久井やまゆり園事件の公判開始にあたって

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2020年1月より、私たち障害者を標的とし、戦後最大の死者を出した殺人事件・津久井やまゆり園事件の公判がはじまります。公判前からすでに、被告人に対して措置入院を解除したことの影響、地方公共団体による情報共有がなかったために被告人に対する支援が途切れたことの影響、大麻の使用について医療機関が警察に情報提供しなかったことの影響に関心が向けられています。これらの論点は、本来は犯罪行為とまったく関係がありません。これらの論点は、津久井やまゆり園事件の再発防止を措置入院に結びつけるためだけのものであり、ヘイトクライムという本質から目を背けさせている点できわめて問題があります。また、これらの論点は、医療等の支援があれば事件の発生を防ぎ得るという根拠不在の誤った前提に立ったものであり、かつ、支援に警察を入れて監視を強めようとするものにほかなりません。このような事実の係争は、刑事裁判で行うべきではありません。
 また、このような論点が迫り出してきたことと精神保健福祉法改正法案は、決して無関係のこととは思えません。第196回通常国会において精神保健福祉法改正法案の再提出が見送られ、当時の厚生労働大臣によってガイドラインの運用状況をみて出し直されることが宣言されました。2018年度は研修実施などの準備期間に当てられ、2019年度はいくつかの自治体で運用が開始されました。そして、2020年度には、ガイドラインの実施状況のモニタリングが予定されています。ちょうど、モニタリングの時期と公判判決が出される時期が同時期であり、その後に精神保健福祉法改正法案が出し直されることになると思われます。津久井やまゆり園事件の判決が精神保健福祉法改正法案の中身に影響しまいかと深刻に憂慮しています。津久井やまゆり園事件の判決と精神保健福祉法改正法案を結び付けることはあってはなりません。
2019年1月5日

【声明】死刑執行に対する抗議声明

わたしたち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
2019年12月26日、死刑囚(福岡一家4人殺害事件)に対して死刑が執行されました。死刑は、人の命を奪う刑罰であり、卑しくも国家による重大かつ深刻な人権侵害です。全国「精神病」者集団は、このたびの死刑執行に対して強く抗議します。
2019年12月26日

元農水事務次官長男殺害事件の報道に関する緊急要望書

 日頃、貴社におかれましては迅速で正確な報道のためご尽力されていることを心より敬意を表します。私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
さて、2019年12月12日、元農水事務次官長男殺害事件初公判において被告人は起訴事実を認め、12月16日の判決では懲役6年の実刑が言い渡されました。現在、被告人側は判決には事実誤認があるとして控訴しています。
この事件について、一部報道では、「長男には精神障害がある」「家族はたいへんなのでやむを得ないのではないか」などと精神障害者に限っては迷惑だから殺されてもしかたないかのようなものがありました。
これらは精神障害者の命を軽んじ、偏見・予断を助長させるため、たいへん深刻に憂慮しています。
すでに家族への同情と引き換えに精神障害者が殺されることを軽く見る偏見に基づいた声が散見されます。このように報道は、一般国民に対して多大なる影響力をもっています。貴職については、自らの影響力を考慮し、精神障害者を排除するような社会的偏見がひろがらないよう、報道機関には地域で生活している精神障害者の立場や気持ちも含めて、配慮のある報道を望みます。
以 上 

措置入院の運用に関する意見書

2019年12月15日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、厚生労働省では、措置入院の運用についての検討がおこなわれています。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり要望を申し上げます。

1.医療と司法の連携について
措置入院をめぐって医療と司法が連携しなければならないことはありません。
例えば、措置入院が不要な人に対して警察が措置入院にさせようと精神保健指定医に介入する問題については、警察庁から各都道府県警察・警察署宛に精神保健指定医の判断を尊重し、異を唱えなることのないように通知を出せば解決できます。よって医療と司法の連携によって解決すべき事案ではありません。
また、措置入院の診察にあたって精神保健指定医に短時間で判断が求められるなか、警察からの情報提供がないといった課題については、2016年に板橋警察署からの情報提供に事実と異なる内容が書かれていたため、事実と異なる背景事情に基づき措置入院の判断がなされたという問題が起きており、よいことばかりではないことがわかります。これは、措置入院の制度自体に無理があるからにほかなりません。本来は、措置入院の制度自体の破綻を認めた上で、真に必要とされる医療制度へと抜本的に改めるべきなのです。よって医療と司法の連携によって解決すべき事案ではありません。

2.援助関係者としての警察参加について
事例集の28番事例には問題があります。この事例は、地域で生活する精神障害者が警察官くらいしか身寄りがなく、事例中に保健所機能のことが書かれていないため、結局警察官を援助関係者にするしかないような内容になっています。このように援助関係者として警察官を入れることに合意を誘導していくような協議のあり方には問題があります。警察官とどのような関係であろうとも、警察の本務を拡大して適用するような論調には賛成できませんし、わたしたち精神障害者にとっては、警察が地域生活に入ってくることに大きな不安を感じています。当該事例については、各地方公共団体に設置された協議の場において実際に使われないように工夫と配慮をお願いします。

3.協議の場の成員の個人情報について
協議の場には、障害者団体からの参加が想定されており、精神障害者が構成員として入ることが考えられます。他方で協議の場には、警察の参加も想定されています。協議の場では、個人情報を扱わないことになりましたが、協議の場を通じて警察が得た構成員の個人情報の取り扱いについては、とくにルールが定められていませんでした。すなわち、協議の場の構成員の名前と精神障害がある事実にかかわる記録が警察組織内でどのように保存、処理されるのかがわからないのです。私たちは、職務質問により精神障害の事実が明らかにされた者が運転免許の臨時適性検査の対象とされ免許停止とされた事案の相談をうけています。警察内における情報の使われ方には、強い警戒心があります。協議の場には、警察内に病歴・入院歴の記録が残らないような仕組みが必要であり、その仕組みによって担保されないのならば協議の場への警察参加はするべきではありません。

4.公判について
来年、津久井やまゆり園事件の公判がはじまります。公判前からすでに、被告人に対して措置入院を解除したことの影響、地方公共団体による情報共有がなかったために被告人に対する支援が途切れたことの影響、大麻の使用について医療機関が警察に情報提供しなかったことの影響に関心が向けられています。これらの論点は、津久井やまゆり園事件の再発防止を措置入院に結びつけるためだけのものであり、ヘイトクライムという本質から目を背けさせている点で問題があります。また、これらの論点は、医療等の支援があれば事件の発生を防ぎ得るという根拠不在の誤った前提に立ったものであり、かつ、支援に警察を入れて監視を強めようとするものにほかなりません。
このような論点が迫り出してきたことは、精神保健福祉法改正法案と無関係とは思えません。第196回通常国会において精神保健福祉法改正法案の再提出が見送られ、当時の厚生労働大臣によってガイドラインの運用状況をみて出し直されることが宣言されました。2018年度は研修実施などの準備期間に当てられ、2019年度はいくつかの自治体で運用が開始されました。そして、2020年度には、ガイドラインの実施状況のモニタリングが予定されています。ちょうど、モニタリングの時期と公判判決が出される時期が同時期であり、その後に精神保健福祉法改正法案が出し直されることになると思われます。津久井やまゆり園事件の判決が精神保健福祉法改正法案の中身に影響しまいかと深刻に憂慮しています。津久井やまゆり園事件の判決と精神保健福祉法改正法案を結び付けることはあってはなりません。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
内閣府障害者制度改革担当室長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

2.障害者の権利に関する条約第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じるようにしてください。

3.精神障害の当事者参画の推進
貴庁におかれましては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者団体の推薦を得た精神障害当事者の障害者政策委員会への参画を推進してください。その際には、ピアサポーターの職能団体の代表者だけではなく、地域患者会や病棟患者自治会、自立生活センタースタッフなど幅広い層の精神障害者を構成員とした全国組織から推薦を得た精神障害当事者の参画をすすめてください。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
法務省民事局参事官室 御中

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、わが国の成年後見制度は、精神上の障害により事理を弁識する能力になんらかの問題がある者に対して行為能力を制限するための審判を規定したものです。民法明文上にも「精神上の障害」とあるように成年被後見人等の大部分が精神障害者ということになります。そのため、成年後見制度は、精神障害者の生活にかかわる制度です。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.精神障害の当事者参画の推進
貴省におかれましては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者に係る法制度の見直し等(例えば、成年後見制度の見直し)をおこなう場合に障害者団体の推薦を得た精神障害当事者の合議体及び審議会への参画、その他、ヒアリング等を推進してください。

2.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

3.障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じてください。
以 上 

要望書(成年後見制度)

2019年11月22日
最高裁判所事務総局家庭局第二課長 殿

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、わが国の成年後見制度は、精神上の障害により事理を弁識する能力になんらかの問題がある者に対して行為能力を制限するための審判を規定したものです。民法明文上にも「精神上の障害」とあるように成年被後見人等の大部分が精神障害者ということになります。そのため、成年後見制度は、精神障害者の生活にかかわる制度です。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、次のとおりご要望を申し上げます。

1.精神障害の当事者参画の推進
障害者に係る法制度・規則・書式等の見直し等(例えば、成年後見制度の見直し)にあたっては、障害者の権利に関する条約第4条第3項及び同条約第33条の趣旨に基づき障害者団体の推薦を得た精神障害当事者からのヒアリング実施等を推進してください。

2.成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議の実施
 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律附帯決議つきましては、関係省庁と調整しながら積極的に趣旨に沿った政策を進めてください。

3.障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告
障害者の権利に関する条約第39条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法制度の見直しを含む必要な措置を講じてください。
以 上

精神科専門医研修制度に関する要望書

2019年11月21日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様

日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
さて、厚生労働省では、現在精神科専門医と研修についての検討がおこなわれています。
これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおり要望を申し上げます。

精神科医のクライアントとのかかわりは、決して診察室だけに閉ざされるべきものではありません。医療者団体の成員として団体に携わりながら当事者運動・当事者団体とのパートナーシップをどのように築くかについて障害学を基礎にして考える仕組みが必要です。
また、そうしたカリキュラムの作成過程は、精神障害当事者の参画が不可欠であり、精神障害当事者講師の参画が望ましいと考えます。精神科専門医制度の検討にあたっては、こうした精神障害当事者の声を踏まえられるようお願い申し上げます。
以 上