東海道新幹線内殺傷事件の報道に関する緊急要望書

報道機関各位

 日頃、貴社におかれましては迅速で正確な報道のためご尽力されていることを心より敬意を表します。
 私たち全国「精神病」者集団は、1974年5月に結成した精神障害者個人及び団体で構成される全国組織です。
 6月9日に東海道新幹線内で起きた殺傷事件について、被害にあわれた方の一日も早い回復を願うとともに、亡くなられた方に対し深く哀悼の意を表します。またご家族の皆さまの驚きや悲しみをお察し申し上げます。
 さて、この事件で逮捕された容疑者について、一部報道では、「発達障害」や「自閉症」との診断名や、精神科入院歴などが報じられています。おそらくは、警察発表のままに速報で報道を行ったためだと思われます。こうした報道は、精神疾患を持った人に対して「怖い」「危険」「何をするかわからない」「社会から排除すべきである」「監視の対象にするべきだ」といった偏見・予断を助長させるおそれがあるため、たいへん深刻に憂慮しています。
 既に実際に犯罪行為と精神障害を結びつけるような偏見に基づく声が上がってきています。報道機関は、社会的偏見の形成や是正に多大なる影響力を保持しています。自らの影響力を考慮し、精神障害者を排除するような世論が形成されることがないよう、報道機関には地域で生活している精神障害者の立場や気持ちも含めて、配慮のある報道を望みます。

全国「精神病」者集団
2018年6月11日