声明 石川県の身体拘束裁判の逆転勝訴について

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2016年、石川県の精神科病院に入院していた大畠一也さん(当時40歳・男性)が、体をベッドに拘束されたあと、エコノミークラス症候群を発症して死亡する事故が発生しました。両親は、病院に賠償を求めて裁判を提訴しました。2020年12月16日、名古屋高等裁判所金沢支部は、病院におよそ3500万円の支払いを命じる両親側逆転勝訴の判決を言い渡しました。蓮井俊治裁判長は「死亡した男性は、薬も拒否せず服用していたし、一時的に人員を割くなど、医療行為を行うためのほかの代替の方法が無かったともいえない。身体拘束を認めた医師の判断は早すぎた」と指摘しました。
 この判決は、従来の判例にありがちな精神保健指定医の判断であることを理由に中身を精査しない姿勢とは根本が異なり、医療行為を行うためのほかの代替の方法を検討したか否かなど補充性原理に基づく事実認定をおこなっています。本来、人の人身の自由は、よほどのことがない限り、厳格な手続き(日本国憲法においては専ら刑事訴訟法のこととされる。)をふまなければ制約されないこととされており、精神保健指定医の判断の有無だけで簡単におこなえるような法構造は瑕疵があると言わざるを得ません。ここに踏み込んだ本裁判例は画期的です。
 末筆に身体拘束中に亡くなられた大畠一也さんのご冥福をお祈りします。

   2020年12月17日

生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案に関する要望書

2020年11月24日
衆議院法務委員会
 委員長 義家 弘介 様
  与党筆頭理事 稲田朋美 様
  野党筆頭理事 階 猛 様

 日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 今国会に議員立法で提出されている、「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」(以下、「法案」とする。)について下記の要望を申し上げます。

一、法案審査については、慎重審議を求めます。

二、法案第3条4項の「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」の部分は、1996年に廃止された優生保護法の第1条「優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止する」を彷彿させるような、また誤解を招くような表現であるため削除を求めます。

三、立法府は、障害者の権利に関する条約第17条の「その心身が、そのままの状態で尊重される権利を有する」と法案の整合性を審査することを求めます。参院法務委員会での審議にあって、この点は触れられておらず、衆院法務委員会の審議に際しては、この点を十分に深めることを重ねて求めます。
以 上 

民事訴訟法改正に関する要望書

2020年11月24日
法 務 大 臣 上川陽子 様
法務省民事局長 小出邦夫 様
民事法制管理官 内野宗揮 様

 紅葉の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。
さて、法務省法制審議会では、訴訟手続きの電子化をはじめとする民事訴訟法改正に向けた検討が進められています。他方で、日本政府は障害者の権利に関する条約の政府審査をひかえており、障害を理由とした訴訟無能力を定めた民事訴訟法の見直しを求める厳しい勧告が出されることが予想されます。
つきましては、この度の民事訴訟法改正について下記の点を要望します。

一、民事訴訟法第28条の訴訟無能力の規定については見直しの検討をおこなうこと。
以 上 

〒164-0011
東京都中野区中央2―39―3
Tel 080-6004-6848(担当:桐原)
E-mail jngmdp1974@gmail.com

ピアサポート研修に関する要望書

2020年11月20日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神障害保健課長 佐々木 孝治 様
障害福祉課長 竹内  尚也 様

 日ごろより精神障害者の地域生活、施策にご尽力くださり心より敬意を表しております。
 これら精神障害者の生活に係る法制度が障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)の趣旨を鑑みたものとなるように、下記のとおりご要望を申し上げます。

一、ピアサポート加算は就労支援系のサービスをはじめとする全ての障害福祉サービスに適用できるようにすること。
二、将来的に加算要件となる研修内容については、不十分な点があることから再検討すること。
三、当面の間は地方公共団体が独自で取り組んできたピアサポート研修の受講を加算要件とみなすこと。
四、ピアサポーターの必要要件である「障害当事者」であることを担保するためにも研修の受講要件には当事者団体からの推薦を入れること。
以 上 

声明 精神保健指定医の不正取得の問題に係る最高裁判所判決について

 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 2016年に発覚した聖マリアンヌ医科大学における精神保健指定医の不正取得の問題以降、多くの精神保健指定医が同様の不正行為をしていたことが明らかになりました。精神保健指定医を不正取得していた医師らは、資格取り消しの処分を受けました。しかし、一部の医師は、資格取り消しを不当だとして東京地方裁判所判決に提訴しました。一審では、原告の請求が認められました。東京高等裁判所でおこなわれた二審では、「自ら担当として診断または治療に十分な関わりを持った症例でないことが明らかであるにもかかわらず、あえて本件ケースレポートを作成し、提出したことを要するものであるというべきである」として、悪質や故意をもって、提出した場合に取り消すことができる旨の解釈が示され、一審の決定が妥当であるとされました。
 しかし、両判決は、同種の高裁の裁判例と相反しており、処分対象者を悪質性や故意に限定することによって不正に資格を取得した精神保健指定医に対して処分をしなくてよいというお墨付きを与えることに他なりません。精神保健指定医の判断は、仮にも私たち精神障害者に対してなされる非自発的入院や行動制限の違法性を免責する効力を持ちます。精神保健指定医は、資格取得の要件のひとつに研修の受講があります。精神保健指定医の法的な性格上、研修受講はもっとも重く捉えられなければならないものです。このたびの判決のように一般的な瑕疵があったとしても故意性や悪質性がない限り精神保健指定医の資格を取り消す処分を認めないということになれば、非自発的入院や行動制限といった精神障害者の人身の自由の制約を軽んじられることにつながらないかと深刻に憂慮します。また、不正であるかどうか線引きを故意性などの主観に求めていくとしたら、行政がいかにして主観の挙証を事務手続きにおいて講ずればよいのかがわからず、結果としてあらゆる不正が見逃されていくことにしかならないと思われます。
 このような判決は、厳格さを欠いており不当な判決としか言いようがありません。
   2020年11月16日

医療基本法の議員立法に向けて 〜あなた自身が、人権に根ざした医療を受けるために〜

日 時: 2020年12月6日(日) 14:00〜15:30
場 所: オンライン開催(Zoomウェビナー) ※事前申込制(申込み方法は下記参照)
参加料: 無料

 高齢社会の進展や新型コロナ・ウイルスの感染拡大などを受け、医療政策の重要性は日々高まっています。しかし、わが国には、未だ、医療政策の基本理念を定める「医療基本法」が制定されていません。私たちは、今こそ、人権保障の考え方に根付いた医療政策のグランド・デザインたる医療基本法が制定されるべきであると考えます。
 さて、現在、国会では医療基本法に関する超党派の議員連盟が設立され、制定に向けた議論が具体化しています。今般、私たちは、患者団体等から賛同を得て、制定に向けて充実した議論を求める旨の要望書を国会議員に提出させていただきました。
 そこで、この度、以下のとおり、上記要望書の内容をもとに、医療基本法に定められるべき内容にはどのようなものがあるのかを考えるシンポジウムを開催させていただきます。ただし、今年は新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受け、会場での開催は控え、ZOOMを利用したWEB上での開催とさせていただきます。
 当日は、上記要望書の解説に加えて、WHO憲章・健康の概念、世界医師会によるリスボン宣言の意義等についてもお話しをいただく予定です。どなた様でもご参加いただけますので、是非、奮ってご参加ください。

※本シンポジウムは、事前申込制とさせていただいておりますので、ご参加をご希望される方は、
kobayashi@kawagou.org宛に、「氏名」と「ご所属」を明記の上、参加希望である旨のメールを送信してくださいますよう、お願いいたします。
おって、当方から、いただきましたメール・アドレスに返信する形で、当日のZOOMのURLをお送りさせていただきますので、シンポジウム当日14時になりましたら、そちらのURLをクリックしてくださいますよう、お願い申し上げます。

12・6「医療観察法廃止しよう!」全国集会(zoom 参加あり)

日 時: 2020年12月6日(日)13:30~16:00
場 所: としま区民センター 601 号室・オンライン開催(Zoomウェビナー)
     https://www.bellesalle.co.jp/shisetsu/tokyo/bs_nihonbashi/access/

講 師: 越智祥太医師 『社会改革と精神医療の改革』(講演内容は予定です。)
資料代: 500 円

☆ 12 月 Zoom 集会参加希望の方へ ☆
ZOOM での集会参加をご希望の方は、12 月 3 日までに
kansatuhou20@gmail.com 宛、下記の事項を記載して申し込んでください。
・名前(必須):
・連絡先メールドレス(必須):ZOOM 集会参加に必要な情報をお知らせします。
・電話番号:ZOOM 関係の調整用電話番号
・所属(あれば):
★ zoom 参加に慣れていない方は、当日、30分前くらいからアクセスして接続を確認していただけます。

https://jngmdp.net/wp-content/uploads/2020/11/20201206.pdf

国際人権基準からみる日本のコロナ対策

日 時: 2020年12月5日(土)13:30集会スタート
会 場: 青山学院大学 17号館6階 本多記念国際会議場 
https://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html

【プログラム】
1 主催者挨拶
2 「国際基準とは何か」
   ファシリテーター 寺中誠さん(東京経済大学教員)
3 リレートーク(各トークの後に寺中さんからのコメントがあります)
① 感染症対策と人権
   宮子あずささん(看護師・東京新聞「本音のコラム」月曜日担当)
② コロナと障害者差別ー国連障害者権利条約の基準から見ると
   崔栄繁さん (DPI 日本会議 事務局 )
③ 感染症対策・一斉休校で見えた学校の人権問題
   武捨健一郎さん(東京教組 書記長)
④ 「命の差別」に抗してー朝鮮学校差別に反対するー
   朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会)
⑤ 新型コロナ時代の格差拡大
   赤石千衣子さん(しんぐるまざーずふぉーらむ理事長)

参加費: 500円(当日受付にてお支払いください)

JDF全国フォーラム:障害者権利条約 日本の審査でこう変わる 私たちの暮らし-「総括所見」と今後の実施戦略

日 時: 2020年12月7日(月)13:00~16:30
場 所: オンライン開催(Zoomウェビナー)
     https://www.bellesalle.co.jp/shisetsu/tokyo/bs_nihonbashi/access/
参加費: 無料 (点字資料データ、テキストデータ、手話通訳、要約筆記あり)
主催 日本障害フォーラム(JDF)
● キリン福祉財団、住友財団、SOMPO福祉財団、ヤマト福祉財団 助成事業 ●

2020年に開催予定であった、国連・障害者権利条約の日本の初審査が、新型コロナウイルスの影響で延期となっています。条約の審査と勧告(総括所見)を通じて、国内の政策や、私たちの暮らしをどう変えていけるのか。この時期に、新型コロナウイルスと障害者にかかわる課題にも焦点を当てながら、話し合います。初めてのオンライン開催となりますが、皆様の幅広いご参加をお待ちしています。

プログラム(順不同・一部依頼中)
13:00 主催者挨拶、来賓挨拶・祝辞等
13:15 基調報告:日本障害フォーラム(JDF)より
13:45 シンポジウム:障害者権利条約 日本の審査でこう変えよう! 私たちの暮らし
    ■第一部 障害者権利条約の初審査を今後の施策にどう活かすか
    パネリスト:(順不同)
     石川 准  障害者権利委員会副委員長/障害者政策委員会委員長
     日本弁護士連合会 より
     ほか
    コーディネータ:佐藤 聡 DPI日本会議事務局長
14:45 休憩
15:00 イエローリボンとJDFの活動 ご支援のお願い
    JDF企画委員会 より
15:10 シンポジウム
    ■第二部 新型コロナウイルスと障害者 権利条約を活かした新しい暮らしに向けて
    パネリスト:(順不同)
     伊東 亜紀子 国連経済社会局 障害者権利条約事務局チーフ
     星川 安之  共用品推進機構 専務理事
     ほか
    指定発言・質疑
    コーディネータ:増田 一世 日本障害者協議会 常務理事
16:20 総括・閉会挨拶 JDFより
16:30 閉会
*プログラムは予告なく変更することがあります。

申込方法
*こちらのWEBフォームからお申込みができます。<WEBフォーム