障害者権利条約第1回日本政府報告(日本語仮訳)に対する意見

障害者権利条約第1回日本政府報告(日本語仮訳)に対する意見

1.行動制限
⑥御意見の該当箇所
パラグラフ105、障害者権利条約第14条

⑦御意見の内容
本パラグラフにおいては、精神保健福祉法第36条に規定された精神障害者に対する行動制限に関する報告がなされていない。

⑧御意見の理由
障害者権利条約第14条は人身の自由にかかわる規定であり、本パラグラフにおいて精神保健福祉法第36条の精神障害者に対する行動制限に関する報告をすべきである。

2.障害者虐待防止法の範囲
⑥御意見の該当箇所
パラグラフ110、障害者権利条約第16条

⑦御意見の内容
本パラグラフにおいては、障害者虐待防止法の適用範囲について報告がなされていない。

⑧御意見の理由
障害者権利条約第16条は虐待防止にかかわる規定であり、本パラグラフにおいて障害者虐待防止法の適用範囲に教育機関と精神科病院が含まれていないことを報告し、救済可能な範囲等を明示すべきである。

3.骨格提言の実施状況
⑥御意見の該当箇所
障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意と骨格提言を出した、とする記述。

⑦御意見の内容
骨格提言をどのように反映し、どれくらい実施されたのかが書かれていないため、明示すべきである。

⑧御意見の理由
骨格提言は、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環という政策上の位置づけであり、その反映は障害者権利条約の実施状況に係るものであり詳細の報告が求められるためである。

4.総論
この政府報告書は、制度の説明に終始しており、障害者権利条約の実施状況を報告する体をなしていないといわざるを得ない。そのため、部分修正を重ねたところで結局のところ国際社会からの非難を免れない内容となっている。