死刑判決抗議声明

 2010年11月16日、横浜地方裁判所で池田容之被告(横浜港男性2人殺害遺体遺棄事件)の裁判員裁判の判決公判が開かれ、朝山芳史裁判長は「残虐、非人間的行為で酌量の余地はない」として、検察の求刑通り死刑を言い渡しました。死刑判決は、2009年8月から始まった裁判員裁判で初めてのことです。
 朝山裁判長は、死刑の主文を言い渡した後「判決は重大な結論となった。裁判所としては被告に控訴することを勧めたい」と、池田被告に呼びかけをしています。これは、裁判員が、控訴があることをよりどころに、死刑の判断を言いやすくするためのパフォーマンスであったように思えます。また、今回の判決は、裁判員制度に則り、二審以降も一審を尊重して判決を出さなければならないため、たとえ控訴をしたとしても、実質的な確定審のように取り扱われることになります。
 死刑は、国家による殺人です。ましてや、一般人に対して国家による殺人に関与させることは、いわば国家による殺人への加担強制であり、現代の徴兵制、国家による殺人命令にほかなりません。
 我々は、今回の死刑判決に対し、つよく抗議します。

2010年11月18日
全国「精神病」者集団

参議院議員の先生への再度のお願い (障害者自立支援法改正案関連)

 2010年11月18日に衆議院本会で可決した障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの問において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(いわゆる自立支援法改正案)ですが、

一 障害者自立支援法を廃止する年月日の規定がないこと、当初、厚生労働省が提案した改正案と酷似していることをはじめ、法の構造が自立支援法の延命に直接、繋がりうること
二 精神保健福祉法の一部改正(精神科救急の導入)が、精神障害者を隔離収容する施策を補強しうること、
三 あえて、延命に繋がりかねない法案を通すよりも、本法案の内容であれば、政省令の改正および通達だけでも政策を実現できること、から、廃案にしていただきたく、お願い申し上げます

2010年11月30日
全国「精神病」者集団

行動計画(2009年―2016年)

1 障害者権利条約の完全履行とはなにか?
1 強制入院強制医療など一切の強制の廃絶
全国「精神病者」集団は結成以来、強制の廃絶を主張してきた。私たちは障
害者権利条約においても、以下の立場をとる。
障害者権利条約は強制の廃絶を求めており、同時に地域で自らの自己決
定、そしてそれへの支援を受けながら、当たり前の生活を送り、同時に求め
る医療やサービスを保障されなければならない。
すべてのものは障害のあるなしにかかわらず、「イエス、ノー」を尊重され、
強制的医療や強制入院を否定される
根拠条文(以下は長瀬・川島訳からの引用)
第 3 条 一般原則
(a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び人の自立に
対する尊重
(b) 非差別〔無差別〕
(c) 社会への完全かつ効果的な参加及びインクルージョン
(d) 差異の尊重、並びに人間の多様性の一環及び人類の一員としての障
害のある人の受容
第 5 条 平等及び非差別〔無差別〕
第 12 条 法律の前における平等な承認
2 締約国は、障害のある人が生活のあらゆる側面において他の者との平
等を基礎として法的能力を享有することを認める。
第 14 条 身体の自由及び安全
1 締約国は、次のことを確保する。
関口委員提出資料
(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、身体の自由及び安全
についての権利を享有すること。
(b) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、自由を不法に又は恣
意的に奪われないこと、いかなる自由の剥奪も法律に従い行われること、
及びいかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在により正当化されな
いこと。
国連高等弁務官事務所の解釈
「障害者権利条約は、障害の存在に基づく自由の剥奪は国際人権法に反し
ており、本質的に差別であり、そしてそれゆえに不法であることを明確に宣
言する。障害に加えて追加の根拠が自由の剥脱の正当化に使われる場合
に対しても、こうした違法性は拡大して認められる。追加の根拠とは例えば
ケアや治療の必要性あるいはその人や地域社会の安全といったものであ
る。」
(国連人権高等弁務官事務所 08 年10 月「被拘禁者のための尊厳と正義の
週間、情報ノートNo.4 障害者」
第 15 条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若し
くは刑罰からの自由
08年12月国連拷問等禁止条約特別報告間中間報告参照長野英子のサ
イト
第 17 条 個人のインテグリティ〔不可侵性〕の保護
障害のあるすべての人は、他の者との平等を基礎として、その身体的及び
精神的なインテグリティ〔不可侵性〕を尊重される権利を有する
第 19 条 自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン
(a) 障害のある人が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と
生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活す
るよう義務づけられないこと。
第25 条 健康
(d) 保健の専門家に対し、他の者と同一の質の医療〔ケア〕(特に、十分な
説明に基づく自由な同意に基づいたもの)を障害のある人に提供するよう要
請すること。このため、締約国は、特に、障害のある人の人権、尊厳、自律
及び必要〔ニーズ〕に対する意識が高められるように、公的及び私的な保健
部門のために訓練活動を先導し及び倫理規則を普及する。
第 26 条 ハビリテーション及びリハビリテーション
(b) 地域社会及び社会のあらゆる側面への障害のある人の参加及びイン
クルージョンを容易にするものであること、障害のある人により任意〔自由〕
に受け入れられるものであること、並びに障害のある人により自己の属する
地域社会(農村を含む。)に可能な限り近くで利用されることができること。
2 障害者および障害者団体の履行および監視に関しての完全参加
障害者権利条約の履行および障害者施策に関しては障害者および障害者
団体の完全な参加が求められている
前文
(o) 障害のある人が、政策及び計画(障害のある人に直接関連のある政策
及び計画を含む。)に係る意思決定過程に積極的に関与する機会を有すべ
きであることを考慮し、
第 33 条 国内的な実施及び監視〔モニタリング〕
1 締約国は、その制度に従い、この条約の実施に関連する事項を取り扱う
1又は2以上の担当部局〔フォーカルポイント〕を政府内に指定する。締約国
は、また、異なる部門及び段階におけるこの条約の実施に関連する活動を
容易にするため、政府内に調整のための仕組みを設置し又は指定すること
に十分な考慮を払う。
2 締約国は、その法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促
進し、保護し及び監視〔モニター〕するための枠組み(適切な場合には、1 又
は2 以上の独立した仕組みを含む。)を自国内で維持し、強化し、指定し又
は設置する。締約国は、当該仕組みを指定し又は設置する場合には、人権
の保護及び促進のための国内機関の地位及び機能に関する原則を考慮に
入れる。
3 市民社会、特に、障害のある人及び障害のある人を代表する団体は、監
視〔モニタリング〕の過程に完全に関与し、かつ、参加する。

2 我々が求める緊急課題
1 障害者の人権と尊厳の確立に向けて
パリ原則に基づく国内人権機関の新設と、条約33条に基づく監視機関の
新設
福祉や障害施策の対象ではなく、権利主体としての障害者の位置づけを明
確にし、人権問題として障害問題を位置づけること
2 強制の廃絶に向けて求められているもの
1心神喪失者等医療観察法の即時廃止
2刑事司法制度の人権水準一般の向上と障害者への合理的配慮の貫徹
「触法・虞犯障害者」概念を全否定すること
刑事司法と本人のための精神科医療は区別すること
3精神保健福祉法の廃止
①即座に廃止できないとすれば最低限以下
1 医療保護入院制度の保護者制度の即時撤廃
2 入院への同意に求める以下の義務について、単に「同意しないと強制す
るぞ」という恫喝で同意を取るのではなく、丁寧な入院の必要性についての
説明と同意について、治療導入の技術も含め強化していくこと。最初の治療
導入の過程こそがその後の治癒への流れおよび医療的信頼関係構築に必
須である
第22 条の3 精神病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合において
は、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
3 精神医療審査会に対して、任意入院への変更を求めた場合は自動的に
任意入院とすること
4 拷問等禁止条約の国内履行として、刑務所、入管収容施設同様の外部
視察委員会を精神科病院にも適用し、委員会しかあけられない投書箱を各
病棟に設置すること
5 身体拘束は直ちに禁止し、隔離については必ずスタッフを一人つけるこ
とを法定化すること
6 強制入院の削減計画および精神科病院開放化に向けて年次計画を立
てること
7 患者の権利法制を新設し患者のアドボケイト制度を保障すること
8 精神保健福祉法下での患者から要求があれば、すべて公費で弁護士を
つけること
②強制か放置かという恫喝に屈することなく、私たちの求める精神医療体
制を構築していくこと
1 精神科病院病床削減、単科精神科病院の廃止と総合病院への精神科
病床の設置
2 精神科病院の偏在を廃し、気軽に駆け込める有床診療所、往診体制の
整備
3 安心して駆け込める24時間365日の休めるショートステイ(例即座にで
きる体制としてはビジネスホテルの借り上げなど)、飛んできてくれる支援者
の確保のための待機システムの制度的保障
4 すべての医療やサービスを拒否している人に対してこちらから出かけて
信頼関係を作っていく、行政や精神保健福祉体制から独立したパーソナル
オンブート体制を作ること(スエーデンスコーネ市の実践長野英子のサイト
へリンク)
3 地域生活の確立に向けて(強制の廃絶と表裏一体である)
① 精神障害者に必要な支援介助を求める
必要なときにいつでも支援が受けられる、待機型ヘルパーステーションの制

ヘルパー制度は目的その他を問わない時間枠のみの決定とし、何の目的
でもたとえば、ただじっとそばについているという介助支援にも使えるように
すること、これは現実には使えない移動介助や通院等介助の問題を解決す
ることになる
② 自己決定支援のためのアドボケイト制度を障害者福祉制度の中にも位
置づけること(患者の権利法制や拷問等禁止条約の国内法制などなど何重
ものアドボケイト制度が必要)
③ 所得保障制度の確立
障害年金は住宅費までカバーする、自立できる金額に上げること
精神障害の認定そのものを徹底的に見直し、現行年金診断書ではこぼれ
てしまう障害も認定できる形を目指すこと
無年金者についても障害基礎年金に当たる金額を保障すること
*各都道府県での闘いとして
他障害との格差、手当てや障害者医療証、タクシー券などからの精神障害
者の排除について見直させていく
⑤ 住宅保障の問題
各自治体あるいは国が、賃貸住宅を借り上げ、それを高齢者障害者等住宅
確保の困難なものに貸す制度を確立拡大していくこと
4 相対的欠格条項も含め法的欠格条項の廃止

3 われわれの行動方針
1 心神喪失者等医療観察法の廃止に向けあらゆる団体と連帯して闘う
2 人権市民会議など人権NGOとともに、日本の人権水準総体の向上、国
内人権機関創設に向け取り組む
3 日本障害フォーラム、障害者政策研究集会実行委員会などとともに、障
害者権利条約の完全履行に向け、「私たちのことを私たち抜きに決めるな」
を貫き、われわれ自身が障害者施策を提案して実行を政府に迫っていく
とりわけ周辺化されている精神障害者への介助支援の問題を私たち自身
が他障害の団体に訴えていく これは長期入院者の地域移行に向けて必
須事項である
4 精神保健福祉医療については、徹底して特別法施策を廃絶する方向で、
私たち自身がテーブルを作り、利害関係者を呼んで、真の改革ビジョンを提
案していく
5 「脳死」を人の死とする脳死・臓器移植法廃止に向けてあらゆる団体と連
帯して闘う
6 究極の人権侵害である死刑廃止に向けあらゆる団体と連帯して闘う