【声明】成年後見制度利用促進法案に反対する声明

 2015年7月、与党は「成年後見制度利用促進法案」をまとめた。早めれば8月に国会に上程される見込みです。
 このたびの「成年後見制度利用促進法案」では、①利用者を増やす基本計画の策定を国や自治体に義務付ける、②後見人による財産の不正流用を防ぐための監督強化、③被後見人の権利制限の見直し(主に欠格条項の見直し)、④手術や延命治療などの医療を受ける際の同意権及び現在含まれない後見人の事務範囲の拡大・見直し、⑤後見人が利用者宛ての郵便物を自らのもとに送り、必要な書類を閲覧できるようにする、などが盛り込まれました。
 しかし、当該法案は、成年後見制度の対象のひとつとされている精神障害者に対して一切ヒアリング等を実施せずに上程されようとしているものです。また、当該法案自体が、以下の重要な問題を含んでいるため、当会としては強く反対します。

1.成年後見制度自体の問題
 2014年に日本でも批准された障害者権利条約第12条では、法の前の平等(1項)、法的能力の平等(2項)が規定されました。一般的に法的能力の範囲には、行為能力が含まれるものと考えられています。そのため、被後見人の行為能力を制限する成年後見制度のような現行の制度は、障害者権利条約に違反すると指摘する声が強くなってきました。
 また、全国「精神病」者集団は、成年後見制度を障害者権利条約の策定の段階から障害を理由とした他の者との不平等の問題と位置付けており、国連の水準を見習い廃止するべきであると考えています。仮に廃止が難しいとしても成年後見、保佐の類型が残るようなことはあってはならないし、補助の適用も最終手段であることについて挙証を求めるなど厳格な運用が必要と考えます。

2.医療同意について
 成年後見制度利用促進法案では、医療同意の拡大を示しています。医療同意は、民法上の医療提供契約の締結と異なり、患者が侵襲行為に対して同意を取り付けるという医療行為の正当化要件にかかわる重要な手続きです。法律行為である医療提供契約と同様の手続において成年後見制度の対象にしてはいけません。こうした範囲拡大は、障害者の生命にかかわる諸判断を代理人に代行させるものであり、障害者の生命を危機に追いやる極めて問題のある政策といえます。被後見人等であっても医療同意に関してはあくまで本人がすること、仮に医療同意が取れないとした場合は緊急避難三要件の適用を見てもっとも医道に適った選択をすることが求められていると考えます。

3.代理決定枠組みから支援された意思決定枠組みへの転換
 今必要なことは、成年後見制度のような行為能力の制限を伴う制度を廃止し、その先で本当に必要な支援を確保していくことです。
以上のことから私たちは、成年後見制度利用促進法案に反対します。
   2015年8月15日

生活保護における住宅扶助及び冬季加算の切り下げの動きに抗議します

 2015年度予算において4月より、生活保護の住宅扶助及び冬季加算の切り下げがなされようとしています。
 住宅扶助については現在住んでいる賃貸住宅の更新期間が来ると扶助が切り下げられ、転居を強いられるおそれがあるとのことです。とりわけ精神障害者にとっては転居強制により、障害の重度化あるいは病状の悪化が想像されます。もちろん他障害や高齢者にとっても同様です。
 重大な人権侵害です。
 長期間の入院から退院のためのアパート探しも困難を極める恐れがあります。
 退院促進がますます困難になりかねません。国の失政により生み出された長期入院患者さんたちの人生被害をこれ以上放置することは許されません。
 障害者・病弱者そして高齢者にとって冬期加算は今ですら不十分であり、さらに切り下げられれば死者すら出しかねません。
 2015年度予算による生活保護受給者への住宅扶助および冬季加算の切り下げがなされないよう、強く要請します。
   2015年1月25日

障害者虐待防止法改正意見書

厚生労働省大臣 塩崎 恭久様
2015年1月8日

日頃の障害者の人権擁護へのご努力に敬意を表します。
さて「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下障害者虐待防止法とする)はその附則において以下定めています。

(検討)
第二条
政府は、学校、保育所等、医療機関、官公署等における障害者に対する虐待の防止等の体制の在り方並びに障害者の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、障害者を訪問して相談等を行う体制の充実強化その他の障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の保護及び自立の支援、養護者に対する支援等のための制度について、この法律の施行後三年を目途として、児童虐待、高齢者虐待、配偶者からの暴力等の防止等に関する法制度全般の見直しの状況を踏まえ、この法律の施行状況等を勘案して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

現在障害者虐待防止法の通報義務の対象に学校・病院は含まれておりません。しかし病院とりわけ精神病院における虐待事例はほぼ毎年のように報道され、しかもそれは氷山の一角と推測されます(添付資料の表参照)。学校においてもつい最近も添付資料のような事例が報道されています。
したがって私どもはまず病院と学校を通報義務の対象とすること、そして収容施設居住施設、精神病院に関しては外部からの独立した監視機関を設置することを求めます。

すでに昨年今年と国連人権条約の 2 つの条約体は以下勧告しています。

2013 年 5 月 拷問等禁止条約委員会勧告 精神保健ケア
(h) 独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して
定期的訪問を行うことを確保すること

2014 年 7 月 人権委員会 日本政府への勧告
(c) 精神科の施設に対して、虐待を有効に調査し罰し、被害者またはその家族に
賠償を提供することを目的として、有効で独立した監視と報告体制を確保すること

要望事項
1 障害者虐待防止法の改正を2015年に行うこと
2 改正にあたっては学校と病院を通報義務の対象とすること
3 居住系施設および精神病院については外部からの独立した監視機関を創設す
ること

精神障害者をインクルージョンする地域社会変革へのアジア横断同盟(TCI-ASIA)

報道発表
障害者権利条約は、障害者のインクルージョンと完全で効果的な参加の規定を定めている。しかし、アジアの精神障害者、精神医療ユーザーサバイバーは差別と排外の人生を続けている。高所得の国々そして英連邦の国々、例えば韓国、中国、日本、インドそしてかつて植民地であった他の一連の国には、強制医療を行う何十という刑務所並みの精神科施設を伴った精神保健法制がある。そうした国々では精神障害者は犯罪化されている。一方でアジアの多くの国々で精神障害者のための地域での支援体制が欠乏しているという実態がある。施設における広範な人権侵害の世界的な体験があるにもかかわらずそれを否定して、こうした国々の中には精神保健法を起草したり採用したりする予定の国もいくつかある。アジア地域は、地理的にも、文化的にもそして言語においても多様であり、さらに複雑な社会体制の違いを伴った多様性もある。地域社会開発に各地の精神保健プログラムを統合することで、精神障害者のインクルージョン戦略を立てるときには、この多様なダイナミズムを考慮にいれなければならない。

2つの会議(2013年プネそして2014年バンコク)をへて、“精神障害者をインクルージョンする地域変革へのアジア横断同盟(TCI-Asia)” が結成された。TCI-Asiaは、アジア地域において精神障害者の完全なインクルージョンを確保するために取り組む、障害者団体、精神障害者、精神医療ユーザー・サバイバー個人の連盟である。私たちは障害種別を超えた運動、そしてこの地域のそして世界的な主要な支援者たちと協同して、アジアにおいて国内そして地域的な政策に影響をあたえるために取り組んでいく。

インクルージョンに向けた地域変革会議-Ⅰはプネで開かれ、この地域の6カ国から参加者を得たが、我々のインクルージョンへの主張のアジアにおける枠組みを作る必要性が焦点化した。私たちはアジアにおける障害者権利条約の実現に向けて、障害種別を超えた運動と建設的な連携し、また多様な地域のそして国際的な取り組み、例えば国連のメカニズム、WHO、そしてその他様々な支援機構の政策枠組みといったところと継続的な対話を積み重ねていくインクルーシブな戦略が必要である。もう一つのプネの会議の焦点は、障害者権利条約の精神の実現という意味で、条約19条(自立生活と地域社会へのインクルージョン)の強調であった。とりわけアジア地域においては、社会的文化的な構造が未だ強く活用できる。またアジア地域では社会的関係すべてが契約に基づくというわけではなくて、近隣社会地域社会という概念が存在する。この会議では、アジア地域におけるインクルージョンに向けた地域社会に根ざした取り組みの研修のための訪問や体験共有(当事者の権利主張によるものとソーシャルワーカーによるもの両方)から多く学ぶことができた。

地域社会の変革会議Ⅱ はこうした学習をさらに深め、障害者(精神障害者)のインクルージョンの過程における基準という側面、社会的側面そして他の様々な側面について、バンコクで4日間集中的に取り組んだ。精神保健法体制がある国々(韓国、日本、中国、インド)とない国々(ネパール、フィリピン、スリランカ、バングラディシュ、インドネシア、タイ)の間のインクルージョンの多様な側面の紛れようもない違いというのが明らかになった。この会議ではアジア地域における条約19条の履行と開発過程におけるインクルージョンの重要性が再確認された。

現状におけるTCI-Asiaの優先事項は以下である。
◾戦略、意見表明を通し、精神科施設が存在する国々では脱施設化の推進を主張する。
◾オルタナティブを強調しつつ、精神保健的問題を抱えている人精神障害者への地域社会に根ざしたプログラムの開発に向け国の政策に影響を与える。
◾国内そして地域レベルで、様々なレベルで障害の権利主張をインクルージョンすることを確保するために、障害種別を超えた運動や人権運動と緊密に連携して取り組む。
◾アジアにおける私たちの任務と実践をとおして、各国政府が地域社会開発の活気に満ちた取り組みを通じ条約19条の履行を確保するよう働きかけ促進する。
◾地域における有効な権利主張活動のためによりよい組織化をする。

2014年12月27日

原文はこちらです。
Announcing the TransAsian Alliance on Transforming Communities for Inclusion of Persons with Psychosocial Disabilities

障害者政策委員会に知的障害者、精神障害者がいないことに対する抗議文

内閣総理大臣 安倍 晋三様
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)武川 光夫様
2014年11月26日

 私たちは、Nothing about us without us 「私たち抜きに私たちのことを決めないで」を見事なまでに踏みにじっての暴挙に抗議する。
 障害者総合支援法の基で、知的障害者及び精神障害者にはその権利擁護のために後見制度を推し進めるという政策が行われている。そもそも権利擁護のために権利制限を使うと言うこと自体がおかしい。同時に特定秘密保護法では、特定秘密情報の取り扱い資格の要件に精神障害者であるか否かが法文に書き込まれ、あからさまな精神障害者差別が法定化された。
 この裏には、意図的な混同と刷り込みの意図がみえる。あくまでも財産保全の1つの方法である後見制度を被後見人があたかも意思無能力者、全てにおいて判断能力のない者として錯覚させるという混同と刷り込みの意図がある。元々、禁治産者という名だった仕組みが、あたかも全ての意思能力が無いものであるかのように誤解されるのを止めようという努力はみられない。結婚と遺言は全ての被後見人に取って、後見人に関係なく自らの意思で出来ることを考えれば、又日常金銭管理は自由意思で出来ることを考えれば、大きな矛盾と言うしか無い。次にターゲットとされる精神障害者全てが責任ある判断を出来ないという暗黙の示唆を与えてその属性を差別する。要するに、世間には精神障害者ないし知的障害者は事理弁識能力が無いので1人前として扱う必要はない、という誤解と偏見をそしてなにより差別を流布している。そうした流れのとどめが障害者政策委員会からの当事者排除に一直線に結びついている。
 People first.  私たちはまず人間である。
 障害者権利条約は、1条の目的で この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする、としている。
 私たちの人権は完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保されなければならない。
 私たちの固有の尊厳は尊重されなければならない。
 よって、私たちは満腔の怒りを込めてここに抗議する。

報酬改定に関する意見書

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 御中
報酬改定に関する意見書

1.精神障害当事者の団体の意見を聞くこと
 障害者権利条約前文(o)には、「障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し」とあります。
しかし、障害福祉サービス等報酬改定検討チームには精神障害者の団体の代表者が委員会のメンバーに入っておりません。これは、日本政府が障害者権利条約に背く態度を示したものであり、直ちに改善されなければならないものと考えます。つきましては、次回からは、委員に精神障害者の団体の代表者を入れることを約束してください。
 また、委員参画の必要性とは別に、最低でも精神障害者の団体に対するヒアリングが行なわれていなければならないと考えます。こうした精神障害者を無視した政策決定プロセスの在り方は、障害者権利条約批准後の政府の態度としてあまりにも問題があり、直ちに改善されなければなりません。つきましては、委員としての参画が難しいような場合でも、必ず、精神障害者の団体に対するヒアリングを行なうことを約束してください。

2.身体介護・家事援助の単価
 家事援助の単価は、例えば、家事日中2.0・介助者1人(コード:6123)の場合、344単価と極めて安価です。このような家事援助の単価の安さは、事業所のモチベーションを下げサービスの量と質を下げるものに他なりません。とくに、行動障害の伴わない重度の精神障害者が居宅で利用できる貴重なサービスが家事援助です。少なくとも、身体介護の8割強程度である570単価(身体日中2.0・介助者1人(コード:1123)670単位の8割)までは引き上げてください。

3.地域移行・地域定着の単価
地域相談支援(地域移行支援)は、地域移行支援サービス費:2313単位、特別地域加算、集中支援加算:500単位、退院・退所月加算:2700単位、障害福祉サービス事業の体験利用支援加算:300単位、体験宿泊加算(Ⅰ):300単位、体験宿泊加算(Ⅱ):700単位、地域相談支援(地域定着支援)は、体制確保費:301単位、緊急時支援:703単位、特別地域加算とあります。地域相談支援は、本気で取り組むとなると非常に労力を要し、片手間でできるようなものではありません。少なくとも、専従をおいて実施しなければ、長期入院患者の退院・地域移行を支援するという意味での地域相談支援はできません。現在の単価では、あまりに安価であり、指定一般相談支援事業所のみの指定を受けて事業を展開することができません。地域相談支援は、長期入院患者の退院を実現するための実質的な事業であり、その役割は非常に大きいと言えます。少なくとも、地域移行支援サービス費の単価を4500単位まで大幅に引き上げ、ピアサポーターによる病棟訪問に際しては新たに特別な加算を設けるなどして、精神障害者の登用が促進されるような報酬単価に改訂してください。

2014年9月8日

【公開質問状】抗精神病薬および抗うつ剤多剤投与制限について

公開質問状
日本精神神経学会御中

 日頃の精神保健福祉へのご尽力に感謝いたします
 さて先般厚生労働省が向精神薬の多剤投与規制について診療報酬を通し行う方針を出したと聞き、期待しておりました。
 ところが公表された2014年診療報酬改定において、向精神薬多剤投与の減算がだされたものの大きな抜け道が用意されています。
 第一は精神病院入院中の患者への投薬には一切減算されないこと
 第二に抗精神病薬と抗鬱剤については経験のある医師については減算しないということです。
 上記二つの抜け道の合理性を私ども利用者は理解できません
 すでに遅くとも90年代から日本の多剤投与は批判されており、国内の精神科医による論文もありました。私どもの聞いた範囲でもオランダの仲間は90年代に薬はたいてい1種類、多くて2種類(睡眠薬を入れても)と発言していましたし、アジアにおいても向精神薬総体で4種類以上などみたことないという証言もあります
 以下質問いたしますので、文書回答を求めます。さらに口頭での説明の機会を求めます

質問項目
1 経験ある医師として、日本精神神経学会専門医で研修を受けたものあるいは学会員であり研修を受けたもの、とした理由はなにか
2 それにより守られる患者の利益は何か
3 それにより患者の不利益のない根拠は
4 今回抗鬱剤と抗精神病薬の多剤投与について減算されない資格をとった医師についてはその患者さんに対して多剤投与をやめるために期限設定をするのか するならばその期限は
5 この多剤投与しても減算されない資格を学会が付与するという制度については今後廃止していくつもりなのか、廃止するなら期限は?
以上
    2014年8月21日

【公開質問状】抗精神病薬および抗うつ剤多剤投与制限について

公開質問状
厚生労働省大臣 田村 憲久様
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長 冨澤 一郎様

 日頃の精神保健福祉へのご尽力に敬意を表します
 さて先般厚生労働省が向精神薬の多剤投与規制について診療報酬を通し行う方針を出したと聞き、期待しておりました。
 ところが公表された2014年診療報酬改定において、向精神薬多剤投与の減算がだされたものの大きな抜け道が用意されています。
 第一は精神病院入院中の患者への投薬には一切減算されないこと
 第二に抗精神病薬と抗鬱剤については経験のある医師が処方する場合は減算しないということです。
 この二つの抜け道を作ったという根拠は一体どういうことなのでしょうか、どういう理由なのでしょうか、私たち利用者にとってはどういう利益があるのでしょうか
 以下質問いたしますので、文書回答を求めます。さらに口頭での説明の機会を求めます。

質問項目
1 入院中の患者への多剤投与はなぜ必要なのですか
それにより守られる患者の利益はなにか、そして患者の不利益がないという根拠は
2 経験ある医師について多剤投与を認めた理由はなにか、それにより守られる患者の利益はなにか、そして患者の不利益がない根拠は
3 経験ある医師として、日本精神神経学会専門医で研修を受けたものあるいは学会員であり研修を受けたもの、として理由は
それにより守られる患者の利益は何か、そして患者の不利益のない根拠は
文書回答期限 2014年9月20日
以上
   2014年8月21日

障害者の地域生活確立と障害者総合支援法に関する要望

2014年7月7日
厚生労働大臣
田村 憲久 殿
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
代表 横山 晃久

障害者の地域生活確立と障害者総合支援法に関する要望

日ごろより障害者の地域生活、権利確立にご支援いただき誠にありがとうございます。
私たち「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会」は、自立生活センターやヘルプセンター、作業所やグループホーム等、障害者の自立支援に取り組んでいる全国各地の639の障害者団体が参加しています(ほとんどは障害当事者の団体です)。身体、知的、精神障害、難病といった様々な障害当事者団体が集まり、障害種別を超えて地域生活・自立生活を実現できるサービス・法制度を求め活動を続けています。
さて、我が国の障害者施策は、2008年5月に発効した障害者権利条約の批准に向けた国内法整備のため、「障がい者制度改革推進本部」のもと、障害当事者、家族が過半数を占める「障がい者制度改革推会議」が設置され、精力的な議論がおこなわれてきました。
この間、2011年8月5日に障害者基本法の改正、また、同年8月30日には、障害当事者、研究者、事業者、自治体の代表などさまざまな立場の55人の委員で構成される「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が18回の議論を踏まえ「骨格提言」をまとめ、2012年6月27日に「障害者総合支援法」が成立しました。さらには、2013年6月26日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が、公布され、2016年4月の施行に向け、2014年度は各行政機関において、対応要領、対応指針を作成することとなっています。厚生労働省においても、差別的な取扱い、合理的配慮の不提供について、以下に要求する事柄とも関連して、当事者の意見を十分踏まえ作成していくべきであると考えます。
これらの制度改革の成果を踏まえて、我が国も、2013年12月4日の参議院本会議において全会一致で、障害者権利条約批准の承認を採決、2014年1月20日には批准書を国連に寄託、これにより、我が国でも本年2月19日より条約の効力が生ずることになりました。
条約は憲法と各法律との間に位置します。批准をすることで、国内法が条約に反してはならない効力をもつこととなり、第三条の一般原則に規定される「自立」、「他の者との平等を基礎としたインクルージョン」、「違いを認めあい尊重すること」、「差別のないことと機会の均等」などが求められます。
長年、多くの障害者団体が求めてきた条約は批准・発効されましたが、私たちの生活に大きな影響を及ぼす「障害者総合支援法」の内容は残念ながら条約の理念と「骨格提言」を充分に反映したものにはなっていません。2013年4月より障害の範囲に新たに難病が加わりましたが、政令によって示されたのは130疾患に限定され、新たな「谷間」を生む結果になりました。
また、2014年4月からは、「障害程度区分」から「障害支援区分」への変更、重度訪問介護の対象者を現行の重度の肢体不自由者に加え、重度の知的障害者・精神障害者に対しても対象を拡大しましたが、私たちが長年、求めてきた重度訪問介護の対象者拡大は、対象者の要件が「行動障害を有する者」とされ、それ以外の人達は引き続きの検討となりました。
さらに、相談支援事業においては、計画相談支援をすべての利用者について実施するとされましたが、全国各地で、事業の進展が大幅に遅れている現状があり、地域移行支援、地域定着支援においても事業が有効に機能するための人員配置と報酬拡充の施策が求められています。
そして「障害者総合支援法」にはこれから検討される課題が多く含まれています。附則第3条1項では常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、支給決定のあり方の見直し、精神障害者への支援や財政調整の仕組みなど重要な課題等が挙げられ施行後3年間をかけて検討することが書かれています。これらは、いずれも重要な課題ばかりで、附則でも「検討を加えようとするときは、障害者等及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること」と規定されているように、障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会のように障害当事者を構成員に含めた検討の場で議論し、当事者の声を反映させた施策の実現を強く求めます。
「骨格提言」については、国会審議において当時の小宮山厚生労働大臣が「障害者のみなさんの想いが込められた貴重なものであり、受け止めねばと思っている。段階的、計画的に実施する」と答弁されました。
これらの点を踏まえ、私たちは、すべての障害者が地域で自立した生活を送られるよう、障害者権利条約の理念、「骨格提言」ならびに当事者の声を反映した「障害者総合支援法」の実施を求め、以下の通り要望いたします。

1.精神 「病床転換型居住系施設」について
昨年から開かれている「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(以下、検討会)」では「病床転換問題」について、「病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方について精神障害者の意向を踏まえつつ、様々な関係者で検討する」とされた。2月の障害者政策委員会では、この問題について「障害者権利条約に反する発想だ」と異論が相次ぎ、石川委員長は「結論を出す前に意見交換したい」とした。
3月には「第8回検討会」が開催され「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的
方策に係る検討」が始まり、議論を進めていくための「作業チーム」を開催することとなった。6月中には、「具体的方策の在り方(今後の方向性)」案を整理することとなっている。
委員の中からも問題提起があったように病床転換型居住系施設とは、「入院病床の看板の掛け替え」であり、これは、地域移行に名を借りた隔離と囲い込みの継続に他ならない。
この議論が、まだ結論を見ないうちに、予算措置として消費税増収分を活用した「新たな基金」の中に病床転換型居住系施設の経費が含まれていることは非常に大きな問題である。
これらを踏まえ、以下要望する
(1) 病床転換型居住系施設を作らないこと。
病床転換型居住系施設は、真の地域移行ではない。これらに貴重な財政をつぎ込むことは許されない。
(2)精神障害者についてその特性を踏まえた地域移行のあり方及び地域での福祉サービスのあり方について検討すべきである。そのための場を作り、我々も参加させること。
① 精神障害者の地域移行について 計画相談の利用、外出などの体験保障、
② 地域福祉サービスについての精神障害の特性を踏まえた見直し、重度訪問介護を含めたヘルパー利用の見直し、自立生活体験室の整備、ショートステイ、グループホーム、オルタナティブサービスの研究
③ 当事者による権利擁護活動の推進
(3)3年後の精神保健福祉法見直しについて 今後いかなる場でいかなる方法で議論していくのかを早急に明らかにすること

2. 総合支援法「検討規定」の検討方法について
障害者総合支援法の検討規定は、施行後3年を目途として検討することになっている。残り2年となりいよいよ検討が始まると思われるが、下記の事項を要望する。
(1)過半数以上の障害当事者を構成員とした検討委員会を作ってください。
特に「(1)常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方」について、過半数以上の障害当事者を委員とした検討委員会をつくること。
(2)「常時介護を要する障害者」に行動障害のない知的障害の人も含めてください。
2014年度から重度訪問介護の対象拡大がスタートしたが、残念ながら行動障害のある知的障害者に限定されてしまった。行動障害のない知的障害者も日常生活を送る上で長時間の介助が必要な人は多い。意思決定支援などを含めた利用が出来るように、これから検討する「常時介護を要する障害者」には、行動障害のない知的障害・、精神障害の人も含めること。

3. 2015年報酬改定について
2015年4月に障害サービスの報酬改定が行われる。景気回復といわれる中、福祉・介護の人材不足は深刻度を増しており、事業の運営も脅かされる事態にもつながっている。この状況がさらに続けば障害者が地域の中で充分なサービスを受けて生活することを阻害する大きな要因ともなっていく。障害者の地域生活の継続と安定のために、サービス事業者が人材確保、継続雇用ができる報酬体系へと見直すことが求められる。
また、障害者権利条約の示す誰もが地域で生きる権利を具現化するためにも、来年度報酬改定においては、施設から地域生活への予算のシフトなど抜本的な改革にもつながる方向性を目指すべきである。その上で個別具体的に以下を要望する。
(1) 今年度より重度訪問介護が知的、精神障害者にも拡大されたが、従来身体障害の重度訪問介護にあった、区分6の重度加算(7.5%、15%)が算定されないしくみとなっている。知的、精神障害者の支援においても重度者への特別な対応が必要で有り、加算においても見直すべきではないか。
(2) 今年4月に、消費税が8%となり、来年にはさらなる増税が行われることとなっている。来年度報酬改定においては、人材確保ができるための加算を設けること。
(3) 計画相談や地域相談支援は個別給付となったものの、その報酬はきわめて低く抑えられている。今後地域生活を支えていく大きな要となる相談支援について、事業が単独で成り立ち充実拡大していけるための報酬単価を設定していくこと。
(4) 計画相談については、個別のケースを勘案して、サービス利用等計画を作成するため何度も利用者のもとへ通う必要があるなどのケースについて加算を設けること。
(5) 完全実施を前にセルフケアプランのニーズも高まっており、相談支援事業者はセルフケアプランを作成する支援も多く行っている。相談支援事業者がセルフケアプラン作成支援にかかる経費を補助するなど財政的な支援策を講じること。
(6) 現行の介護保険対象者の国庫負担基準額が低く抑えられている。このことにより65歳になった時点でサービスが著しく下がる問題が全国で起こっている。介護保険利用者の国庫負担基準を従前のサービスが保証されるように拡充すること。

4.重訪対象拡大について
今年度から重度訪問介護の対象拡大が実施された。しかし、対象者は「行動障害を有する者」に限定され、非常に少ない行動援護事業者によるアセスメントが過度に求められ、報酬についても加算が抑えられているなど多くの問題課題が残されている。
昨年の「障害者の地域生活の推進に関する検討会」では、今後の課題として、行動障害を有しない常時介護を要する障害者で、重度訪問介護のサービスが必要とされる者について、具体的なサービス内容などについて検討するとされている。
また、障害者総合支援法の検討規定においても2016年度をメドとして「常時介護を要する障害者等に対する支援」の在り方を見直すとされている。
これらを踏まえ、以下要望する。
(1)重度訪問介護サービスの今後の在り方について検討するための基礎資料として、4月からの半年の実態について支給時間数なども含めた調査を行い、データを公表すること。同時に、サービスを普及させるための「好事例」の公表なども行うこと。
(2)「常時介護を要する障害者等に対する支援」の在り方を検討するに当たり、以下のことについて検討を行うこと
① 行動障害を有しない者(行動障害関連項目10点に満たない者を含む)についても、社会モデルの視点に基づき「地域における生活の困難」に着目して対象者の範囲を検討すること。その検討に当たって、「精神障害者については、診療所中心の訪問診療や訪問看護等による身近な生活の場の支援チームによる支援が有効である」とする精神障害者だけは医療に偏ったサービスが必要であるという見解を根本から見直すこと。
② サービス内容については、身体介護、家事援助では単独の算定対象とされていない「見守り」や、日常的な意思決定支援を含む金銭やスケジュールの管理などの「生活支援」などについて検討すること。
③ アセスメントについては、行動援護事業者が少ない地域などの実態を踏まえ、相談支援事業所や居宅介護事業所などもアセスメントしやすくなるように条件を緩和し、例示などを周知すること

5.障害者の範囲について(西田)
障害者総合支援法は、障害者の定義に「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病」を含むとしながら、その対象を難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患(131疾患)に限定して施行された。これは当面の措置として、今後、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲等に係る検討を踏まえて見直しを行うとされているが、難病対策は疾患の研究を目的にした事業であり、障害者総合支援法の目的とは異なる。障害者の範囲の見直しにおいては、病名を選定するのではなく、治らない病気をもつすべての人に申請権を保障するための検討が必要である。支援が必要であっても病名で排除され、放置され続けている人が一刻も早く救済されるよう、以下を要望する。

(1) 障害者総合支援法 障害者の範囲の見直しにおいては、障害者基本法 第二条(定義)と整合性をもたせること。
(2) 病気の有無は介護給付に係る支給決定の流れの中で、医師意見書で確認し、病名で排除されない仕組みにすること。
(3) 2013年7月8日、「障害者の地域生活確立と障害者総合支援法に関する要望」の場において、障害者総合支援法の対象になっていない人の問題については「『平成23年生活のしづらさなどに関する調査』の結果を踏まえ、調査事業やモデル事業の実施を含めて対策を検討する」という回答があった。現在の検討の状況を丁寧かつわかりやすく説明すること。
(4) 「共生社会の実現のための調査事業」(仮称)等を実施すること。さらに、調査を含めてモデル事業を実施すること。

6.相談支援について
障害者基本法 第二十三条(相談等)には、次のように規定されている。
「国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。」
この規定から総合支援法において行われているサービス等利用計画の作成と支給決定の現状を見ると、本人の意思決定支援を軽視するような事態が起きている。
特に、サービス等利用計画の作成の遅れからか、行政のケースワーカーが作成したサービス等利用計画に、本人の押印だけを要求する自治体が出てきていることなど、言語道断である。また、セルフプランだろうが、相談支援専門員が作成したプランだろうが、市町村の支給決定基準を超えるプランが提出されたの場合、合理的な理由説明もなく却下されるケースも後を絶たない。
更に、自宅(家族)あるいはグループホームを出て暮らすことに対する支援ニーズに応え得るサービス体系が希薄である。
以上のような現状から、次のことを要望いたします。
① サービスの利用に際して、計画相談がスムーズに行われないことによって、待たされことがないように、行政の責任において、正しいセルフプランの推奨やそのための支援の確保、サービスに変化のない場合の更新における事務の簡素化、そして、人員の確保など基盤整備を早急に行うこと。
② サービス等利用計画の作成にあたっては、利用者への「セルフプラン」の周知や具体的な作成手順の例示、あるいは、相談支援事業者や当事者による支援活動の紹介など当事者が作成する「セルフプラン」を拡充するための方策を明らかにすること。とりわけ、相談支援事業の推進に当たって、当事者による支援活動(エンパワメント)を正当に 評価すること。
③ 来年度の報酬改定の検討において、安定した相談支援事業が可能となる報酬評価を行うと同時に「セルフプラン支援」を評価する仕組みを導入すること。
④ エンパワメント支援に着目したセルフプランの推進のための施策を講じること。
⑤ 自治体にセルフプランの運用の適正化を促す通達を出すとともに、サービス等利用計画の完全実施時期の延期を検討すること。
⑥ 併せて、サービス等利用計画と異なる支給決定をした場合(特に計画以下の支給決定)、その合理的な理由説明(必要でないとした根拠等)を行うよう通知すること。
⑦ 現在の地域移行支援、地域定着支援の利用対象者に、自宅やグループホームから出て暮らそうとする人も含めること。

7.その他
(1)移動支援について
移動支援は障害者の社会参加にとって非常に重要な支援であるが、2006年に支援費制度から障害者自立支援法に転換する際に、ホームヘルプサービス(居宅介護)から切り離され、地域生活支援事業に位置づけられることとなった。その結果、市町村間の支給量の格差が著しく、使い方のルールも、格差が非常に大きくなってしまっている。
多くの市町村で「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出」、「通年かつ長期にわたる外出」及び「社会通念上適当でない外出」を除くという規定が残っているが、これらは合理的な理由が不明確で、基準が曖昧であることから市町村ごとで様々な解釈がなされている。その結果、障害を持たない他の者と平等な生活を行うために必要な支援が欠けてしまう場合が非常に多く見られる。居酒屋に行くことを禁止するような規制、あるいは、必要な見守りを排除して「移動」のみを対象としたり、ホテルに入ったらば移動支援は使えない(ホテルの従業者が介護すべきであるとか、サービス内容が居宅介護になるから認めない)など、制度を利用する障害者にとって非常に使いにくく、実質的に社会参加を阻害されることもしばしばある。
障害者総合支援法においては、2016年度を目途とする検討規定があるが、その中で「常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方」について検討するとあり、その検討に際しては、「障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させる措置を講ずる」となっている。
2011年8月に障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が提出した「骨格提言」においても「障害種別を問わず、すべての障害児者の移動介護を個別給付にする」ことが提言されている。
更に、障害者差別解消法が2013年6月に成立し、2014年夏頃に「基本方針」の策定、そして、2014年度中には「各行政機関等において対応要領・対応指針の検討する(適宜,ヒアリング等を実施)」とされている。市町村における移動支援の様々なルールが、実態として制度的障壁となり障害者の社会参加を不当に制限していることを踏まえて、対応指針(ガイドライン)を作り、事業の主体である市町村に対して強く働きかけていくべきである。
① 個別給付に戻すことなども含め、2016年度の検討規定に基づき、移動支援の在り方について、早急に、我々を含めた当事者を参画させた検討の場を立ち上げること。
② 通学支援、通所支援、通勤支援について早急に実態把握すること。
③ さらに、運用のあり方に関する効力のある指針(ガイドライン)を作成し、市町村に周知すること。その検討において、当事者である我々からもヒアリングを行うこと。
④ 「他の者との平等」という障害者権利条約の基準に照らして著しく逸脱していると思われる市町村の移動支援に関する不合理な規定があった場合に正しく指導・助言を行うこと。

(2)非定型の支給決定について
⑤ サービス等利用計画と支給決定の相違内容の実態調査をし、より一層制度の充実を図ること。
⑥ 特にサービス等利用計画が、市町村の支給決定基準を超える非定型部分に該当する場合に問題が生じていることから、その実態を国として把握し、それを公表し、問題点の是正を行うこと。

(3)介護福祉士について
資格を取得するには、主に二つの方法があり、最も多いのが、実務経験を経るルートである。居宅介護事業所などで3年以上の職務を経験してから国家試験を受験する道で、2012年度の資格取得者約9万8000人のうち約8万3000人(約85%)がこのルートだった。二つ目は、専門学校や大学など国指定の養成校を卒業すれば、国家試験を受けずに資格が与えられるルートで、2012年度は約1万1000人がこのルートで取得している。
こうした取得の方法が、07年の法改正で、要件を厳しくする方向で見直され、新たに資格を取りたい場合、一定の教育課程を終え、国家試験に合格することが義務付けられた。実務経験ルートでの取得には6か月以上の「実務者研修(450時間)」の受講が必要となり、養成校ルートでは国家試験が課されることとなった。しかし事業者などからは「ハードルを上げれば志す人が減り、人材難が悪化する」「資格取得を目指す職員が研修で長期に休むのは困る」「本人も事業所も、時間的、費用的負担が大きい」といった声が上がり、当初予定された12年度からの施行は3年延期され、今もなお問題の解消の目途は立っていない。
以上のことから、次のことを要望いたします。
① 実務者研修にかかる費用を補てんする仕組みを作ること。
② 実務経験による免除事項を増やすこと。
③ 問題解消の目途が立つまで、施行を延期し、事業者等からのヒアリングを行い更なる見直しを行うこと。

8.生活保護について
生活保護法が昨年12月「改正」され、憲法25条で保障されている基本的人権が脅かされることが懸念されています。昨年の国会審議では、「改正」前と変わらない扱いをするとされていましたが、今年の2月末に出された「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」では、申請手続きにおける扶養義務者への通知を通例とする記述になっているなど、多くの問題がありました。パブリックコメントでの問題提起などを反映して、4月に出された「省令」では、国会審議のレベルに修正されましたが、今回の生活保護法「改正」は、申請手続きの厳格化、扶養義務の強化、不正受給の罰則強化などが目論まれていることに代わりはありません。
とりわけ私たちが懸念するのは、障害者の自立に直接関わる扶養義務の問題です。多くの障害者は、就労の機会が乏しいことや所得保障の立ち後れによって社会的経済的な自立を阻まれ、親・家族に依存させられています。逆に言えば、親・家族はその負担を社会的に強いられてきているのです。生活保護の申請に当たって、更に、親・家族に負担を強いることになれば、障害者の自立に対して、反対する立場に立つことが増えることが予想され、親・家族に反対されれば、自立に重大な支障が生じることは明らかです。
扶養義務紹介について、省令では、①実施機関が扶養義務者に対して家庭裁判所の審判を利用した費用徴収を行う蓋然性が高いこと、②DV被害を受けていないこと、③その他自立に重大な支障を及ぼすおそれがないことの、すべてを満たす場合に限って通知等を行うものと修正され、「極めて限定的な場合」に限られることが、省令上も明確にされました。
家族に依存することを余儀なくされている障害者が自立をしようとする時、親、きょうだいに扶養義務を強く求めるならばまさに「自立に重大な支障を及ぼす」ことになります。
(1)申請時における口頭での申請、あるいは扶養義務者の資産や収入状況がわかる書類を全て揃えなければ受理されないようなことがないように自治体に対し周知すること
(2)障害者にとっては、扶養義務者(とりわけきょうだい)への照会については、例外規定③「自立に重大な支障を及ぼす」場合が多いことを踏まえて、適切な対応がなされるよう自治体に周知すること

9.介護保険
(1)介護保険の優先を強いらないこと
障害者自立支援法違憲訴訟原告・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意において、新法制定にあたっての論点の中で「介護保険優先原則(自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること」が明記された。
2007年3月28日に出された「障障発第0328002号 障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について 1の②のア及びイ」で、重度障害者が介護保険対象者となった時に、介護保険サービスで対応できない場合は障害福祉サービスを受けることも可能となっている。しかし、実態として、全国の市町村では未だに65歳以上の障害者に対し、「心身の状況やサービスを必要とする理由」に関わらず介護保険の優先利用を強いる状況が続いている。負担が増える、介助時間数が減る、これまでの事業所の派遣がうけられない等の問題が起こり、生活を継続できなくなってしまう。
これらの状況を改善し、長時間介助が必要な個々人の状況を勘案して重度訪問介護等の障害福祉サービスのみの利用や補装具の給付を受けることが可能となるように国から全国の市町村に対して有効な指導を行うこと
(2)介護保険について
障害者自立支援法の根本的な問題の背景には、介護保険の考え方の導入(利用料、障害程度区分など)が計られている点、更には、障害者施策を破壊する「介護保険への統合」を目論む仕組み(介護給付という枠組みや地域生活支援事業の切り離しなど)がある。これ踏まえて、今後の障害者施策の基本的な方向性として介護保険との統合を行わないこと。

袴田事件の即時抗告に関する要請文

最高検察庁 御中
東京高等検察庁 御中
仙台地方検察庁 御中

袴田事件の即時抗告に関する要請文

検察官の皆様におかれましては、静岡地裁の再審開始の決定をうけとめて、即時抗告をしないように要請します。

袴田事件に関する新証拠に照らし、また、1968年の逮捕当初の取調べから自白を強要されたとの袴田さんの主張を考慮すれば、この事件はもう一度審理をおこなうべきです。袴田さんは高齢に加え精神症状がみられており、長期間の拘禁で健康状態も懸念されます。

袴田事件は、速やかに再審を開始すべきです。
十分な検討の上、人身に配慮ある行動を、よろしくお願いいたします。

敬 具 
   2014年3月28日